イムジャ…暑いですね

 

まだ五月だというのに……

今年は、何やら蒸し暑く

 

暑くなるのでしょうか

今年もまた…

去年のように……

 

 

ヨン……

 

 

 

ん……?

 

な…ん…です…か……

 

 

……………………

 

なんでもない

 

 

なんでもないことは

ないでしょう?

 

今、俺を呼んだでしょう

ヨンと……

 

どうしたのです

イムジャ……

 

 

う……ん………

 

 

わか…ん…な……

 

 

 

イム…ジャ……

 

もう…よい……

 

何も…言わなくてもよい…から……

 

よいのです

何も…言わな…くて……

 

ほら…これ…を……

 

 

いら……な…い…

 

ん……?

 

どうして…

よいから、これを使って…

ほら……

 

濡れて…しまうでしょう…

 

そのようにぽたぽたと

落としていては…

 

 

ほら…

 

俺は、ちょっと

あちらへ所用があり

行って参りますゆえ

 

これで

ふいて

 

よいですね?

できますね?

一人で……

 

すぐ戻りますから

 

すぐに

戻って参りますから

 

これで拭いて

 

いらないっ

 

そんなの

いらないって

言ってるのに

 

いらないからっ

 

 

イムジャ……

 

 

分かった

分かったから

 

 

来い

こちらへ

ほら…

 

俺のところへ

意地を張らずに

ほら……

 

まったくイムジャは

いつもそのように

一人で我慢するからだめなのです

 

最初からそう言えばよいでしょう?

ん?

そう言っておるでしょう

 

俺は、そう何回言いました

イムジャに

 

俺にだけは自分の気持ち

素直に言いなさい

 

そう言ってるでしょう?

いつも

 

まったく、あなたという方は

どこまでも意地っ張りで

どこまでも一人で頑張ろうとして

 

どこまでも

どこまでも

 

どこまでも

 

俺に……

少しは、甘えたらどうか

 

もっと

甘えてきたらどうなのだ?

 

俺の胸に

包まれておればよいだろう?

 

好きなのだろう?

俺のここが

 

好きでたまらぬのだろう?

俺の匂いが…

 

こっちを向いて

俺を見て

 

俺の瞳を見て

 

そのように胸を痛めて

イムジャの胸の中が

どのようになっているのか

 

そのくらい俺にはわかるのです

俺は、イムジャの心に

触れることができるのです

 

痛いほど

わかるのです

 

そなたの想いが

 

なぜなら

そなたの心は

俺のそれだから

 

 

よいですね

イムジャ

 

 

イムジャが、辛ければ

俺は、その何百倍も

辛い

 

イムジャが、悲しければ

俺は、その何千倍も

悲しい

 

イムジャが……

今のように

なぜか分からぬが

どうしてか分からぬが

分からぬが

 

想いがありすぎて

溜まりに溜まりすぎて

声もだせぬほど打ち震えて

でもそれを見せぬ様に我慢して

 

そのように握りこぶしを作り

親指の爪を食い込ませながら

我慢するなどということが

あってはならぬのです

 

俺に隠れて大粒の涙を

ポタポタとこぼすなど

 

こんなにも衣を濡らして

 

 

 

そんな自分を

俺に見せたくないのでしょう?

まだ

 

イムジャはその躰の全身で

俺にすべてをさらけ出すのが

まだできぬのでしょう?

恥ずかしいのでしょう?

 

このような年下の男では

頼りないのでしょう?

 

そうなのでしょう?

 

年上のチャン・ビンの方が

同い年のクォンやミョンの方が

頼りになると

そう思っておるのでしょう?

 

こうしてすぐに拗ねる俺など

つまらぬのでしょう?

 

そうでしょう?

 

 

違…う…か…ら…

 

ヨンに…

私の男

私だけの男

 

チェ・ヨンに

ずっと会いたかった

ずっと我慢してた

 

ホントは会いたくて

狂いそうだったのに

その気持ちに蓋をして

重い石を乗せて完全に密閉して

 

生きてたの

 

この数日

 

ここに来るのが

 

こわかっ…た…か…ら…

 

あそこへ…行きたいけど

行けなくて

 

どうしていいのか分からなくて

 

でもやるべきことは

目の前に山積みになってて

 

だからまっすぐ前を見て

淡々とやるしかなかった

 

今まで

山の様に来る

患者さんたちを

診るしかなかった

 

 

でもホントは

あの時のヨンに会いたくて

 

静かに過ごしたくて

静かに二人だけに

なりなくて

 

でもそれは

本当は

全然静かじゃなくて

 

欲しく…て……

 

ヨンが

 

あのヨンが……

 

 

でも今来ちゃうと全部が

崩れ落ちちゃいそうで

いえ

絶対にそうなるって分かってたから

 

見ないようにしてた

 

ヨンを

視界から外して

自分の仕事に没頭して

忘れるようにして

 

他の人と話したりして

時に大声で笑って

空元気だして

自分を鼓舞させようと

必死になって

 

 

はあああっ

 

 

 

やっと息…が……

 

吐け……た……

 

ヨンの胸の中に

埋もれることができて

 

ヨンのこの…厚い胸

ヨンのこの……温かすぎる胸

この…ヨンの…

ヨンだけの…匂い……

 

 

いつも私を受け止めてくれる

 

いえ…ホントは受け止めたいのに

求めてるのに

みんなの前では横をすっと向いて

私を無視しようとして

 

でも

みんなの前であっても

私の手をつかんでくれる時があって

 

そんな時

本当は

舞い上がるほど嬉しくて……

でもその気持ち

恥ずかしいから押し隠して…

 

 

そんなあなたが

可愛いあなたが

 

大好き…で…

 

年上のくせに

この心の全部奪われてる

あなたに

 

ヨンが

この私の心全部を

盗ん…じゃっ…

 

た……

 

 

 

目を閉じるとあの湖の

あの時のことが

思い出されて

どうしようもなくなって

痛いの

 

喉がつまって息ができなるなるくらい

 

痛くて

重くて

突き刺して

こみ上げて

重しになってそれが全部

私の瞳から

涙となって

こんなに大きな粒になって

私の躰に

 

墜ちていく

 

躰中が濡れて

どうしようもないくらい

濡れて…る……

 

 

アイシテル

 

ヨン…

 

 

アイシテ…ル……

 

 

 

 

せっかくあの月が俺たちを

呼んでいるから

チュホンのご機嫌をとり一駆けして

あそこへ行こうと思っていたのに

 

あなたという方はまったく

 

 

困った

 

お方

 

だ…

 

 

その唇 

もう話せないくらいに

 

よいな

イムジャ

 

今宵

 

よいですね

イムジャ

 

あの時と同じ

俺の口づけ

 

俺の……キス……

 

俺にしか決してできぬ

俺のイムジャへのキスを

 

一晩中

 

そなたに降らせますゆえ

 

ご覚悟を

 

イムジャ……

 

俺は

 

ヨンは

 

あなたを……

 

アイシスギテ

しまったのです

 

あなた…

より…も……

 

比較にならぬほど

 

アイシテイル

 

ノデス……

 

行きますよ

イムジャ

 

今の俺たちには

しばし休息が

必要なのです

 

深い息を

するためにも

 

俺が護りますゆえ

イムジャを

全身全霊で

 

 

いつも

ずっと

 

護りますゆえ

 

 

だからしばし

甘えても……

 

よいか?

 

 

 

 


 

追記

 

今連載中のお話とは全く関係ない

時空にいるチェヨンとウンスの

夜の一時のお話です

 

寝るはずだったのに

シャワーを浴びて戻ったら

チェヨンが待っていて

 

ずっとできなかったことが

今日は冒頭からできて

よかった…

 

なんか

ぐっすり堕ちる様に

寝れるかも

 

久しぶりに

 

 

だから戻って

読み直しません

 

その時感じたことを

勢いで記した

その想いそのままに

シンイヨンの想い

そのままに

 

 

 

はて

この続きは

あるのかないのか

 

どうなのか?

チェヨン??

 

俺は

この先へ

行きますゆえ

 

では

 

しばし

おいとまを

 

追ってくるな