http://www.huffingtonpost.com/2015/07/07/free-community-college_n_7743944.html?ncid=fcbklnkushpmg00000013
今年1月の一般教書演説でオバマ大統領が打ち出した格差是正策の一つですね。
コミュニティ・カレッジという「人生のセカンドチャンス」を与える為の制度、再チャレンジをもっと促進していく為の無料化、先日の残業代支払いの適用対象拡大に続き、まさにオバマの本気度が伺えます。
4日にCNNで報じられたオバマ大統領の支持率は、数年ぶりに50%に達しており、2日に公表されたギャロップの支持政党調査でも、民主党46%、共和党41%と民主党への支持者回帰が目立つようですね。
Newsweekの冷泉氏の解説に依れば、1950年代位まではコミュニティカレッジの教育内容は、オフィスワークや工場労働などに必要な職業知識で、卒業すると「アソシエイト・ディグリー」つまり短大卒の資格が与えられて就職していくという流れだったのですが、60年代以降、アメリカが成熟社会化して、単純労働が減少する中で変貌し、独特の進化を遂げてきたそうです。以下は冷泉氏の解説から転載します。
現在の「コミュニティ・カレッジ」は主として次の4つの機能を担っています。
(1)経済的な理由で4年制大学へ進学できない若者の救済という目的がまずあります。コミュニティ・カレッジの授業料は低額なので、1~2年間こちらに進学して優秀な成績で単位を取得すれば、今度は奨学金がつく形で4年制大学の専門課程に転学ができるようになっています。
(2)高校までの学習に困難を感じたり、大学入試の統一テストが苦手だったりする若者に対して「一切入学選考をしない」ことで、高等教育の門を開くという目的があります。こうした若者も、コミュニティ・カレッジで優秀な成績で単位取得ができれば4年制大学に転入の道が出てくるのです。
(3)医療補助職であるとか、警察消防などの公共サービス、あるいは初級のコンピュータ技術など、必ずしも4年制の大学の学位は必要ないが専門資格が要求される職業に関して、資格取得のコースを提供しています。
(4)社会人になったが、改めてキャリアのコース変更や、ステップアップを考える人々に「夜間大学」として、資格取得や自己啓発のための教育を提供しています。20代だけでなく、30代、40代の「再チャレンジ」のための教育機関という機能も担っているのです。
この中で、特に重要なのは(1)と(2)です。アメリカの大学入試は、統一テストの成績に加えて、スポーツやボランティアの履歴など「全人格」が問われるプレッシャーがあるわけですが、全米のコミュニティ・カレッジは「高卒か大検」の資格があれば選考なしに受け入れることになっており、大学入試制度を補完する救済システムになっているのです。また、経済的負担も低減されていることも重要です。
アメリカでは1990年代のビル・クリントン政権時に、幼稚園から大学までの「ナショナル・スタンダード」つまり全国統一のカリキュラムを策定し、特に高校から大学への「接続」に関して制度の整備を行いました。この動きに併せて高校までの段階で「学習困難」を経験していた若者には、このコミュニティ・カレッジで「高校までの学び直し(リメディアル教育)」を行うという機能も意識的に整備されて来ています。