大難来りなば強盛の信心弥弥悦びをなすべしー特別編・ちょっと御仕事の話、M&A、中国ビジネス、他 | 蓮華 with にゃんこ達

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専ら、マーケットや国内外の政治経済ネタが多くなってしまいました。
母と愛しい我が子達を護りつつ日々闘う中で思う事をアップしていきます。

10月の雇用統計発表直後から、『有り得ますね』と書いてきたTapering、11月の数値、予算案合意とハードルをクリアして迎えたFOMCでしたから、まあ当然の結果ですね。特にマーケットにもサプライズは無かったのでしょう。

それにつけても、師も走る師走馬

何でしょうか、もう常にアセアセ、毎日の起床・就寝とか、かなり滅茶苦茶になってますが・・(><)
ま、何にしろ有難い事ですね。

私は現在、投資コンサルの仕事で、このポートフォリオをベースに(当然売買推奨は一切行いませんし、公開以外のデータや情報を使う事はありません)顧客に定期的にレクチャーもしています。

投資家として、組入れ銘柄の分析、バリュエーションの方法、バリュー投資の評価ポイントやマクロ環境など、多面的に『株では無く、企業に投資する』アプローチを解説しています。

クライアントはM&Aコンサルで御付き合いのある中小企業の経営者が殆どで、最初先方から御願いされた時点では、『ニーズなんかあるのか?』と思っていましたが、他取引先に打診してみると是非に、という要望が意外にも相当数、御用命頂ける間は楽しんでやっていきたいと思っています。

そもそもFMは『職人』ですから、やたらと表に出て、個人的にプレゼンスを強調したりプロモーションしたりするべきでは無い(てか、その手の『有名どころ』は大抵エセFMな事を良く知っている訳ですが・・ww)と思いますが、だからこそ、個別にキチンと丁寧に時間と言葉を尽くし、プロの矜持を直接的に伝える場を与えて頂けるのは、本当に有り難い事です。

経営者は実際に現場で闘ってきた方々なので、逆に気付かなかった視点を教えられたり、御意見や質問を頂く中で私の方が学ばせて貰う事が多いんですよね。

勿論ファンドマネージャーとして上場企業の経営者やIRにも沢山御会いして御話してきた訳ですが、もっとよりオープンで具体的且つ現場のリアルを伝えて頂けます。

さて、もう一つのお仕事、M&Aのマーケットの現状はどうでしょうか・・・

去年までは製造業や金融を中心としたグローバル化の推進、総合商社による資源、非資源関連投資など多彩な日本企業の攻め加速の動きで、IN-OUTが2倍近くに伸びていたのですが、今年に入ってから、絶対数は多いものの、金額・件数共に大きく減少に転じ、逆にOUT-INの動きが非常に活発です。

つい先月にも、米ローンスターが泉北高速鉄道運営の第三セクター、大阪府都市開発(OTK)を買収、公募入札で南海電気鉄道を上回る金額を提示して、優先交渉権を獲得し、大阪府などから全株式を取得しましたね。
OTKは5年後の上場を目指しているそうですが、外資やファンドが国内の鉄道会社の半数以上の株式を持つのは初めての事です。

こんなニュースもハゲタカ云々と騒がれる事なく、淡々と受け止められるようになってきました。

こうした状況は、当然円安の影響もある訳ですが、勿論中国の後退分(IN-OUT)も大きく、約4割減少しています。ただ一方で、こちらも踊り場と言われる東南アジアなど他新興国への投資意欲は衰えていませんね。

先月だけでも、アサヒグループが、インドネシア食品大手のインドフードと共同で、同国のティルタバハギアグループから容器入り飲料水事業を譲り受け、同国での容器入り飲料水市場へ本格参入、とか、オリックスが、カンボジア商業銀行最大手のアクレダ銀行に資本参加し、アジアで金融サービス分野を中心に事業拡大推進、とか、日立がインドの金融機関向け決済サービス提供のプリズムペイメント買収で、ATMを含む金融機関向けITサービス事業のグローバル展開加速などなど・・。
さらに、エア・ウォーターは、インドで産業ガスメーカーのエレンバリー・インダストリアル・ガシズを買収し、同国の産業ガス事業に本格参入を決めるなどの案件も出ています。

OUT-INは件数も4割、金額ベースでは3倍近くと大幅増加しています。特に金額ベース、そして件数でもアメリカからの投資が急拡大していますが、実は中国も特に中小型の案件を積極的に進めています。ここは結構重要な部分ですが、こうした動きは数年来、そして別に日本に限らずなのですね。

中国人と中国という国家は全く別物です。中国人は世界で最も国家を信用していない人々ですから。だからこそ、世界中に華僑や客家が進出し、チャイナタウンを作っているので、そこは歴史を紐解けばむべなるかなですよね。

この数年来、彼らのそうしたリスク認識の再燃が目立つようになり、資産1億円以上の中国人の80%は既に資産を何らかの形で国外に出している、とされています。

最近は、単なるCapital flightだけでなく、大気汚染の酷さに音を上げて、『子育て』を理由に家族連れで国外逃亡してしまう中国人も大量に居るそうですが・・・(比較して、原発事故があろうと動かない日本人は、本当に流動性の低い国民ですね~)。

シンガポールの客家は中国に本気で投資をしない、と言う事は有名です。以前の記事↓

『シンガポール雑感 No.1 ♫』 
 http://ameblo.jp/yukiyagi7/entry-11354334511.html

にも書いたように、例えば、マリーナベイサンズのような場所にチャイナマネーを呼び込んで落として貰う徹底した施策、もしくは既に本拠地をカナダやアメリカに移している中国人富裕層と組んで=中国という国家では無く、中国人に投資をする、という方法で中国の購買力を享受しています。

日本も、和食が無形文化遺産になったりと追い風があるのですから、公共投資なんぞに血道を上げるのではなく、実は年間10兆円のキャッシュが落ちる観光などにもっと力を入れるべきなんですけどね。

話は戻りますが、中国人は今溜め込んだ黒字を世界中に投資しています。上海自由貿易特区構想の始動で今後貿易、金融、物流などを一気に自由化していく流れになっていますが、もう一つ為替も自由化を進めており、今後完全に元の持ち出し自由化が始まれば、さらに投資は加速されるでしょう。

これは、現在およそ一兆元(約1630億ドル)と推定されているオフショア人民元市場の流動性が増すことにも繋がりますが、一方で世界を買い捲る中国人と現地との摩擦も相当なモノになっていく事は必定でしょうね。

色々飛びますが、そんな訳で、元気な中小企業の海外投資意欲は依然旺盛で、来月も幾つか関わらせて頂く予定です。

7-9月期の法人企業統計は全産業の売上が上がったと騒がれましたが(たった前年同月比0.8%、318兆円足らずですけどねえ)、中を見れば、製造業大企業の経常利益が46.9%増になった一方で、中小企業売上はマイナス0.8%と逆にマイナスで、利益率もプラスマイナスゼロで停滞しています。

セクターでも、建設、不動産、人材派遣業の三つの産業セクターがプラス(当然ですよね)になっているだけで、ほかはオールマイナスです。非常にミスリーディングですね。

そこを支える公共投資にした所で、来年は今年の約半分の6兆円になってしまいますが・・・。

そして、GDPの60%を占める個人消費セクターは、小売り、健康、医療、流通、広告、教育など全て前期比マイナスとなっています。

ただそんな状況下でも御伝えした通り、個別には勢いのある、Minimization/Deleverageを享受する中小企業がシッカリと各地で成長している、そこは見逃してはいけないですし、地方再生と共に、ここは今後日本のキーワードと思っていて、直接間接にドンドン支援していきたいものですね。