前回と前々回にも、竹島と尖閣、韓国と中国、(本当はロシア・北方領土も凄く大きいですけど、直近の問題として今回は2つに絞って)では、全然事情も毛色(?)も違いますよね、と書きました。
だから、議員連盟なんぞが尖閣に行って騒ぎ立てる愚=アホ丸出しのパフォーマンスで自己陶酔してるんじゃねーよ(いかん、また口が悪い・・・(汗))、ということ。
少なくとも政府のレベルでは『現時点で騒ぎ立てたくない、今は穏便に収束させたい』という日中の思惑が一致している尖閣については、実効支配しているのは日本、焦って現段階で事を荒立てる必要は無いのだから、等、前回書いた通りです。
つまりは『安心安全』な島に、緊張感ゼロで渡航した位で、自慢げにドヤ顔されても白けるだけでしょ~(呆)、という事ですね。
公僕として国家の為に行動する、などと大袈裟に吹聴するのなら、『人柱』になる位のつもりで竹島に行って、韓国の警備兵に銃撃でもされれば、その非道ぶりを国際社会にアピール出来るじゃないんですか?と言いたい訳です。政治家なら、その位の覚悟と度胸と深謀遠慮があってしかるべきじゃないかねえ、ったく。
前々回に韓国と中国は民間レベルのメンタリティーも違っていて、今回の活動家にしても、自国内でも『金目当てで騒ぎ立てるプロ』という冷ややかな見方が殆どのようだし、ネットの書き込みも相当冷静且つ多様で俯瞰した意見が見られます。
あっという間に収まってしまったデモについては、日経ビジネス8月22日の記事『中国でのデモ、彼らは何を求めているのか~意外と軽い“反日”、本音はどこに~』の中で指摘された、
『デモに参加する中高生の背中に「釣魚島(尖閣諸島)は中国のもの、『蒼井
そら』は世界のもの」といった標語が張りつけてある。『蒼井そら』とは、中国
に異様に人気がありアイドル化している日本のAV女優の名だ。ある種の若い
中国人ネットユーザーの間では、最も有名な日本人である。今回の各地の
デモでは、反日でも蒼井そらは別、といったニュアンスで前述の標語が散見
された。』
なんていう位のユル~イ状況だったみたいだし・・・。
という事で、問題は韓国なんですが・・・
相当に酷い経済状況については、前回の記事でも書きましたが、特に“『勝ち組』と『負け組』があまりにも極端な格差”という所に触れると、『決定的に悪材料となった、輸出企業を優遇する為に政府が取ってきた極端なウォン安政策』のせいで、好調なサムスンや現代など財閥系企業と債務負担に苦しむ中小企業の二極化、という企業サイドの話、そして、家計サイドの内情を見ると、『45歳定年制導入下で、雇用率が59%まで低下する中』、若手の雇用が優先され、解雇された中高年は、借金をしてでも自営業を始める以外に生きていく手が無い、しかも、将来が不安な中で子供を大学に進学させる為にも、親は借金を増やさざるを得ない、という、追い討ちもかかっている結果、半数以上の世帯が疾病、借金、失業などの危機的状況に陥っているんですね。
Financial Timesによれば、韓国の家計債務は可処分所得の164%に拡大しているそうで、これはサブプライム危機時の米国の債務比率138%を超えている、と報じています。
以前このブログでも取り上げた通り、リーマン・ショック後、先進国の家計は債務削減を進めてきていますが、韓国の家計では逆行して増やし続けている訳です。当然消費は抑えざるを得ない。
また、日本の信用金庫に当たる貯蓄銀行=中小企業の取引先が、この2年間で計20行も営業停止になっており、特にこの7月8月だけで、トマト貯蓄銀行、パランセ貯蓄銀行、第一(チェイル)貯蓄銀行、第一2貯蓄銀行、プライム相互貯蓄銀行、釜山貯蓄銀行・・・と、一気に破綻の連鎖が起きています。
で、今回ご指摘頂いたのが、
『まずは、上記のように日韓貿易は、日本の素材・部品が大量に韓国に輸出され
ていて、日本の大幅な黒字、そしてウォン安を嫌って、円建てのものも多い。
そんな中で韓国経済は崩壊寸前という事は、いつ支払い不能に陥るか分から
んぞーという恐ろしい状態。
だから、結局はスワップは、韓国に融資する形をした、日本企業の救済という
意味合いが強いんですよね。』
という部分に対して、
「日本の輸出企業の代金回収については、経産省の輸出保険でカバーされるし、輸出全体で見れば僅かに過ぎない=たかが知れている韓国向けをカバーする、そんな中小企業防衛の為に政策決定なんて、有り得ないんじゃないですか?」
というモノ。
うーん、だとすれば余計にチャッチャと金融協定という名の韓国支援なんて打ち切っちゃえ、という話になっちゃいますね~。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
そこで、これまでの経緯から見えてくるのが、やっぱり米国の意図な訳ですよ。
そもそも、1997年も2008年も、通貨危機に陥った時の韓国は、必ず貿易収支の黒字が急減、或いは赤字化していて、『カネを海外から借りて国内投資に回す債務国』(対する日本は物凄い債権国!)である韓国にとっては、貿易赤字で外貨不足=返済不能、の連想を嫌った海外が融資繰り延べに消極的になったり、いわゆる「貸し剥がし」が起きたりすれば、即崩壊になるような脆弱な構造な訳ですよ。
ご存知の通り、97年はIMFにドルを借りて債務不履行をかろうじて回避した代わりに、とんでもなく厳しい緊縮政策を強制され、倒産や失業が急増しましたよね。
韓国人は、これを日本の併合に次ぐ「第二の国恥」と呼び、IMFはトラウマの象徴になりました。
そこで、2008年にはIMFでなくアメリカと、緊急時に外貨を融資して貰う通貨スワップ協定を結び、即ドルを借りましたが、資本逃避が収まらなかったので、続いて日本、中国とも同様のスワップを締結、ようやく破綻を回避した、という経緯があります。
その悪夢再び?、と衝撃が起きたのは、今年1月の貿易収支が2年ぶりの赤字になった事で、欧州の金融危機が再燃深刻化した後、船舶などの輸出が大幅に落ち込んだことが響いた結果でした。
実は前段階として、欧州の危機に際し、昨年9月から1ヶ月で13%以上ウォンが急落、一気に膨大な資本逃避が起きてデフォルト懸念が出た時、例の「外貨準備が潤沢だから大丈夫」という声明が出されましたが、その内容は前回書いた通り、『紙切れが大半』というヤツで、詳しく見ると、
現金=100億ドル
米国債=800億ドル
CDO=1000億ドル
その他債券=800億ドル
まあ言わずもがなですが、CDOや債券は簿価で計上されてます。マーケットがそんな声明で“騙される”はずもなく、ウォン売りは止まらない・・・。
そこで、外貨に窮した李明博大統領が米韓首脳会談でオバマ大統領にさらなる通貨スワップ増額を要請しましたが、「世界中で危機が起きている中で、韓国だけにスワップ枠を与えられない」と体よく断られてしまいました。アメリカらしいですね(笑)
仕方なく泣きついたのが、またもや日本。これがスワップ枠を700億ドルに増額した経緯です。その後、中国からも同じく500億ドルに拡大する協定を締結し、ようやく状況は収まりました。
上記の外貨準備の中身ですが、CDOだけでなく、以前このブログの記事『アメリカ雑感』でも触れた通り、今アメリカの地方自治体は、破綻寸前の所が沢山あります。そんな時に、もしウォンが暴落して、米地方債、勿論、米国債も売却という事態になれば、相当な金利上昇圧力になってしまいますね。
マーケットだって、韓国のショートストラテジー行けるぜ~という事になれば・・・要は、日本が韓国を見捨てる、という話になれば躊躇せず来るでしょう。実際今回の問題が起きて以降、ウォンは急落しています。
と・こ・ろ・が!!増額の協定を締結した後、ま~助けて貰った恩をアダで返すような手の平返しを次々と・・・

12月の日韓首脳会談でも、「従軍慰安婦に補償しろ」の一点張りだったそうだし・・で、今回ですね。
実は中国にもいきなりクレームを付けたのが、今年2月に、「中国への北朝鮮脱北者を北に送還するな」と突然、要求した件。まあ、言っている事は一見筋が通っているのだけれど、これまで韓国政府は脱北者受け入れにかなり消極的で、亡命申請した脱北者を在外公館が追い返した事もある位なんですね。
中国にしてみれば、「お前らが受け入れたがらないクセに、突然中国を悪者扱いして、アメリカを後ろ盾に国連で『人権蹂躙国家』などと言いやがって」と怒り爆発状態な訳です。
なので、こっちは少し先ですが、スワップ更新・・・怪しいっしょ。あーあ。
それもこれも政権末期で人気取りに走る李明博大統領のアホなパフォーマンスのせい。でも、韓国国民は、日本叩いて拍手喝采、結構支持率が上がっているそうな・・・教育って本当に大事だね。ちゃんと現実を直視して頂きたいものです。
でも、結局韓国の経済崩壊の引き金を日本が引いてしまう、とか、IMFに泣きつけば、最終的に日本がオカネを沢山出して救うしかないとか・・・
やっぱりブラフ以上には出来ないのかもね・・・orz

