久しぶりに、

ハラワタ煮えくり返る怒り。

 

TV番組での、お笑い芸人の発言。

薬をもらう時に、

薬剤師に症状を聞かれ、

「いや、(薬剤師には)関係ないやん」

「さっさと薬をもらって帰りたいのに」

「あれ全然いらん時間やと思った」

 

それを受けた、別の芸人の発言。

「だってそいつ(薬剤師)

見たって、

薬変わらへんからな」

もうひとりの芸人も

「薬剤師さんも

医療に携わってるから

”医者憧れ”みたいなのがある」

 

 

わたしの怒りって、

やっぱり悲しみから来ている。

たいせつなものを、

傷つけられた悲しみ。

誇りを持って

30年近くやっている仕事を

傷つけられたように感じたんだ。

 

ひとしきり、

頭に来るよね、悲しいよね、って

わたしに声をかけて、

ぶるぶる震え、

お腹の熱さを感じて、

そのうち、波は引いていった。

 

 

その芸人が言ったのと同じことを、

面と向かって言われた経験も

何回もある。

体調が悪く、

薬局に来るのもやっとなのに、

早く薬をもらって帰って休みたいのに、

病院で話したのと同じことを

また話さなきゃいけないの?

そう思う気持ちも

確かにわかる。

明らかに具合悪い人には、

配慮して短時間で済ませるとかの

気遣いはするけどね

 

でも、

わたしたちの仕事は、

患者さんに

薬を安全に、

最大限の効果が出るように

使ってもらうこと。

そのために、

症状の聞き取りや、

副作用歴、

アレルギー歴の確認

今飲んでいる薬の確認、

処方された薬の説明などは

必要不可欠。

同じことを医師に聞かれたら、

しっかり答えるわけでしょ?

薬剤師法で業務として

規定されている。

万が一確認を怠って、

事故が起きたら

責任を負う立場なんだよね、

薬剤師。

 

そして

薬剤師には

薬の処方権はないけれど、

薬が安全、確実に

使われるかどうかの

チェックも大切な仕事。

医師も人間だから、

間違うことがないわけではないし、

患者さんとの

コミュニケーションがうまくいかずに、

本来飲んでほしい薬が

出せなくなっていることもある。

問い合わせをして、

処方変更になることは普通にある。

そいつ(薬剤師)が見たら、

薬変わることあるんだわ

 

確かに、

医療の世界は、

医師を頂点にしたピラミッド型だった。

でも最近は、

患者さんを中心にして、

医師、看護師、

その他の医療職が連携して

患者さん主体の医療を行う体制が

出来つつある。

そこには、当然、薬剤師の姿もある。

薬剤師だからこそ、できることがある。

医師と対等、という意識までは

さすがにないけど、

薬剤師として責務を全うすることを

誇りに思ってる。

医者憧れとか意味わかんねーし

 

 

発言した芸人は

薬剤師の皆様、すみませんと

謝罪したようだけど。

薬剤師の仕事が

理解されていないのは

薬剤師にも問題あるよね。

こういうふうに思っている人もいる。

それが現実。

わかってほしいなら、

薬剤師も動かなきゃだ。

 

 

一方で。

「薬剤師さんから

アドバイスもらって助かっているよ」

「有希さんが

どれほど誇りを持って

仕事しているか、

伝わっているよ」

そうメッセージをくれたひとがいた。

わたしは、

どんなひとと向き合っていきたいのか。

どんなひとをたいせつにしたいのか。

改めて考えるきっかけになった。

 

たとえどんな考えの人であっても、

薬の専門家として

これからも、いつでも、

真摯に全うすること。

 

 

それから

「見えないところを

想像しない人が多すぎるよね」

とメッセージをくれたひともいて。

わたしは、どう?って

はっとした。

目に見えるものだけに

重きをおいていない?

自分を省みることにもなった、

今回の怒りだった。

 

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