初恋リセットAS(235) | 跡地~想い出のブログ

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2011年5月から2012年9月までの想い出です


恋愛小説『初恋リセット』



上手に整理をつけられない心とは裏腹に、成績だけは、さらに上がっていった

なにも考えなくていい時間

唯一それが、受験勉強だったからかもしれない

そして、2月23日、ついに受験の日を迎えた

俺は、電車での移動を避け、タクシーで外苑高校に向かっていた

携帯にメールが入る

三田からだった

[また、一緒に仕事できるの、楽しみにしてるから。がんばれ]

さらに広瀬からもメールが来た

[必勝!]

その後、事務所の仲間から、立て続けにメールが入った

すべて、今日の俺を励ます内容だった

1通、1通、目を通す度、胸が熱くなった

受験前に感情的にもなっても、まずいよな

そう思ったけど、立て続けに入るメールに、抑えきれないものがあった

俺はホントに弱くなったんだろうか

気が付けば、また泣いている

「お客さん、大丈夫?」

心配したのか、タクシーの運転手が声をかけてくる

「今日、受験なんですよ。みんなから応援のメールもらって、感動しちゃってました」

俺は少し照れながら、正直に答えた

「お~、それなら、がんばらなきゃな」

「はい」

外苑高校に着いて、タクシーを降りると、またメールが入った

及川だ・・

[焦らず、しっかりな]

及川にしちゃ、随分あっさりした内容だな

少し心に余裕ができている自分に気が付いた

俺は、人目もはばからず、大きく背伸びをした

「よし、行くか!」

大きく声に出して、そう言ってみた

周りにいた女子学生が、そんな俺を見ながらくすくす笑っている

「みちあき~」

校門に入ろうとしたとき、誰かが俺を呼ぶ声がした

遠くから、俺を呼んでいるのか、やっと聞こえるくらいの小さな声だった

俺は、思わず辺りを見回した

声の先に、遠く人影が見えた

表情が確認できないくらい離れた距離だったけど、俺にはそれが誰かすぐにわかった

小さな人影が、大きく手を振っている

俺は心のなかで、呟いた

(あきね・・ありがとう)



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[登場人物]