「汚れててごめん。でも、こんなんでもよかったら、あたし、みちあきに抱いてほしいんだ」
「汚れてるとか言うなよ」
「でも、あたし・・」
「なに?」
「初めてじゃないし・・」
「くだらないなぁ」
「くだらなくないよ!こんな未来が来るのわかってたら、あたし、みちあきが最初がよかったよ」
また、あきねが泣きそうな顔をする
この小さな子供が涙を我慢しているような顔、もう何度見たんだろう
「まぁ、1人目が無理やりで、2人目がだまされたんだろ?」
「な、なんでわかんの?」
「そりゃ、まぁ、ここまでの話聞いてたら、なんとなくわかるよ」
俺が笑うとあきねが少しだけ、ほっとした顔をした
「おかしいよ」
でもすぐに、あきねはなにか気に入らないような顔をする
「なんで?」
「みちあき全然変わらないんだもん。あたしの過去を知っても全然変わらない。逆にそれが信じられないよ」
「あきね、それは違うよ」
「なにが違うの?」
「それがあったから、俺たちこうして出会えてる」
「そ、それは、そうだけど・・」
「あきね、おいで」
俺はそう言って、あきねをそっと引き寄せた
腕のなかにあきねが、すっぽり収まった
「あきねはただ、傷ついただけなんだよ。それが、まだ痛い痛いって心に残ってるだけなんだよ」
「・・・」
「だから、俺がこうやって、毎日抱きしめてあげる」
「・・・」
「そしたら、少しずつ元気になるからさ」
「そんなこと言われたら、また泣くよ」
「いいよ、泣いて」
俺はあきねの背中をゆっくり擦った
「あきね、こうやって一日、一日過ごしていこう。自然でいいじゃん」
「うん・・・」
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