初恋リセットAS(142) | 跡地~想い出のブログ

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2011年5月から2012年9月までの想い出です

恋愛小説『初恋リセット』




「みちあき、く、苦しいよ」

あきねにそう言われて、俺は思わず手を緩めた

なにをしているのかわからない、そんな状態になっていた

「これも仲良しの証拠なの?」

「そ、そうだ」

「さっきカラボで抱きしめられたのは、あたしも泣いてたからまぁいいとして」

「・・・」

「100歩譲って、手を繋ぐのもいいとして」

「・・・」

「でも今のはなに?」

「ご、ごめん」

あきねが俺を少しばかにしたような顔で笑った

「なんか、みちあき。ちゃんと答えられなくなってるね」

「・・・」

「いつもと違って、おかしいね」

そう言われて、俺は返す言葉もなかった

「あきね、なんか性格変わってないか?」

俺がそう言うと、あきねが急に視線を外して伏目がちになった

「こっちがホント」

「え?」

「こっちがホントのあたし・・・」

「・・・」

「ホントのあたしはすっごい嫌な性格してんの。ホントは自分で自分が嫌で嫌でたまらないんだ」

「・・・」

「意地悪で、根に持って、暗くて、じめじめしてて・・・最悪なんだよ、あたし・・・」

「・・・」

「だからさ、そうじゃないように、そうじゃないようにって、色んな性格作ってたら、もうどれが自分かわからなくなっちゃって・・・」

あきねは下を向いていた

きっと俺に顔を見られるのが嫌だったんだろう

涙がぽたぽたとアスファルトの上に落ちていく

俺はしばらくただそれをじっと見ていた

頭の中で考えることは、なにもなくなっていた

強い衝動だけが、勝手に言葉になった

「好きって言うのはさ」

「え?」

「全部好きだから、好きなんだよ」

「・・・」

「性格がどうだこうだとか、ここがいいとか悪いとか、そんなの関係ねぇんだよ!」

「・・・」

「俺が好きって言ったら、絶対に好きなんだよ!」

俺はうつむいたままのあきねの身体をそっと引き寄せた

「いいから、黙って俺を好きになれよ」

あきねの耳元で、そう囁いた




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