初恋リセットAS(122) | 跡地~想い出のブログ

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2011年5月から2012年9月までの想い出です

恋愛小説『初恋リセット』




「あのさ~」

早川さんが、なにか言いたそうな顔をしている

「どうしたの?」

「これから、ちょっと時間ある?」

「まぁ、今日は帰ってDVD見るつもりだったから、時間は別にいいけど」

俺がそう言うと、早川さんがうれしそうな顔で言った

「じゃ、ちょっとそこのカフェにでもつきあってくんない?」

「なんで?」

「もう1曲聴いてほしいんだよ」

「ここじゃダメなの?」

「うん、ちょっと感想とかもきかせてほしいからさ」

「うん、いいよ。じゃ、そこのスタバ入る?」

「もうちょっと静かな店がいいんだ。ちょっとあたしについて来てよ」

そう言って、早川さんが俺の手首を掴んで歩き出した

古い雑居ビルが立ち並ぶ一角に、古い喫茶店があった

ガランとした店内には、客が数名いるだけだ

「また随分、年季の入った店ですね」

俺がそう言うと、早川さんが笑いながら言った

「そうだね~、明日潰れてもおかしくないような店なんだけど、なぜか潰れないんだよ」

店の片隅の席に座ると、また早川さんが、ヘッドホンを差し出す

「この曲なんだ・・」

早川さんがそう言った瞬間、耳から優しい音楽が流れてきた

明るい夏の陽射しを感じるような・・そんな曲

やがて、伸びのある女性ボーカルの声が聴こえてきた

(あ、あれ?日本語だ・・)

歌詞は日本語だった

[あの空の向こうに、あの空の向こうに]

それがサビだった

ホントに空の向こうに、心が突き抜けていくような気がした

「ね、どうだった?」

曲が終わって、早川さんがそう尋ねた

「うん、すごいいい曲、マジで感動した」

「誰が歌ってるかわかった?」

早川さんが上目使いで俺を見る

「え?えー!」

そっか、この歌声は早川さんなんだ



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[登場人物]