初恋リセットAS(113) | 跡地~想い出のブログ

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2011年5月から2012年9月までの想い出です

恋愛小説『初恋リセット』




「あのさぁ、やよい」

「なに?」

「まだ受験まで1年あるんだぜ」

「うん」

「夏までにしっかり成績上げて、それで親をもう一度説得すればよくない?」

「でも、もうすぐ進路相談あるし。先生にちゃんと外苑高校を受験するって言いたいんだもん」

やよいはそう言うと、少し不機嫌そうな顔をした

(やれやれ)

「ちょっとあたしがなにか言うと、家にはお金がないからって、最近そればっかりなの」

(なんか色々たまってっぽいな~。しばらく、やよいの好きなように話させたほうがよさそうだな)

「離婚したのはあたしのせいじゃないじゃん。親の勝手な都合じゃん」

「そうだな」

「なのに、まるであたしが悪いみたいな、そんな言い方すんだよ、あの親」

「そっか」

「あたしだって・・・あたしだって、不安だよ。マジ落ちるかもしんないし。でも、いっぱい考えて、やっと決心して決めたんだよ」

やよいはそこまで言うと、ぽろぽろと涙をこぼし始めた

「それに、それに・・・」

「うん」

「あたし、みちあき好きなんだよ。高校で離れ離れになるのイヤなんだもん」

「・・・」

「みちあきが大変だったのは、わかってるの。でも、あたし、寂しかったんだよ、寂しかったんだもん」

やよいの気持ちもわからないわけじゃなかった

「みちあき、側に来てよ。また、前みたいに抱きしめてよ」

俺は言われるがままに、やよいの横に座って、そっと肩を抱きしめた

やよいが俺に身体をあずけてくる

そのままふたりソファに横になった

やよいが俺の身体に手を回し、子供みたいにしがみついてくる

俺がそれに呼応するように抱きしめると、やよいの泣き声が大きくなった

(そうだよな、やよいも寂しかったんだよな・・)

気が付くと、やよいの髪を静かに撫でていた

寂しくて、何度もゆいさんのメールを読み返していたあの日

あの日の自分の寂しさを思い出した



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