「ふ~」
長い沈黙の後、ゆいさんが溜息をついた
「だめだ、だめだ、あたし。こんなんじゃだめだ~」
ゆいさんが今までの自分を吹っ切るようにそう言った
「そう、みちあきの言うとおりだよ。あたし逃げてた」
「うん」
「ズバリ、セックス気持ちよかったの!」
ゆいさんがそう言って笑った
元気な笑顔を久しぶりに見た気がした
「身体だけなんて言ったら、みちあきが離れていきそうで怖かった」
「うん」
「それだけは認めたくなかったの」
「うん」
「気持ちよくて、毎日楽しくて、こんな日がずっと続けばいいって思ってた」
「そっか」
「だってあたしだって初めてみたいなもんだもん。やっとセックスできる男見つかったんだもん」
そう言って笑いながら、ゆいさんが俺のほうを見た
「どうしたの?みちあき・・泣いてるの?」
「ううん、大丈夫。平気、平気だから・・」
「みちあき・・・」
泣くつもりじゃなかった
ここを笑顔で乗り切るつもりだった
ここで泣いちゃダメなのに・・
「みちあき・・ごめんね、ごめんね」
「うん、ホントにもう大丈夫。それに・・」
「それに何?」
「今みたいなゆいさんがいい。今みたいなゆいさんのほうがずっと素敵だよ」
「みちあき・・」
ゆいさんがそっと俺を抱きしめた
そして静かに言った
「でもさ・・みちあき」
「なに?」
「みちあき、かわいいよ。かわいくてたまらないかも・・」
「え?」
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