「ゆいさん、聞いて」
今なら言葉がすんなり、ゆいさんに入っていく気がした
いつのまにか、そんな空気になっていた
「俺はゆいさんに感謝しているんだ」
そう話す俺の顔をゆいさんが不安な顔で見つめる
ゆいさんの不安も、自分の不安も今ならわかる気がした
この関係を繋げていくのも、ここで終わらせるのも自分次第のような気がした
「前にゆいさんに言ったじゃない?ゆいさんを守れるくらい強くなりたいって」
「うん」
「あの言葉に嘘はないんだよ」
「ホント?」
「うん、ホント。俺、アフィリエイトシステムを開発してたときさ」
「・・・」
「寂しさに押しつぶされそうだったんだ」
「・・・」
「そんなとき、毎晩ゆいさんメールくれて。うれしくて何度も何度も読み返したよ」
「そうなの?」
「うん、あのゆいさんの優しさがあったから、俺は最後までやれたんだよ」
「・・・」
「じゃなかったら、途中でダメになってたと思う」
俺は言葉をひとつひとつ噛みしめるように言った
「俺が好きなのは、そんなゆいさんなんだ・・」
「うん・・・」
「ねぇ、ゆいさん」
「ん?」
「セックスって気持ちいいね」
「え?」
俺がそう言うと、ゆいさんは少し慌てたような顔をした
「気持ちいいよね?」
「・・・う、うん」
「俺、気持ちよすぎて、ずっとおかしくなってた。それがゆいさんを愛することだって、勘違いしちゃってたよ」
「・・・」
「ゆいさんは、違うの?」
「え?」
「俺は今ゆいさんがセックスできるたったひとりの男だよね?」
「・・・」
「でも、それだけ?俺ってそれだけなの?」
「ち、違うわよ」
「じゃ、ゆいさんは俺のどこが好き?どんなとこが好き?」
ゆいさんを責めるつもりはなかった
でも、もうここを避けて先には進めないこともわかってた
俺は静かにゆいさんの答えを待っていた
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