初恋リセット(105) | 跡地~想い出のブログ

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2011年5月から2012年9月までの想い出です


恋愛小説『初恋リセット』



「一番悲しかったのはさ」


「うん」

「バレンタインなんだ。小学生のとき・・」

「・・・」

「みんながクラスの好きな男子の話しているとき、りなは誰が好きなのって聞かれてさ・・」

「うん」

「そのままひとりでトイレに駆け込んで泣いた」

「・・・」

「そのとき初めて自分がみんなと違うって気づいたんだ」

「うん」

「あたしにはあいつがいるから、育ててもらってるから・・他の人好きになっちゃダメだってわかってた・・でも・・」

「でも?」

「悲しかった・・」

「うん」

「そのときの気持ち、無理やり心の中に押し込めたの。でも、ホントはいっぱいいっぱい悲しかった」

りなはそう言って俺の方を向いて笑った

遠くに見える景色とりなの笑顔が重なって、愛しい気持ちが溢れだした

俺はそっとりなを抱きしめた

「りな、泣いていいよ」

「でも、もうゆきとの前で泣いてばっかりだから」

「いいから」

こうやって、りなの心をひとつずつ開いていくこと

今の俺にできることは、それだけだと思った

<次の話><はじめから>

<登場人物>