[H28調剤報酬改定]かかりつけ薬剤師?手帳は忘れると高い? | PCマニアときどきアウトドア

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忘れっぽいので備忘録として記録することにしました

 明日、平成28年4月1日より、いよいよ診療報酬改定の新制度がスタートします。テレビやネット上でも話題に登っている「かかりつけ薬剤師」と、「お薬手帳の持参」で料金はどう変わるのか、簡単に説明します。今回の改定は非常に複雑なので、テレビ、ネットともに、中には間違った報道もされているので、惑わされないよう注意


 まずは2つの制度「かかりつけ薬剤師」と「お薬手帳」についておさらいです。


「かかりつけ薬剤師」制度について

 薬について相談できる薬剤師を決めてもつ事で、今まで疎かにされてきた飲み合わせチェックや、適切な薬の使用によって病気の重症化を予防する、余った薬を調整して無駄な医療費を削減するといった目的があります。

 異なる診療所・病院にかかったときに、それぞれの近くにある薬局で薬をもらって、おくすり手帳もそれぞれ違うものを使っていたら、飲みあわせのチェックがかからず、非常に危険な薬の使い方をしてしまうことになりかねません。

 また、病院の近くにある薬局は、少ない薬剤師人数で大量の処方せんを調剤する(そうしないと儲からない)ので、なかなか1人1人に対して、「お薬手帳は本当に持ってない?市販薬買って飲んでない?」という確認も(本来の職務からいうとダメなことですが)おろそかになりがちです(すべての病院近くの薬局にあてはまるわけではありませんよ?)。

 こういった問題点を改善するため、かかりつけ薬剤師による一元管理が提示されたいきさつがあります。


「お薬手帳」について

 今までの制度では、お薬手帳ありの薬歴管理指導料(41点)か、お薬手帳なしの薬歴管理指導料(34点)でした。薬歴とは、カルテのことで、今までに服用したことのある薬を経時的に記録し、副作用やアレルギーの発現情報を管理して、薬害を防いで効果的、効率的な治療をするためのものです。

 新しい制度では、初回は薬歴管理指導料(50点)、2回目以降はお薬手帳ありの薬歴管理指導料(38点)、お薬手帳なしの薬歴管理指導料(50点)となっています。

 負担する料金がお薬手帳のあるなしで全く逆になってしまいましたが、これはテレビ、雑誌、新聞などの報道等で、「手帳を持っていかない方がお得!」と安全性が全く無視された価値観が植え付けられ、お薬手帳の普及に障害となってしまったためです。

 薬の副作用による被害の範囲が大きい場合、厚生労働省も訴訟の対象にされます。これを防ぐためにはお薬手帳を普及させ、副作用やアレルギーを未然に防止する必要がありますし、何よりも病気を治療するはずの薬で苦しむ人が生まれるのを防ぐ必要があります。


料金(点数)はどうなるの?

 ざっくり以下のようになります。

初回の処方せん受付2回目以降の処方せん受付
(いずれか一つのみ)
条件
薬歴管理指導料(50点)薬歴管理指導料(50点)・手帳を持参しない
・6月以上受付しない
薬歴管理指導料(38点)・手帳を持参した
かかりつけ薬剤師指導料(70点)・かかりつけ薬剤師に同意
かかりつけ薬剤師包括管理料(270点)複雑なので略。
該当する人はかなり少ない。


 ここでまた、「かかりつけ薬剤師を選ばないほうがお得!」となる事は目に見えていますね。しかし、薬による危険性を考えてみてください。毎年何名かの方が、薬の副作用やアレルギーで苦しみ、さらに残念なことに何名かは亡くなっています。

 ここ最近はジェネリック医薬品の普及が進み、名前や見た目では同じ薬かどうか、素人では見分けがつきません。名前が違って錠剤とカプセルのものもありますし、中には貼り薬と錠剤で同じ成分のものもあるって知っていますか?ここで「かかりつけ薬剤師による情報の一元管理」が重要になってきます。


「かかりつけ薬剤師」制度をどう利用するか

 ほとんど健康に過ごしていて、3日分の風邪薬をもらってきた!って方(そのときだけで治療が完結する方)はかかりつけ薬剤師を持つメリットはほぼ無いでしょう。

 普段から血圧の薬など毎日慢性疾患の薬を飲んでいて、他の病院は絶対にかからないし他の薬局にも行かない、健康食品も飲まないって方はどちらでも良いと思います。ただし、薬剤師に相談したいことがある方は、かかりつけ薬剤師をもったほうが情報が一元管理されて(担当の薬剤師ができて)良いと思います。

 たくさんの薬を飲んでいる(感覚的な量で構わない)、複数の病院・診療所にかかっている、お薬や健康について相談したいことがちょくちょくある、という方はかかりつけ薬剤師をもった方が良いでしょう。余ってしまった薬を調整してもらうことで、無駄な医療費負担を減らすことはもちろん、処方医と連携して薬そのものを減らしてもくれます。情報が一元管理されているので、細かい相談にも対応してもらえます。

 上記はあくまでも「たとえば」であって、かかりつけ薬剤師を持つことで医薬品使用の安全性が向上することは間違いありません。しかし、かかりつけ業務は薬剤師個々のスキルに依存する部分も非常に大きいので、かかりつけ薬剤師を選ぶ際には、どんな薬剤師なのか?自分の病気についての知識がしっかりあるか?親身に対応してくれるか?を見極めなくてはいけません。

 かかりつけ薬剤師は、好きなときに変更することも可能なので、とりあえず持ってみる、というのも悪くないかもしれません。しかし頻繁に変更していては負担金が高くなるだけで制度の恩恵をうけることはできませんから、注意が必要です。


 以上、新制度について少しでもお役にたてれば