4月1日に結婚しました。
ウソみたいな出会いだったから、結婚するのもこの日がいいね、と二人で話し合い、決めました。
僕と結婚相手であるアイドルKの出会いは、4月1日に見た夢の中でした。
第1話「ラブストーリーは突然に」
食パンを口にくわえて、僕はコンクリートの地面を強く蹴った。
住宅街を風のように、あるいは元気なおじいちゃんのように、走る。
「もうすぐだ」
思わず、口に出す。もう学校には通っていないが、なんとなく昔を思い出して、学校に向かって走っていた。
次の角を曲がれば、いよいよ学校だ。
最後のコーナーをF1のような、あるいは杖をついたおじいちゃんくらいのスピードで、曲がる。
「きゃっ」
ドンガラガッシャーン。
反対側から走ってきた美少女とぶつかった。
そのときだった。
「いたた……あ、もしかして、結城龍之介さん? あの……私と結婚してください」
最終話「婚姻届は見たこともない」
婚姻届に印鑑を押して、市役所に提出した。
これで僕とアイドルKは、夫婦になる。
「ウソみたいな出会いだったから、出会ったのが今日で良かったね」
彼女の言葉を聞いた瞬間、僕は目を覚ました。
なにもかもがウソだったとは信じられず、市役所に行って確認したが、僕とアイドルSは、当然のように他人のままだった。
この話を書いたら、僕はウソつきになるのだろうか。
いや、夢で見た話なのだから、ウソにはならないだろう。
そのとき僕は、そう思った。
……まあ、ホントは、
そんな夢見てませんけど。