まさかこんなに早くブログを更新することになるとは思わなかった。

今回も読書感想文。



沼田まほかる『猫鳴り』

まずは裏表紙に載っているあらすじを。



ようやく授かった子供を流産し、哀しみとともに暮らす中年夫婦のもとに一匹の仔猫が現れた。

モンと名付けられた猫は、飼い主の夫婦や心に闇を抱えた少年に対して、不思議な存在感で寄り添う。

まるで、すべてを見透かしているかのように。

そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた……。

「死」を厳かに受け入れ、命の限り生きる姿に熱いものがこみあげる。




以上、引用終わり。

あらすじにもあるように、この物語は「生と死」を描いた、残酷で、温かい物語だ。

死はつらいもの。

その死のつらさをまっすぐに描いているせいで、目をそむけたくなる。



それでも読んでしまうのは、圧倒的な描写力によるところが大きいと思う。

情景描写、その人物に寄り添う描写がものすごく上手くて、つらいのに、するする読んでしまう。

死が目の前にありありと浮かんでくるようなシーンも少なからずある。



つらい描写を乗り越えて最後まで読むと、初めて作者の言いたかったことがぼんやりと見えてくる。

「死」はこういうものだ、と押しつけるわけではなく、私はこう思うけどどうですか? というような投げかけられ方で。



この話を読んで、僕はものすごく猫が飼いたくなった。

猫と一緒に、寄り添うように暮らしたいなと。



『猫鳴り』は、残酷さを乗り越えてでも読む価値がある作品だと思います。

オススメ度★★★★