
私がまだ大学生の頃の話なので、
20年くらい前の話です。
就職活動をしていた時、
地元の合同企業説明会に参加しました。
その日の合同企業説明会は、
ホテルのホールで開催されていて、
地元では有名な会社が多く集まっている説明会でした。
就職活動中の大学生も多く参加していて、
大学は違えど同じ中学高校だった知り合いが何人もいて、
ちょっとした同窓会みたいな感じでもありました。
それぞれ会社のブースがあって、
私も気になる会社のブースに行って説明を聞いたり質問をしていました。
その中で、
地元のとある銀行のブースにも行きました。
さすが地元の銀行なだけあって、
説明会に参加したい学生がたくさん集まっており、
ブースに並べられた椅子が全て埋まって、
順番待ちもしているような状態でした。
その銀行の説明会担当(人事?)の方が男性だったのですが、
愛想も悪いし、やる気もあるのかないのか、
常に伏し目がちで学生と目を合わせず、
正直感じが悪い人でした。
おそらく、こんな合同企業説明会に参加しなくても、
就職希望者は山ほどくると思っているからなんでしょうね。
説明会も、資料を配って、
「そこに書いてある通りです、何か質問があればどうぞ」
という感じでした。
学生からぽつぽつ質問の手が挙がり、
私も質問をしました。
どういう質問をしたかははっきりと覚えてはいないのですが、
入行後の配属先の仕事についてとかだったような気がします。
私が質問をした後、
私が提出した説明会申込書(自分の名前と大学名が書いた紙を提出する必要がありました)を見て、
その担当男性は言いました。
「あなたはアキヱさんっていうんですね。
あなたみたいな考え方の人間は、私たちの銀行には必要ありませんので。
あなたを私は絶対採用したくありませんね」

今の私だったならば、
「そうですか、わかりました」
と言って席を立つところです。
しかし、
その時はまだ二十歳そこらの大学生。
他の大学生が大勢(おそらく知り合いも)いる中、
自分を完全否定されまして、
悔しいやら恥ずかしいやら、
泣きたいのをぐっと堪えて説明会が終わるのを待ちました。
もしかしたら、
私の質問は、幼稚なくだらない質問だったのかもしれません。
でもさ、
そんな言い方するほどの質問をしたかな?
大学生に、そこまで言うことなくない?
と、今でも思っています。
だってさ、
学生って、未来のお客さんなんですよ。
私はともかく、
周りにいた学生たちにも、
この銀行の銀行員怖いな…、
という印象を持たれたのではと思うのですけど、
どうなんですかね…。
そんなこと関係ありませんかね…。
その銀行は、
私の親戚のおじさんが、
経営している会社がヤバいとなった時に、
唯一お金を貸してくれた銀行らしいのです。
それでおじさんはその銀行に恩義を感じていて、
その話を聞いていた私も良いイメージを持っていました。
その良いイメージが、
その一件で見事にぺしゃんこになりました。

月日は流れ、
私は結婚して他県に引っ越すこととなり、
地元の銀行を解約することにしました。
はじめにお話ししたあの銀行の口座も、
私は持っていたのですが、
こちらも解約することにしました。
入っていた金額は、数百万円。
たいした額ではないかもしれませんが、
私にとっては大金でした。
解約する時に、解約理由を聞かれました。
普通に「他県へ引っ越すから」と答えました。
でも、
「学生時代に◯◯さんという男性行員の対応ですごく嫌な思いをしたので」
って言おうかな、って、一瞬思いました。
あの一件から、ずっとずっと、あの男性行員のせいで解約したいと思っていたので。
(結局、引き落とし関係の変更手続きが面倒でズルズルここまで来てしまったのだが…)
まあ、たかだか数百万のお金じゃあ、
私にとっては大金でも、
銀行にとっては端金だから意味ないんだけど。
私にお金がないばかりに、
負け犬の遠吠えになってしまうところだった。
妄想だけで終わりました。残念。

以前パートで働いていた会社では、
よく職場体験の中学生を受け入れていました。
上司が社員に言っていたのは、
「中学生だからといって、
いい加減な対応をしてはいけない。
中学生だって、
職場体験の外では大事なお客様なんだからね」
本当にその通りだと思います。
