こんばんは。

 

やっと、やっと筆を取りました。

少しずつ書き進めていったので、支離滅裂だったらごめんなさいね。

 

そして、先に謝っておきます。

これは、あの時間に未練たらたらな阿部が書く、一種のラブレターになりそうです。

 

重いと思いますが、ご承知おきくださいね。

 

 

さて。

『ムカイ先生の歩いた道』

あっという間の3日間。

全6公演、無事終幕いたしました。

ほんと、あっという間。

 

 

出演のお話が決まったのは、昨年の4月。

今住んでいるお家を内見に行った日の帰りの道中でした。

一緒にいた母に、背中叩かれて激励されて、泣きそうになったなぁ。

 

Gフォースアトリエの壁に貼ってある過去公演のフライヤーの中でも、なぜか印象に残っていた『ムカイ先生の歩いた道』の再演。

そのちずこ役。

 

気持ちを新たにしなければならないような、一つ覚悟を決めて挑まなければならないような。

確実に、一つギアが入ったことを今でもはっきりと覚えています。

 

 

多分、今までで1番早く台本を印刷した気がする。笑

 

自分のセリフはもちろんなんですけど、読み始めた頃は本心が見えなさすぎて。

自分が関わらないシーンにこそヒントが隠れている気がして、隅から隅まで印をつけてました。

 

 

ちずこさんって、どことなく私とおんなじ考え方してるなってところが多々あるんです。

「なんでもいい」って言っちゃうとことか。

強がりきれないとことか。

急に語彙が未知になるとことか。

 

でも、根本にあるものが違うなって感じてて。

嘘でもなく、自分を卑下するでもなく、ただ強く優しく、芯の通った女性。

 

「どうしたら、何が、彼女をここまで支えているんだろう。」

 

稽古が始まるまで、そして稽古が始まってからの数日は、ずっとずっと、その根拠探し。

 

たどり着いた私なりの答えは

「愛し愛されているという疑いない事実」

でした。

 

それはまー君はもちろんのこと、八百屋の父や、母を失ってからきっと親のように見守ってくれていた商店街のおばさまおじさまにお客様。

あったかい、それこそ「セピア色」の温もり溢れる風景ばかりが浮かんでくる彼女だからこその強さ。

 

「おっと、役のハードル、上がったぞ」と思いつつ、この答えからなぜだか揺るがなかったのです。

 

 

・・・まあ苦戦しました。

知らんもん、その感覚。

 

稽古場に居残っては、陰鬱な(笑)私の悩みを聞いていただき、頭を整理し、アドバイスをもらい…

どれもこれも当てはまる感情を湧き上がるままに全部拾い上げて、全部試してみて、の繰り返し。

稽古前半の気迷いすぎな私にお付き合いいただきました皆様、本当にありがとうございました。

 

 

転機は、作家の加藤さんが初めて通し稽古を観にいらした稽古でした。

ありがたいことにお褒めいただきまして。

「これ以上やったらやりすぎ」のラインに乗っている、と。

 

なんでしょう、吹っ切れたのです。

ポストもしてましたね。

 

 

 

私自身がヘニョヘニョでどうするんだと。

相方、ひいてはまー君に失礼ではないかと。

おお、これか。

これが根拠たる強さか、と。

 

それからは、ただただその場の時間が楽しかった。

毎回が新鮮で、発見ばかりで、ワクワクしてたまらなかった。

 

 

感謝しかありません。

まさのりさん、いやまー君こと肥後さんには。

芝居を交わしてて、安心感というか、信頼がすごい。

こっちももっと挑戦していいんだなって思わせて下さる。

 

私、この人みたいな役者になりたいって心の底から思った。

 

や、本当にすごいんです、言い過ぎるとあれなんですけど、本当に。

いつでもセリフの早回し始まって全シーン付き合ってくださるし。

シーンに対するコミュニケーション的確だし。

とんでもなくストイックだし。

 

私こそ、あなたが相方で本当に良かった。

 

緊張しつつも、楽しみで仕方なくて、安心して板の上で呼吸ができた。

一瞬一瞬を大切に、まだありありと思い出せるほど景色を覚えていて、「終わってほしくない」って思った。

 

ね、重いでしょ?

本当の本当に、心底楽しかったんです。

 

 

 

さ、若干気持ち悪いね。

一旦ここで引いておきます。

 

 

よし。

ご好評で嬉しかった衣装の話でもしましょうか。

「1年」を生きるということで、…の衣装がありました。

 

「『昭和30年代』のファッションってなんぞ?」

から始まり、

「おー、オードリー・ヘップバーンね」

「ニュールック…?」

とだいぶ迷走に迷走を重ねて決めた衣装だったので、ご好評で嬉しい飛び出すハート

 

 

【春・初デート】

 

2度前の公演の際のちずこ役、神崎ゆいさんのブログを偶然拝見しまして、

 

「分かる!気合い入れる!よしワンピース!」

って探してたら運命の出会いをしたこちら。

私の中でちずこさんのイメージカラーはオレンジだったのですが、うん、柔らかい黄色もあり。

普段の自分じゃ絶対手に取らないデザイン…でした。

一番「よかった」って言っていただきました。

今後、箪笥の肥やしにはしたくないなあ・・・。

 

 

 

【夏・約束】

こちら、スカートは実は母のお下がり。笑

シャツは当時の時代感に沿って探していたら、店員さんがとても丁寧にご案内してくださり、全てのアイテムの中で最高額 でしたが納得の選択になりましたこちら。

 

 

 

【冬・幸せな時間】

(ゲネの場面写真なかったので、初衣装付き稽古の日の一枚。

まだ靴下キューティー案の時。)

 

えっと、こちらのコートも母のお下がり。

観てくれた母に、後日突っ込まれました。

スカートはこの後の大事なシーンの1候補。

ただただ私が、好きな色ですね。

 

 

 

 

【春・最後の日】

「これだ!」ってなったこちらのスカート。

今になってみると、ちずこさんのイメージになる大切なシーンにこれを選んで本当正解だったな。

 

 

 

一度も板の上で視線を交わすことのなかった、共演の皆様のお話もしていきましょう。

 

まずは子供たち4人兄弟。

ようやくご一緒…できました後藤先生。

中止になってしまった幻の氷雪の門以来、お久しぶりの竹野さん、好美さん。

いつもいつも本当に甘えさせていただいてます、マリさん。

ほんと個性爆発。

 

そして長男の奥様、さきさん。

一緒になって稽古後に頭抱えてましたね。

大切にしていたシーン、大好きでした。

 

孫2人、里美さんはなかなか話せなかったけれど劇場入りしてからたくさんお話できて嬉しかったです、本当に素敵な方。

菜月ちゃんは可愛い。

どこまでも真剣で、応援したくなっちゃう。

 

彼氏君、新井さん。

ちずこ・まさのりのシーン、真剣に外からの意見を伝えてくださって、本当に助かりました。

 

謎の男。

実は1番共演の多い役者さんな気がします、黒田さん。

もう本当にお世話になりっぱなしです。

大切な最後のシーン、一緒に大切にしてくれてて嬉しかった。

 

出版社、どんどん乗っていくのが観ててワクワクでした河合さん。

そしてまさかまさかの再会、端々に似てるなって感じてたなおちゃん。

 

こんな風になるには一体どうしたらいいんだって目が離せませんでした、俵さん。

一緒に板の上にいられた時間、私たちはストップしていなければいけないのに泣かされそうになりました。

 

そして。

どこまでも魅力的。

同じちずこを演じられたこと、嬉しく思うと同時にたくさん学ばせていただきました、菅野さん。

真似できないものと分かっていながら、稽古中ガン見させていただきました。

あんなに食い入るように台本読んだのに、菅野さんの声で聞くと、本当は拾わなければならなかったワードだってハッとするんです。

最後の時間、助けられてのせられて。

あんな思いっきり迷いなく感情を溢れさせられたのは、確実に力強いお力添えをいただいたからこそ。

 

本当にお世話になりました。

またご一緒することがあるならば、次はお芝居交わさせてください。

 

 

そして備忘録。

 

「胸に頭を預ける」のト書き、随分苦戦したね。

形わからなすぎて、何度イラスト検索かけたか。

違和感ありすぎて、初荒通しのそのシーンの動画、咄嗟にスクショしたよね。

…よくああなったよね。

ほんと様様です。

 

「目合わせるの苦手」ってのは変わらずなんだけど。

迷ったり、なんか違うなって思ったら、とりあえずすごい見た気がする。

だいぶくらってしまった回もありましてね・・・

 

未だに自分のセリフも相手のセリフもスラスラ出てくるくらい死ぬほどシーンを擦ったのに、だいぶ遊んでいただいて(笑)

毎度毎度生まれるものも違って、でもそれら全部に実があるって、お芝居の楽しいところこれでもかって味わわせてもらったなぁ。

 

肩振るわせるのは、ずるいです。

あと、ちょいちょい的確すぎるパンチ放ってくるの、ずるいです。

私にも放ち返せる技量があったら、もっと楽しかったんだろうな。

 

大好きな後ろ姿と、それが闇に消えていく照明が、本当に本当に。

一旦役を置いておくと、後ろ姿がツボな私には二重に刺さっておりました。

 

 

真摯に、真剣に、一瞬一瞬を取りこぼすことなく大切に。

たった1年を生きた2人のように、たった1ヶ月を「頑張って」生き抜けたのだと。

 

満足なんて、1ミリだって思わないけれど。

生き抜いた時間たちはいつだって本当で、これからもふとよみがえる大切な思い出です。

 

だって、次の台本のセリフ確認してるはずなのに、「世の中、どうしようもないことってあるんだよ」って始まっちゃうんだから。

 

心の底から大切な作品が、またひとつ増えました。

で、推しが増えました。

 

 

 

最後に。

いつもいつも応援してくださってる皆様。

そして、今回足を運んでくださった皆様。

 

ようやくご挨拶のできた方。

幼少期ぶりに、中学生・高校生ぶりにお会いできた方々。

「顔見るだけで泣いちゃう…」って感涙してくれる方。

「良かったよ」とお声がけくださった方。

「楽しんでるのが1番よ」と励ましてくださった方。

「2人の芝居の相性いいね」とお褒めくださった方。

 

雨の中、暑い中、差し入れにお花に、お気遣いしてくださった皆様。

 

もう何度もお世話になって、信頼ばかり。

素敵に色付けてくださる照明の札さん。

 

毎稽古顔を出してくださり、なんなら相談にも乗っていただいてしまった音響の坂本さん。

 

大千穐楽、はけた後に袖で背中を叩いてくださった、今回私にちずこを任せてくださった後藤先生。

 

深夜になってしまっても、悩みの電話に付き合ってくれた母。

 

そしてやっぱり、居てくださって、まさのりさんであってくれて、本当に支えられて、感謝してもし足りない肥後さん。

 

こんなにもたくさんの人に、支えられていたのだな。

こんなにもたくさんの人に、気に留めていただいて、愛していただけているのだなと。

いつも舞台に立つたび思いますが、今回はことさらに。

 

 

小さな目標でした昨年越えられなかった壁、

「阿部扱いのお客様、30人お呼びする」

ありがたいことに達成させていただきました。

ご予約のご連絡、本当に嬉しかったです。

検討してくださって、ご都合つけてくださって、本当にありがとう。

「大作家ムカイチズコ」をイメージした原稿用紙でのお手紙、間に合わないのではないかとうれしい悲鳴でした。

 

50人、100人と、この輪を広げていきたいな。

 

まだこの世界に恩返しできるには程遠いけれど、まずは今見ていてくださる皆様に、より素敵な時間をお届けできるように。

より素敵な作品との架け橋になれるように。

 

またひとつ、スイッチが入りました。

 

改めまして。

『ムカイ先生の歩いた道』

応援してくださった皆様。

関係者の皆様。

 

時間を作っていただき、足を運んでいただき、ご観劇くださった皆様、本当にありがとうございましたハート

 

ちずちゃん。

あなたと過ごした1年間。

まー君と共に過ごした濃密な1ヶ月。

本当に楽しかった!

 

あんなに「幸せに」って言われてしまったら、踏ん張ってでも笑っていたい、そう思った。

 

まだまだ続いていく長い長い道のりを、私自身も楽しんでみることにします。

私も、絶対幸せな人生を歩んでいく。

 

約束しましょ。

 

 

 

やっぱり、寂しいけれど。

 

素敵な時間を、本当にありがとうございましたカギ

 

 

ちずこ役 阿部雪音

 

 

 

 

さ、笑顔の多い役で表情筋も随分と鍛えられたので、可能性はさらに広まったぞニヤリ

今後の阿部も、どうぞ見守っていてください。

いつも本当にありがとうございます。

 

これからも、よろしくお願いいたします花

 

ではでは。