こんばんは。
毎度毎度、滑り込みの振り返りブログのお時間です。
書き終わった私が「おお、長」って思ってますが、どうぞお付き合いくださいませ
『さよなら、花火とマイハウス』
先週末、無事全8公演が終演いたしました
まずはご来場くださいました皆様、本当にありがとうございました
約半年前にオファーをいただき、
「いい役だよ」
「難しい役だよ」
なんて、期待のような脅しのような含みを持って伝えられた今回のお役。
ト書をそのまま引用すると
「じゅうぶん大人の年齢なのだが、軽度の知的障害を持っていて、他人とうまくコミュニケーションが取れない」
そんなお役でした。
「人間誰しもそうなのだけれど、理解した気になってはいけない」
そう強く心に留めて、挑ませていただきました。
脈絡のないセリフ、何よりほぼ全てのセリフがひらがな表記。
普段お芝居している時とは、全く異なる感覚。
気にしなければならないことを気にしないように、逆に気にしなくていいことに気を配ってみたり。
序盤は、お芝居をしているようでしていないような、謎の感覚。
台本に書かれていないサブテキストまで読み込むようないつもの作業をしたら、むしろ負けな気がしてくるそんな奇妙な状況。
いやあ、大きな難題を任せてもらったもんだと。
どんな回路なんだろうと、とにかく参考文献を探して医療コーナーから育児コーナーから巡ってみたり。
過去出会ってきた人たちから受けた印象を掘り起こしてみたり。
何かの道標にならないかと、有名な作品を見あさってみたり。
こんなこと言うとあれなんですけど、過去1ちゃんと準備したかも。
台本を読んで受ける印象より先に「どうしたらいいか」をすごく考えてしまって。
やらないと決めていたのに、枷をはめてしまっていました。
こういう時、演出さんって怖いですね。
「雪音でいいのに」
「生きづらさを感じてて、でも一生懸命生きてて、それがいいのよ」
うん、素直に受け取るには勇気がいる言葉ですけど、今の私にはスッと入ってきて。
何はともあれ、懸命に毎日を生きていることに変わりはないんだと。
どこかで生きづらさを感じていて、それと真っ向から向き合って、傷ついてみたり足掻いたりしているところは何も変わらないんだと。
あくまで「私らしく」投影してみてもいいのではないか、と。
こうして、なんだかんだとっても生き生きとやらせていただいたのが、皆様にお届けしたアザミちゃんでした。
今なら「あてがき」でかつ私にこの役を預けてくださったことがうなづける。
ってか、怖いくらい私。
そんなアザミちゃんと、この本を初めて読んだ時に「わかるわかるよ〜」ってなったモモさんとのシーン。
まいさんとの呼吸があまりにもしやすくて、このシーンをできるのが毎度楽しみで仕方ありませんでした。
こんなに役者冥利に尽きるシーン、ないぞってくらい。
だから、この二人に嬉しい感想がたくさん届いてて、とっても嬉しい。
さて、ここで。
裏話も含めて、みた人には伝わるようにシーン振り返ってまいりますか。
その1、ぬいぐるみ遊び。
稽古中盤で方向転換する前は、もう少し幼めだったアザミちゃん。
ぬいぐるみ遊びもかなり派手・・・というかもっとダイナミックでした。
とある方に渡っているチェキだけ、その名残でまるで大人ではない遊び方してます。
レアチェキ。
見つめ合う時間が多くなってからは気になりませんでしたが、時たま顔が抜け毛でむずむずするのが瑕でしたね。
あ、「からあげ」って呼ばれたり「犬」って呼ばれたり「ひろくん」なんて名付けられたりしてましたが、私は結局ずっと「わんこ」呼びでした。
もう10年以上知ってる間柄に、改めて名前をつけるのって難しいもんですね。
その2、パニック。
話す場所も失ってしまいそうなので、ここで。
えー、稽古中一度、女性の警官さんが様子を見にいらっしゃいました。
その節は大変お手数を、そして近隣の皆様には大変ご心配をおかけしてしまって申し訳なく思っております。
「ファルセットで」とのご要望だったのに、途中喉をやってしまったのが唯一の後悔。
どこかの現場で聞いたあの(金髪で短髪でのちにヴァンパイアと結ばれ・・・の人)悲鳴を参考に、なんとか全公演叫び切りました、どうもお疲れ様でした。
その最中叫ぶゲーテの詩集より抜粋の格言たち。
台本唯一の漢字たちという事もあって、まず覚えたくて。
こんな感じでいつでも目に入るところに貼っておいていました。
だからかなぁ、稽古期間いつにも増して元気だったのは。
全部で6個ある今回の格言の中で一番好きなのは
「毎日を生きよ。あなたの人生が始まった時のように」ですね。
その3、UMA 未確認生物。
はい、自ら首を絞めました。
なんとかやり切れてよかったです。
ことの発端は、台詞回しを円滑にするための「早回し」の稽古中。
調子に乗っちゃったんだなぁ・・・。
「聞き取れない、何言ってんだ」だけは避けたくて、これまで得た知識フル稼働でお届けしたつもりです。
モモさん、いつもありがとう。
その4、両親。
ぱっと見不思議な関係性、ではあるのですが、私のパパとママ強かったでしょ・・・?
こんな心強すぎるお二人と関係性やらシーンやら作らせていただけたのがすごく嬉しかった。
打ち上げでもなんだかお褒めいただいてしまいましたが、こちらこそです。
今作でアザミちゃんが受け持つ「無償の愛」はこのお二人のおかげで確固たるものになっていて、なんの疑いもなくアザミにとっての希望であってくれたことがどれだけ心強かったか。
私も、アザミちゃんが羨ましい。
その5、花火最高!
台本をいただいて、正直どうしようかと一番最初に頭を抱えたシーン。
「この嬉しさ大爆発は、私の辞書にない・・・」
役者ってすごいですね、いざ立ち稽古してみたらすんなり爆発してました。
走り回るだけじゃ飽き足らず、下手くそなスキップしてみたり、後半はジャンプしたりしてました。
素直って楽しいね。
その6、衣装。
親子揃って、白で統一。というオーダーのもと。
「アザミ」というワードを何度も検索して、あえて赤は入れないように意識していました。
実はパンフレットコメントにも花言葉を散りばめてみたり。
「花火」をイメージして、キラキラしたものを探してみたり。
こだわって、かつとてもしっくりきて、とても満足。
偶然ですが、白のアザミの花言葉は「ひとり立ち」なんだそうですよ。
その7、大好きなシーン。
投げて投げて投げて、最後盛大に返ってくるあのシーンです。
ラスト目が合う時、「モモさんの表情を写してほしい」とのことだったので、実はドッキドキでした。
全部全部、モモさんのおかげです。
Xか何かで、「人生全て賭けたい」なんて書きましたが、その一部はまさにこのシーンのことでした。
「自分の存在そのものすら否定したくなるような、自分を責める考えに行き着く気持ち」
「やり場のない自分への怒り」
「愛を愛と受け止め切れない、自分を卑下してしまう気持ち」
今年、やっと私が「過去の自分」として切り離せた、蹲って閉じこもって泣くことしかできなかった私そのものに見えて。
そんな当時の怒りや悲しみやまだ捨て切れない自分を否定する気持ちを、あくまで笑って誤魔化して表出した私に、
「自分を責めるようにストレートに出していい」
と許してくださった加藤さんの言葉。
そして、それを包み込んで「もっと自分を好きになっていいんだよ」と言葉にしてくれるモモさん。
あまりにも自分すぎて、ここからは半ばエゴなんですけど。
今年の私の目標
「自分に素直になる」
ひいては「自分の好きを大事にする」
ああ、寄り添う時間をいただいたな。
こういう表現が、できるようになりたかったんだな。
こういう表現を、届けたかったんだな。
これは、私がやりたかったことの第一歩なんだな。
このタイミングの私だから、素直にアザミちゃんと生きられたんだろうな。
そんなターニングポイントとも言えるアザミちゃん。
受け入れていただけたお声や、その辛さを拾ってくださった感想、純粋にお役を好いてくださるお声。
面会でゆっくりお話しできなかったのが悔やまれるほど、本当にたくさんの温かいご感想を受け取ることができて、本当に嬉しくて、同時にホッともしています。
『代表作』というには烏滸がましいですが、
間違いなく私にとってはとても大きな大きな役でした。
改めて、劇場でご観劇くださいました皆様、本当に本当にありがとうございました
並びに、スタッフ関係者の皆様、共演者の皆様、大変お世話になりました。
そして加藤さん、この場でなんですが改めて、こんな大切な役に出逢わせていただきありがとうございました。
最後に、「扱いチケット」やチェキご購入、直接ご感想を届けてくださった方。
今回、過去最多の応援が届いていることをご報告します。
こうして観ていて下さる皆様の存在が心から励みになっています。
いつも本当にありがとう。
誇るべき「推し」には程遠いかと思いますが、近いうちそうなれるように精進して参ります。
これからも観ていてください
どうかよろしくお願いいたします。
一つの岐路を迎えて、次回出演予定作までは、約半年空きます。
今年一年間、私が自分に素直に前向きに向き合ってきた結果です。
そして、次回出演は、大役を任されております。
(日程だけはプロフィールに載せてあります)
ひょこっと出演が増えたりする事もあるかもしれませんが、一旦は半年後まで準備期間です。
SNSやら、気が向けばインスタライブやら、変わらず毎日出現はするので、お付き合いいただけたら嬉しいです
アザミちゃんともこれで一旦お別れ。
不思議と寂しくないので、きっと寄り添っててくれているんでしょう。
どなたかの心にも、生きててくれていれば嬉しいです。
アザミちゃん、やっぱりあなたと生きる時間は最っ高に幸せだったよ。
またどこかで。
ハマグチアザミ役 阿部雪音