こんばんはハート

 

舞台『ネバーランド』

 

全7公演が先日、無事に終演いたしました。

ご来場いただきました皆様はじめ、応援してくださいました皆様、本当にありがとうございました飛び出すハート

 

 

 

「ホッとした」

この一言に尽きます。

 

 

昨年の公演延期から1年。

またスライトリーとして生きる機会をいただけたこと。

ずっと頭の片隅に住んでいた彼女を、板の上に上げられたこと。

ありがたい感想をたくさんいただけるような、濃い作品としてお届けできたこと。

 

奇跡だなと、心から思います。

 

どこか「中止」の2文字が頭をよぎって、ビクビクし続けたりもしました。

 

大好きで、とても大切な子で、一度離れてしまっているからこそどうしても生きさせてあげたかった子。

そんな彼女が生き抜いて、無事終幕まで輝いてくれたことが本当に嬉しくて。

 

2度と彼女と生きる時間は来ないんだなと思うと、とても寂しく思ったりもします。

 

 

 

そんなスライトリーについて。

思うことたくさんある子だったので、今回はダダ流しにしていこうと思います。

 

 

その1

「スライトリー」について。

 

原作「ピーターパン」では、ネバーランドで生活する子どもたち、『ロスト・ボーイズ』の一人としてお名前があります。

狐の衣装を身に纏っている子、ということで、#ネバラン2023 のツイートでは「🦊」の絵文字を多用していました。

お気づきでしたか・・・?

 

台本の初稿では、一人称が「ぼく」。

男の子でいこうか、いわゆるボクっ子なのか、なんて模索した時もありました。

結果的に図書委員系女子みたいになったのは、「ナツ」の存在や、カーリー・ルナとの関係のおかげかな。

衣装がパンツスタイルなのは、「ぼく」の名残です。

 

役作りについては、かなり自由にやらせていただきました。

引っかかったところを何回も話し合いさせていただいて、台本に書かれてない裏の裏まで読み込んで。

1年前の稽古から、ずっと真剣に応えて下さった演出の秀悟さんと、愛理さんには感謝してもしきれません。

 

典型的内気な子の道も通ったし、ルナとはまた違うフワフワ系の子の道も通って。

年齢感も相まって、「自分の興味があるもの一直線」なスライトリーになりました。

 

テーマは良くも悪くも「素直」、そして「好奇心」。

自分の意思を素直に表現できる子。

「なんで」「どうして」がとっても多い子。

彼女の原動力は、まっすぐな心と「?」だったりします。

 

 

少女と同様「いじめられる」経験をする子でありながら、前向きに行動し続ける彼女。

「嫌だ」と言えて、面と向かって言い合えて。

「こどもだから」と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど、自分に素直に、相手に素直に生きて、自分を確立しようと模索する姿が、今まさに私自身が目指している姿に重なって。

 

当事者だった頃、それでも我を貫こうと必死で、立ち向かって何時間も言い合ったりしてたこととか。

今思えば傲慢なんだけど、「同じ土俵に立つな」の言葉を信念にして、早く大人になろうとしたこととか。

 

そんなことを思い出しながら歩く彼女の横は、小さい私の隣に立ってるみたいで、なんだか感慨深かったりもしました。

 

 

 

 

その2

「ナツ」について。

 

彼女の存在があったことで、どうしたってこの役は濃いものになりました。

サキちゃんにとって、どういう存在だったのかはわからないままだけど。

カツキともすぐ連絡が取れるってことは、ずいぶん仲が良いしサキとカツキの関係性はよく知ってるんだろうな。

 

最後のシーン、昔から知ってる2人を事情を分かった上で引き裂くことになってしまう彼女の覚悟。

「ナツ」自身の物語は、作品のエンドロールより後にあるんだろうな、と思います。

誰か、考察して。

 

 

スライトリーを通して見たルナとカーリーはどこか危なげで、全てを知る努力もしないで、聞いた情報を鵜呑みにしてしまったかつてのナツを見ているようで。

けれど素直に謝れる強さをもっていて。

 

思いが飛んだ先、記憶にも残らないネバーランドでの「虚構」の謝罪だったかもしれないけれど、サキちゃんに「ごめん」を伝えられたのはカーリーとルナのおかげ。

大人にならない世界のはずなのに、きっとナツは成長したんだと思います。

 

だから、仮に夢から覚めて、取り返しがつかないことになっていたとしても、ナツは生きていける気がする。

前を向く方法をちゃんと見つけられる気がする。

 

サキ(少女)・カツキ(少年)・ミナミ(トードールズ)・ミズキ(スミー)・フック船長。

現実世界の記憶と、ネバーランドの住人がごちゃ混ぜになっている役柄の中でただ一人、生死が縁遠い存在。

「その後」が何通りも想像できる子だったから、2度と後悔しないでほしい一心で、彼女との折り合いをつけていたような気がします。

 

 

 

その3

「スライトリー/ナツ」っていう役は、加害者でも被害者でもない、第三者の目線がとても強い子だなと思ってます。

ラストシーンの少女の嘆きがグサグサと刺さるくらいには、傍観者。

 

被害者でもあって、加害者でもあって。

「何もしない」を選んでしまった罪。

 

優しい子だからこその、中途半端に差し伸べてしまった手だとか。

周りを見るからこその、揺らいでしまった心だとか。

届かないところでしか、行動に移すことができない弱さだとか。

 

「生きていてほしいからに決まってるでしょ」

 

このセリフを吐くことが、どんなに無責任か。

優しい子に見えるだろうか、いや、ひどい子に見えるだろうか。

救いの手にはならなかったけど、捌け口ぐらいにはなれただろうか。

 

少女にとって、このお話にとって、「逃げ」の存在であれるように。

 

 

逃げた先にいた「スライトリー」が素直に正直に生きているのを見て。

「ナツ」が後悔を胸に大人への一歩を踏んでいるのを見て。

 

きっと一番多い傍観者に、共感しやすいこの子が寄り添ってあげられたら。

そう願っています。

 

 

 

 

 

 

さて。

お役とは少し離れて。

 

今回の舞台で、思い出に残っていること。

 

その1、OP。

まさかダンスパートに振り分けられるとは。

あんな人物紹介のOPに憧れていて、叶って嬉しかったといえ。

 

よくよく考えてみると、OP入るまでに私が発したセリフと言えば

「え、ちょっと、私は・・・」

「スライトリーです」

 

以上です。

意味深すぎる。

で、トードとシンメである。

プレッシャー半端なかったですが、映像見る限り立派にピースになれてたと思います。

 

Twitterにて、音源差し替えでまだご視聴いただけますのでぜひ。

 

 

 

 

その2、三つ編み。

ヘアアレンジが本当に苦手なんです。

髪が多くて、一本一本が太くて、無駄にサラサラ。

なんとか避けてきましたが、ここでぶち当たりました。

が、人間慣れればなんでもできるもの。

3分の1の時間でできるようにはなりました。

 

これである程度はヘアスタイルの幅が広がったぞ。

 

 

その3、付随して衣装。

基本的なトップスとパンツは、昨年の衣装案をそのままに。

お役の方向性が固まるにつれて、メガネが増え、ベレー帽が増え、三つ編みになり・・・。

腰回りは、他のキャストさんの衣装の派手さに比例して少しずつ増え。

 

ダンスパートもあったので、頭周りはメガネ止めにヘアピンにでガチガチ。

こんなに完成系になるまでに着替えに時間がかかる衣装は初めてだったかも。

 

 

その4、幼い役。

「年齢があがっちゃう」だの。

「頭良すぎる子になっちゃう」だの。

 

いつぶりかの実年齢よりも幼い、もはやこどものお役に少し苦戦しました。

本奪い返すシーンとか、本気出しちゃうと完全にディフェンスだもんね。

 

ちゃんとこどもたちに見えていたかな。

 

 

その5、小道具。

ツイートにてご紹介ありましたが、OPで使用した自己紹介BOOKの表紙作成に参加させていただきました。

美術の成績だけは伸びなくてお情けで4もらった程度の私が担当したのは、なんと表紙の「Never land」の文字入れ・・・。

 

ほぼ完成状態のものに、下書きなしで書き込むプレッシャーたるやガクブルものでしたが、この出来です。

あすか先生様様。

 

 

その5、ビジュアル撮影。

こんなにどの写真を使おうか悩んだの初めて。

っていうくらい、とっても素敵にとっていただきました。

 

惜しくもブロマイドにもビジュアル公開用にもならなかったお写真も、素敵すぎてどこかで使いたいくらい。

一枚だけ載せちゃう。

今年の目標「撮られ慣れる」には、強力すぎる時間でした。

 

 

その6、座組の皆さん。

とってもとってもたくさんお話をさせていただきました。

許された時間、作品のことも、それ以外のことも。

作品のテーマがテーマだったこともあって、深い話まで。

 

向き合うときは真剣に、わからないで迷走しているとすごく効く一言をぽんと投げてくださったり。

一緒に1ヶ月間作品を作れたこと、本当に楽しかったです。

 

特に、昨年続投組の皆さん。

昨年の私の迷走ぶりを知っている皆さん・・・笑

一緒にこの作品の完成まで走れたこと、本当に本当によかった。

一度逃してしまった時間を、あらためて過ごせたこと、走り切れたこと、本当に嬉しかったです。

 

 

 

 

最後に。

長々とここまで読んでくださりありがとうございました。

 

一年前、公演が延期になると決定した時、残念な気持ちと同時に、なぜかホッとした自分がいました。

「向き合い切れない」と少し目を逸らしていたかもしれません。

 

悔しい気持ちと、スライトリーを好きになり切れなかった自分が嫌でした。

 

たくさん考えた結果、「誰よりも自分が演じるお役のことを愛して、大好きだと言える役者でいよう」と思いました。

スライトリーは、そう思わせてくれた大切な子。

 

そんな大切な子を、胸を張って「大好き」って言える子を、千秋楽まで生きさせてあげられて、本当によかった。

 

隣を歩く機会はもうないんだと思うと、やっぱり寂しいです。

でもずっと私の中には生きているし、ご覧いただいた皆様の中に少しでも生きていてくれたら嬉しいです。

 

SNSはじめ、温かいご感想本当にありがとうございます。

お届けできること、受け取ってくださる方がいることがどれだけ幸せなことか、1年越しの悲願が叶った今、痛いほど実感しております。

 

恥ずかしながら、まだまだ名前の知られていない、ただただ芝居が好きなどこにでもいる22歳です。

一つ言えることは、「誰よりも自分が演じるお役のことを愛して、大好きだと言える役者でいよう」と覚悟が決まった、ということくらいです。

 

「お芝居するためにこの世界をもう少し生きてみよう」と思った日から4年とちょっと。

やめる日は、この世界とバイバイする日。

やめる気はサラサラありません。

 

少しでも「スライトリー」「ナツ」を心の片隅に残してくださった方々。

役者「阿部雪音」のことも、隅っこくらいに残してくださったら嬉しいです。

 

 

 

改めまして。

「ネバーランド」のリベンジの機会をくださったGフォースプロデュース。

「スライトリー」を任せてくださった秀悟さん。

この世界に私を出会わせてくださった愛理さん。

一緒に楽の日まで走って下さった、星良さんはじめ座組の皆さん。

素敵なビジュアルを撮影して下さったハルカさん。

 

いいね・リツイートはじめ、SNSで応援して下さった皆さん。

そして、劇場に足を運んでくださった皆さん。

 

関わりました全ての皆様に、感謝申し上げます。

 

本当に、本当にありがとうございました!

 

スライトリー/ナツ役

阿部雪音

 

 

 

ではでは。