リハビリを終えて社会復帰をと考えた時にハローワークで紹介してくれた児童養護施設の宿直の求人を教えてもらい応募した。
その時の施設長さんの温情のお陰で採用して貰う事が出来た。
職場は養護施設の高等部を終えた若い人たちが暮らすグループホームだった。
主に発達障害を抱えている人達で最初の頃は普段は大人しいその人達の突然の行動の変化に驚かされた。
妄想から来る妄言や 突然外に飛び出して行ったりととにかく目が離せなかった。
そんな職場や入所者にも慣れてきた頃一つの事に気がついた。
そこは男性のグループホームだったが 例外なく皆 母親との関係が希薄な事だった。
数年間の勤務中 入所者の母親には会った事が無かった。
そこには家庭的な問題とかは無くその子に対して母親としての愛情が欠如していると感じざるを得なかった。
施設からの確認の為の書類の提出や一時帰宅の際も来るのは父親ばかりだった。
父親は皆さん 普通の常識ある人達で子どもに対して愛情も感じられた。
そんな事を見ている内に 『この人達の障害の一因は母親に有るのでは…?』という思いに至った。
我が子とましてや障害を持つまだ幼い子どもと離れて暮らす事に何も感じない母親が普通いるだろうか?
当然 一時帰宅から帰ってきた人達の口から帰宅中に母親とのエピソードを聞くことも無かった。
聞くと母親は普通に社会生活は出来ている人で私には理解出来ない事だったが障害を持っている子どもに対しての愛情だけが欠如しているらしい事が分かった。
それ故に父親が幼い息子を施設に預ける決断をせざるを得なかった様だ。
その様な事を見ていてむしろ母親にこそ精神的な障害が有るのではないかという気がしたものだった。
8人の入所者が例外なく母親の愛情を知らないなんてこれはどう考えても可怪しい…
ADHDや知的障害、てんかんと何種類も障害を持っている人も居たが その人達の母親が皆 母性本能が薄いか欠如しているとしか思えない共通点がある事に驚かされたものだ。