秘密 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。










これが最後だよ出るの」



和はさらりと言うと、後ろめたさを隠すかのように肩を竦めて俺の胸の中に顔を埋めた。その仕草が、確信犯的行動なのは、もう百も承知だった。でも、だから、可愛い。これは、俺が死ぬまで変わらないんだろう。



「今までってさ、金、渡してたの?」



細い体をぐっと抱き寄せて聞くと、気に入らないと言うかの如く、眉をひそめる。そう、こいつは、俺を「綺麗なもの」でいさせたいらしい。「汚れて欲しくないんだよ」と和はよく繰り返していた。今も、ちょっと唇を尖らせて、こくりと素早くうなずいただけだった。



「しくじった」とある雨の夜、俺に抱かれながら和は呟いた。「これから何が起こっても、俺は大野さんのものだから」と珍しく焦りと緊迫感をにじませた和を抱くのは、正直最高で、自己嫌悪に陥ったくらい。それから間もなく、報道が出た。その状態が事実だとしても、和の本意でないことはすぐわかった。何か、弱みを握られてでもいるのかと問いかけてみても、潤む瞳で頑なに首を振られてはなす術がなかった。和は賢くて、ずるくて、普段はそんな話をさせない。我慢できなくて、口づけして、ベッドにもつれ込んで、どうにもならなくなった時に初めて思い出したかのように話を出してくる。長い付き合いのせいで、「ごめんね」と一度たりとも言われなくても、全身がそう言っているのがわかる。俺に貫かれた時に、それが和らぐのがわかるから、俺は以前より和を抱くようになった。抱きしめあった後の、安堵したような、満ち足りた表情に、もう何も聞くまいと誓った。



和の誕生月、和と俺は、お互いにしかわからない場所に、消えることのない印を刻んだ。



「病気になったとき、見たらびびるよな、お医者さん」



直接自分の目から見える場所ではなかったから、鏡に俺のイニシャルを写して確認しながら和は面白そうに呟いた。



「あれ?O.Sの人なんて、いましたっけ、歴代カノジョに、とか?」



俺が言うと、和は一気に眉を寄せて唇を尖らせた。そんな風にストレートに不満を表してくる和が愛しくて、抱き寄せる。指をその場所に這わせると、和は「っん」と甘い吐息を漏らした。



や」



「や、じゃないでしょ」



額を合わせ、目を合わせて強めに言うと、伏し目になる瞳がたまらなく可愛い。



「んんっ」



「どう?」



「気持ち、いい



かすれた声、半ば閉じた挑戦的な瞳、薄く甘く開く唇。柔らかな髪を抱き寄せると、そこから先は天国に行けた。









「もう、金はいいんだってさ」



和は苦々しげに言うと、俺の腕から出て身を起こした。



「称号を得たからだろ?」



さあ」



和の細く白い肩を見ながら、俺は和にこんな顔をさせる人のこれからを思った。何もかも揃った豪華な部屋、使い切れるかわからない金、ちょっと知っているだけの有象無象の人達からの薄っぺらい祝意、そして、それらにくるまれてうやむやにされた、たった一つ、望んでも与えられないそれ。俺はそれを知っている。そして、この世の中で、和からそれを与えられているのは俺だけだと、心の底から確信している。



なあ」



「わっ」



若い頃みたいに押し倒すと、和は声を上げたけれど、さほど驚いていないのはわかった。こんな時も、お前はお前。俺を狂わせようとする仕草は、本能みたいなもんなんだよな



その証拠みたいに、顔を寄せると、和のまぶたが夢のように閉じる。熱を忍ばせると、すぐに反応を返す、柔らかい体。俺の「印」に指を伸ばすと途端に「本当に」焦った声がして、俺は微笑んだ。



急、すぎるだろっ



じゃ、何して欲しいの、和は」



面白そうに言うと、恨みがましく揺れる瞳に挑戦的に微笑むと、和は甘えたように胸をぽかぽか叩いてくる。



バカ、ちゃんと言えよ」



呟いて、首筋にキスをして少し待つと、小さく「ちゅー」と聞こえて来て内心こみ上げてくる笑いを押さえつける。和が好きな、手首を全部シーツに押さえつける形でキスをする。この形が好きなんだ、とわかるまでに何年もかかったことを思い出すと、またにやけそうになって我慢した。もっと、他のことだって、俺と和にしかわからないことがたくさんある。俺と和がこの世から消えたら、消えてしまうそれら。でもいいんだ。そんなのは、俺と和がこの人生を全うする間、ふたりだけがわかっていればいいことだ。



唇を離したら、和が潤んだ瞳で抱きついて来て、俺の思考はすぐに、どこか遠くへ、夢みたいに飛んで行ってしまった。