「はぁ…ニノ…すっげ…」
俺は荒い息を吐きながら、ニノの体 の中から抜け出した。
どうしよ…
昨日すごかったのに…
今日もすごかった…
俺はニノを見た。脚 を閉じる力もないのか、俺に抱 かれていたままの体 勢 で、はぁはぁと荒く息をする体はほんのりピンクに染まっている。俺はニノの体を拭ってやって、隣に寝転がった。こちらに向き直るニノの前髪は汗で額に張り付いて、顎へと滴る汗の雫さえ艶 めかしく感じた。俺は身を起こして、ニノの濡 れた前髪を払ってやりながら、ゆっくりと口付けた。
「んっ…ふ…」
弱々しい小さな声を漏らしながらも、俺の唇を受け止めてくれるのが嬉しくて、俺はニノに何度もキ スをした。
「…な…おいらと…キ スすんの…好き?」
唇を啄ばむようにしながら囁くように聞くと、ニノは甘いため息を一つこぼして、こくりと頷いた。
「好き…」
ニノの唇から出るその言葉は、小さな声で生み出されたのに、大きな存在感を持って俺の心に響いた。シた後に、こんな…ドキドキするなんて……ニノが初めてだ。
「おいらも…」
囁くように言うと、ニノは一瞬目を丸くして、すぐに「ふふっ」と照れたように笑った。
「お前とキ スすんの、すげぇ気持ちいいよ…」
「ふふ…ワタシ口説かれてます?」
ニノは冗談っぽい口調で言うと、俺を見上げた。照れているのは、耳が真っ赤なのでわかる。
「ん…口説いてる…」
まだ、乱れた息で上下するニノの胸に体重をかけて、唇を塞ぐ。そのとき、脳裏に昼間の光景が思い浮かんだ。
「そういや、お前さ…口説かれたりしてねぇよな?」
「は?誰に?」
ニノはキョトンとして俺をじっと見つめる。
「シャルル」
「へ?なんで?」
「やら しい目でお前見てたもん」
ニノの 胸の上で、口を尖らせて言うと、ニノは面白そうに噴き出した。
「そっれは…大野さんでしょ…」
「や、まあそだけど…シャルルも…なんか…」
シャルルのニノの体を見つめる視線が、俺たちに向けられたものと違う気がしてもやもやしていた。
「わかんねぇけど…男の勘」
「ふふ…言葉もわかんないのにどうやって口説くの」
ニノは微笑んであやすみたいに俺の髪を撫でた。ニノはそう言うけど、言葉もわからないのに、俺はシャルルがニノに惹かれてる、と思ったんだ。ニノは、大勢の中でぱっと人目を引くタイプではないけれど、しばらく一緒に過ごすとその居心地の良さにすっかり虜になってしまう奴だ。今だって、ふわり、と笑うその微笑みに、なんとなく母性のようなものを感じて、胸の奥がきゅうっとなる。手に入れなきゃ、と焦燥感に駆られる。今、抱 いたばっかなのに…
俺はニノの首 筋 に唇を落とした。その唇を少しずつ下へ下ろしてゆく。