Villa No.14 #45 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。


BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ



第1話→★★★

一覧→◇◇◇

















Side O







部屋に戻ると、寝室の奥の洗面スペースからニノが顔を出していた。


「どうしたの?」


「あ…ピエールが、忘れ物持ってきてくれた…」


俺は咄嗟にそういうと、ベッドサイドの自分の側のテーブルに紙袋を無造作に置いた。ニノは、気に留めていないように「ふぅん」と言うと、リビングのソファに座った。俺もソファに座って、開けた缶ビールとサンドイッチの残りを食べた。ニノもフルーツに手を伸ばして、黙ってもぐもぐと食べている。



どうしよ…



なに喋ろう…



なんかまったりしちゃったな…



「もっかいキスしていい?」とか聞けねぇしな…




悶々と悩みながら、サンドイッチを食べ終えたとき、「あの…」とニノが声を上げた。


「な、なにっ⁈」


思わず声が裏返ってしまってニノはぷっと笑った。


「あ、あの…主(ぬし)にエサやる?」


「ああ…やろうやろう」


俺はホッとして笑った。ニノはガラス窓を開けて古いパンを海面に向かって投げた。俺もパンをもらって海面に投げるとすぐに魚たちが寄ってくる。



しかし、さっきまでキスしてたのに…



なんて平和な…



まあしかし、今までのつきあいの中で、キスしたことない時間の方が圧倒的に長いもんな…



隣のニノをちらりと見ると、バシャバシャと勢いのすごい魚たちを見て笑っていて、ほっとした。ホテルの白い上下のパジャマを着た湯上りのニノは、いい匂いがする。



抱きしめてぇな…



俺はごくりと唾を飲み込んだ。そのときニノが「あ、ほら、大野さん、主(ぬし)来たよ」と朗らかに声を上げた。


「あ、主(ぬし)だな」


目は魚を追うけれど、頭はニノのことでいっぱいだ。パンがなくなって、ニノはガラス窓を閉めた。


「もう覚えられちゃったんだろうね…ここに来るともらえるって」


ふふ、とニノは笑った。その邪気のない笑顔に胸がドキンと鳴る。抱きしめたい。抱きしめて、もう一度キスして、そんで、その先も……。でも、この笑顔が曇ったりすんのが怖い…


「そうだな」


俺は上の空で相槌を打ちながら、頭のぐるぐるを止めようと、洗面スペースへ入って歯を磨き始めた。ニノも俺に続いて、ダブルのシンクの前で隣同士で歯を磨いた。


「もう寝る?」


ニノが聞いてくるのに「おう」と答えて、寝支度を整えてベッドルームに入った。整えられたキングサイズのベッドは相変わらず馬鹿でかい。ピエールにもらった「イイモノ」が置いてある側からベッドに上がって寝転がる。



今日は、これ、出番ねぇかな…



ってか、俺の意気地がねぇ…



いつか、使えんのかな…



「長い1日でしたね」


目をこすりながらニノがベッドルームに入って来て、ベッドに上がって来た。



そういえば、一緒にベッドで寝んの、初日ぶりか…



やもりが落ちて来たんだっけ…



そんで、ニノが怖がって、抱きついて来て…



「ライト絞るね…真っ暗にはしないけど」


「うん」


ニノがライトを絞って部屋は柔らかいかすかな灯りに包まれた。



はあ…



やもりでも落ちてこねぇかな…



ニノの姿が見えると、変な気が起きそうで、寝返りを打ってニノに背中を向ける。ニノがごそごそとベッドの薄い掛け布団を触る音がした。やがてそれは止まった。耳をすませると波の音が聞こえてくる。俺は目を閉じた。


「大野さんっ」



へ⁈



突然、俺の背中に温かい体温がぴったりと張り付いてきた。



ニノ⁈



慌てて身を起こして振り向くと、ニノが俺の腕にしがみついてきた。


「ど、どした…」


ニノは顔を上げた。困ったような顔をしていた。瞳はヴィラのかすかな灯りを捕まえてキラキラと潤んでいる。


「やもり、落ちてきた…」


「へ…やも…」


慌ててベッドの上に目を走らせたけれど何もいない。


「やもり…いた…」


ニノはぎゅっと眉をひそめると、俺の腕にますます腕を絡めて、俺の耳元で囁いた。


「大野さん…どうにかして…」


潤む瞳、絡みついてくるニノの、柔らかな腕の温度。


「ニノっ」


次の瞬間、俺はニノの体をベッドに押し倒して、唇を塞いでいた。