Sakura 25 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。


BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ














和が屋敷に連れ込まれてからしばらく経った頃…


翔と智は、風のような速さで七右衛門の屋敷へ到着していた。念のため村上屋へは若い忍びを配置してきたため、ここにいるのは二人だけである。今二人は、屋敷の裏手の丘に立った、百姓の使う小さな道具小屋に潜んでいるのである。


「屋敷の入り口脇に2人、蔵の前に1人…」


智が翔に調査結果を報告すると、翔は顔をしかめた。平時は見張りなどいないと智から聞いている。屋敷の警戒が高まっているということは、彼らにとって守るべきものが中にあるということだ。


「和は…奴らの手に落ちたか…」


「おそらく…屋敷に連れていかれたと思います」


智は眉を寄せて苦しげに呟いた。


「くそ…奴らの狙いはそれだったんだな…和を人質にするために、襲撃を中止した」


翔は拳を握りしめた。その拳が震えているのに智は気づいた。


「くそっ…こうなったら…」


翔は、道具小屋の戸口から、七右衛門の屋敷を睨みつけた。しかし、しばらく考え込んだ後、首を振った。


「だめだ、店へ帰ろう。策を練り直さないと…」


「だめです、和は…」


七右衛門の屋敷に背を向けようとする翔へ智は必死に言った。


「和は、口ん中に毒を仕込んでる。このままだと、たぶん、あいつは…」


翔は目を見開いた。


「そのようなやり方、教えたこと…ないのに…」


翔はしばらく茫然として黙り込んだ。


「翔様、屋敷の中、行かせてくれ」


「しかし…」


屋敷の中には七右衛門を始め、客人の剣士も潜んでいるに違いなかった。翔にとって、和は大事な存在であることに偽りはなかったが、和を助けるために、智をも危険にさらすことはためらわれた。自分たちは公儀に仕える忍びなのである。二人きりで剣の立つ六人とあいまみえるという無謀な戦いに身を投じるには、翔に課せられた責任は大きすぎた。


「長としては、許可できない…取引に応じる素振りを見せながら隙をついて和を奪い返すしか」


「翔様…許しが出ねぇなら…」


自分一人でも、和を助けに行く。智の瞳はそう語っていた。翔はしばらく黙っていたが、静かに首を振った。そして、頭に巻きつけていた、忍び一族の証である、紋章のついた額当てを外した。


「翔様…」


「忍びの一族の長としては許されないだろうが……そうではなく、和の家族として…家族を取り戻しに、屋敷に突入する」


翔は額当てを裏返してもう一度額に当てると、にやりと笑った。