Sakura 7-1 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。


BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ






















月は高くあがり、川面にゆらゆらと光が映って揺れている。川岸の料理屋「相葉屋」の裏手につけた小舟のかたわらに座っていた和は、揺れる川面をあまり見ないように、と川から顔を背けていた。


と、そのとき、2人の侍と思しき男達が「相葉屋」の裏手から出てきて和に声をかけた。


「待たせたな」


和は頷くと、2人を乗せて舟を出した。雲ひとつない空に輝く月は満月で、昼かと思わんばかりにあたりは明るい。風は凪いでしんとしており、あたりの音と言えば、時折小舟に打ち付ける小さな波がかすかにちゃぷん、と音を立てるくらいだった。


「おい、船頭、いつくらいに着きそうだ?」


小舟の先頭には船頭に身をやつした和、その後ろに座った男が和に声をかけた。


「四半刻(※三十分)もすれば」


和は小さく答えると、前方にかかる橋を確認した。このままいくと、小舟がそこへ到達するまで、三分くらいだろうか…。そう見当をつけると、和は急に前にかがんだ。


「くっ…」


苦しそうなうめき声をあげる和に、後ろの男は訝しげに声をかけた。


「おい、船頭、どうした」


「胸が…苦し…」


うずくまる和の肩に思わず手をかけた男は、振り向いた和の真白な首筋に目を奪われた。和は唇を震わせながら、自分の着ている着物の襟を開けようとしているのである。


「あの…襟を…」


はぁはぁと苦しそうにうめきながら、眉根を寄せて懇願する和に吸い寄せられるように、男は和の襟に手を伸ばす。襟をつかんだ男の手にぐっと力が入った瞬間だった。きらりと光る刃が小舟の上で舞った。


「ぐあっ」


ほとばしる血飛沫に眉をしかめながらも、和の動きには無駄がなかった。急所に一突きされた短い刃が確実に男の息を絶つ。男が川に落ちる大きな水音があたりに響いた。


「むっ…何やつっ…」


倒された男の後ろに座っていた男が、立ち上がって抜刀しようとしたとき、上方から黒い塊がひゅんっと風を切るように落ちて、男の後ろに着地した。小舟が橋の下を通るのをめがけて、飛び降りてきた智である。


男は抜いた刃を和に向けて襲いかかったが、刃が和に届くことはなかった。智の短刀が、男の首の後ろの急所に深く突き刺さったからである。


「ぐっ…」


うめきながら、たたらを踏んだ男は、そのまま川へ落ち、盛大な音を立てた。しかしそれも一瞬で、すぐに静けさが舞い戻ってきた。


「ふぅ…うまくいったな」


智は安堵しながら和の方を振り向いた。和はまだ前かがみになってうずくまっていた。


「和、もういいんだって」


胸が苦しいふりをいつまで続けているのかと智は訝しげに和に近寄った。


「っ…ぅ…」


「どうした?切られたのか?」


胸を押さえてうめく和の顔を、智は慌てて覗き込んだ。


「き…もちわる…い…」


「へ?」


顔をしかめる和の顔は、月の光の下でも、いつもより青白いのがわかった。


「ふね…よった…」


「まじか…えっと…」


智は慌てて、あたりを見渡した。少し行ったところに小さな船着場があったのでそこへ舟を着ける。


「和…体、動かしていい?」


小舟にうずくまったまま、舟酔いに耐えている和に声をかける。和はかすかに頷いた。と、同時に和はひょいっと智に抱き上げられて、岸辺の草むらに寝かせられた。


「お前…忍びのくせに舟酔いすんのかよ…」


ぐったりとして目を瞑る和が心配になり、智はあぐらをかいた自分の膝の上へその顔を乗せてやった。和がどことなく和らいだ表情を見せるのが嬉しくて、乱れた前髪を梳いてやる。