BL妄想です
苦手な方はご注意くださいませ
Side M
俺は対面型のキッチンでパスタを茹でながら、ニノの横顔をちらりと盗み見た。
ソファの高さは俺に合わせてあるせいで、ニノは子供みたいに足をぶらぶらさせてマリブコークを飲んでいた。
「ニノ、もうちょっと飲む?」
キッチンから声をかけると、ニノは俺の方を見て、こくっと頷いた。その頰がピンク色に染まっていて、俺はそのまま目が離せなくなった。
「どした?」
黙って見つめる俺を、訝しげに見て小首を傾げるニノは、やっぱり…
可愛い。
…いや、おかしいぞ。
収録のときとか…全然平気なのにな…
「いや、飲み過ぎんなよ、お前」
慌てて目をそらして、マリブコークのおかわりを作ろうとボトルを取ると、ニノは目を細めてふふっと笑った。
「だって…Jが甘やかすんだもん、俺のこと」
「お前な…」
はあ…まったく…
人たらしだよな…
もっと、甘やかしたくなる…
出来上がったパスタと一緒にマリブコークを持っていくと、ニノは「ありがと」と受け取って、パスタを見て目を見開いた。
「すごいよね、こんなの作れんだもん、J」
「そ…そう?」
シンプルなトマトソースのパスタだけど、そんなキラキラした瞳で、ニノに言われたら…
素で、嬉しいんだけど…
俺はニノの隣に腰掛けると、パスタをフォークで取ってやった。それをニノの口元に持っていく。
キョトンとするニノが、気づいて笑顔になったかと思うと、口を開けてくれた。
ぱくっとパスタをくわえて、ふ、と照れくさそうに笑う、ほんのりピンク色に染まった顔。
見慣れているはずなのに…
俺はまだ、酔ってるわけじゃないのに…
どうしよ、可愛くて…たまんないぞ…
「どんだけ甘やかすのよ」
「ファーストバイトはゲストのものですから」
「ふふっ…Jも食べて?」
ニノはソファに深く座り直すと、テレビ画面を見つめた。
「あ、これ、この前の関ジャム? ヒガシさん出たんだ」
画面には、関ジャニの番組の、東山さんがゲストで来た回の録画が流れていた。
「そう、マイケルジャクソンについてすげぇ語ってらしてさ」
「それはMJとしては見逃せないよねぇ」
ニノはにこっと笑って言った。目元が赤く染まって、心なしか瞳もとろんとしている。
どきん
って、待って…
「うん、でしょ?」
俺はどぎまぎするのをこらえて、笑顔を作った。
今の何だ⁈
「すげぇなあ」
ニノはソファにくたっともたれかかった。隣に座る、俺の二の腕に、ニノの柔らかな髪の、はねた毛先が触れた。
なんだこれ…
ドキドキがおさまんねぇぞ…
「あ…これ」
ニノは突然、ソファの背もたれから体を浮かせて前のめりになった。
「どしたの?」
画面からはマイケルジャクソンの曲が流れている。俺の言葉にニノははっと我に返ったような顔になった。
「あ…何でもない…」
無表情になってソファにもたれかかるニノに、俺は言った。
「いや、何でもない顔じゃねぇし」
ぽん、と膝を軽く叩くと、ニノは泣き出しそうな顔になった。
「これ…たまに鼻歌で歌ってるやつだ…って思っちゃった…リーダーが…」
消え入りそうな、小さな声で呟くニノの肩に、俺は手を回してそのまま抱き寄せた。ニノの頭がこてっと俺の二の腕にもたれかかってきた。
「なあ、ニノ」
「ごめん…忘れようって言ってくれてたのに…」
ニノは、無理やり作ったとわかる笑顔で俺を見上げた。
わかってる
わかってるよ
ニノが、
こんなふうに苦しそうに微笑むくらい
身も心も、リーダーのもの
だなんてことは…
だけど…
俺はニノの肩に回していない方の手で、ニノの細い顎をすくい上げた。
「俺と…キス…とかしたら…リーダーのこと、ちょっとは忘れられる?」
キョトンとしたニノの顔に俺は顔を寄せた。
「J…?」
「俺たちも…浮気…して…みますか…」
「じぇ…ぃ…」
ニノの細い肩をぐっと抱き寄せると、ニノのぼうっとした瞳と一瞬目があった。
「俺と…キス…とかしたら…リーダーのこと、ちょっとは忘れられる?」
キョトンとしたニノの顔に俺は顔を寄せた。
「J…?」
「俺たちも…浮気…して…みますか…」
「じぇ…ぃ…」
ニノの細い肩をぐっと抱き寄せると、ニノのぼうっとした瞳と一瞬目があった。
その頰に指先を触れさせながら、俺はゆっくりゆっくりニノの唇に近づいて、自分の唇を重ねていった。