「さとし、見て、小屋がある」
2匹はそこで休むことにしました。扉を開けると、火のついていない暖炉と、大きなイスとテーブル、部屋の隅っこに毛布が積まれていました。
「『ぶんめいのりき』はないね」
ニノウサギは寒そうに肩をすくめながらつぶやきましたが、さとウサギはほっとしました。
「今夜はここに泊まって、帰るのは明日にしよ?暖もとれるし」
「でも、どうやって火をつけんの?」
ニノウサギは火のついていない暖炉を指差しました。さとウサギはにこっと笑います。
「大丈夫。おいら、火起こしやったことあっから」
「そうなんだ…『むかしのひと』みたいだね」
さとウサギが木をこすり合わせて火を起こすのをニノウサギは興味深く見守りました。
暖炉に火がついて、2匹は雪で冷たくなった体を温めます。
さとウサギは釣った魚を火にくべました。
「魚焼くの?」
「焼かないとお前食べられねぇだろ?」
「…ん」
にこっと微笑みを浮かべて言われて、ニノウサギはまた胸の奥がキュンとなるのを感じました。
焼けた魚を、ニノウサギが食べやすいようにほぐして、さとウサギは渡してくれました。
「んまい」
「うまいだろ?」
魚は一匹釣ったところで釣りを終えたので、2匹の食事はすぐに終わりましたが、小柄な2匹には十分でした。
お腹が満たされたところで、ニノウサギは外の様子をうかがおうと聞き耳を立てました。風の吹く音が聞こえて、時折、雪が小屋に当たる音も聞こえます。
「さむ…もう、寝ちゃう?」
寒そうに、部屋の隅っこにあった毛布に潜り込もうとしたニノウサギの手を、さとウサギはぎゅっと握りました。
「にの…おいら、あっためてあげる」
「え…」
目を閉じて、顔を近づけてくるさとウサギに、ニノウサギは焦って顔を離します。
「ね、もしかして…『がったい』しようと思ってる?」
「うん…さみぃだろ?『がったい』したら、あったけぇもん」
~よいこのみんなへ~
2匹の言う『がったい』とは、なんのことなのでしょう。よいこはまだわからなくて大丈夫です。よいこのみんなは、この先の袋とじページは開けないでくださいね。
~保護者の方へ~
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