Side S
「んー…好きな人に…あんな…されんのは、初めて」
「ぶはっ…どういう意味だよっ」
俺が思わずふき出すと、ニノもころころと笑う。
「ふふっ…翔ちゃんが初めてだよ…」
「ニノ…」
抱きついてくる小さな体をぎゅっと抱きしめて、額にちゅっとキスをする。
「おでこ…なの?」
眉を寄せて不満そうに呟くニノが可愛くて、顎を上げさせて唇に自分のを重ねた。
「んっ…翔…ちゃ…」
横向きで抱きしめていた体を起こして、ニノに覆いかぶさるようにして顔の両脇に肘をつく。舌を忍び込ませると、「はぁ…」とかすかに吐息を漏らしながら、ニノはその甘い 舌をから ませてきた。
「…翔ちゃ…っん…ぁ」
ニノは、閉じていた瞳を開けると、とろんとした目で俺を見つめる。
やっば…
朝から二回戦…とか…は、まずいよな…
でも、この状況、あらがえん…
と、思った瞬間、
グウゥゥゥ…
盛大な音が俺の腹から聞こえてきた。
「ふはっ…翔ちゃん、すごい音」
俺は一気に脱力して、ニノの隣に体を投げ出す。
「あー、くそ、信じらんねぇ」
俺は起き上がって、髪の毛をくしゃくしゃっと乱した。
「ふふっ…翔ちゃん、ゴハン食べよ?」
「ん…俺的には、お前先に食いたかったかも…」
ため息まじりに呟くと、ニノが体を起こして背中にぴとっとくっついた。
「でも、ゴハン食べても…デザートは別腹…だよね?」
「…そりゃ、別腹ですよ…さぞかし激甘スイーツなんだろうけど…」
首をひねって、肩越しにニノを見ると、目を細めたニノが、また唇を寄せてくるところだった。