Side N
背中にすうっと片方の手のひらを這わされて体の力が抜ける。俺は大野さんにしがみついた。
たかぶ りかけた互いの芯がふ れあってしびれるような感覚が全身を駆け抜けていく。
…と、大野さんは俺の肩を押した。
「は…だめだニノ…やっぱ、も、のぼせる…」
「ふふっ…じゃああがろ?洗ってあげる」
大野さんを促して湯舟から上がらせる。風呂イスに座らせて、その前に立った。
「洗ってくれんの?」
「ふふ…王様は自分では洗わないでしょ?」
「そんなもん?…わっ」
シャワーで湯を大野さんの髪にかけて、シャンプーをつけて泡立てる。
「ね、ドラ◯ンボールみたいにしていい?」
シャンプーで泡立った大野さんの髪を束にしてつんつん立てながら俺は聞いた。
「悟空っ?」
とたんにキラキラした目で見上げてくる王様がかわいい。髪の毛をつまんで全方位に立てていく。
「ふははっ…悟空だっ…見て大野さん鏡」
「わははっ…実写版いけっかも」
漫画のキャラみたいに髪の毛を全部立てた自分の姿を鏡を見て、大野さんは嬉しそうな声をあげる。
この人が俺といて、機嫌よく、無邪気に笑っていることが、
俺をとてつもなく幸せな気分にする。
それって…改めて…すごいよね…
なんで…こんな好きになっちゃったんだろ…
俺は大野さんのつんつん立った髪を2つだけにして触角みたいに左右対称に立てた。
「ふふっ…ピッコロもいける」
「ふはっ…ピッコロいけんね」
大野さんは立ったまま自分の髪をいじっている俺の腰を両手でつかんだ。
「おいらに触角あったらさ…」
「ぅやっ…」
立てた髪の先端で胸の 先をさ ぐりながら、つんつんと刺 激されて思わず声が出た。
「ふふっ…でもこれだとお前の顔見えねぇな…」
大野さんは顔を下に向けたまま、俺の胸の 先を泡で立てた髪でかすめるように刺 激する。
「ちょっ…くすぐったっ…んっ…こら、もう流すから」
慌ててシャワーヘッドを掴んでお湯を出した。大野さんは笑いながらおとなしく髪の泡を落とされていた。