収録中は一切つらそうな様子を見せなかったニノが、収録が終わって裏へはけた途端、俺に肩を寄せてもたれかかってきた。
「ニノ…大丈夫?」
「ん…大丈夫大丈夫…」
ニノは明らかに無理やりに見える感じで微笑んだ。その肩を抱き寄せると、ニノは俺の服をぎゅっと掴んだ。崩れ落ちそうになる体を抱きとめる。
「ニノ…つかまれる?」
俺の体の正面でニノを抱いて、力ないニノの腕を俺の首に巻きつける。ニノはよろよろと俺に抱きついて、腕にかすかに力を込めた。
ニノの体が、燃えるように熱い。
俺は自分の体をニノの体の下に入れて、脚を抱えて逆向きのおんぶみたいにニノを抱き上げた。ニノは俺の肩にぐったりと頰を寄せる。全部預けきってくれている体重を感じて、なんだか嬉しくなった。
「わっ…ニノ…大丈夫?」
先に歩いていた相葉ちゃんが気付いて、心配そうに戻ってきた。
「さっきまで、平気そうだったのに…終わって安心したのかな」
俺の隣を歩きながら、俺の腕の中でぐったりしているニノをじっと見つめる。
「リーダーには…甘えんぼだね」
相葉ちゃんがポツリと呟くから、思わず隣を歩く横顔を見た。
「えっ…そうなの?」
「そだよ…そんなの、されたことないもん、俺」
相葉ちゃんはふふっといたずらっぽく笑った。
「相葉さん…余計なこと…言わなくていいよ…」
ニノがかすれた声で小さく呟くと、相葉ちゃんは、声に出さずに
(これですよ、これ)
って口を動かしながら、指でニノを指すジェスチャーをした。
楽屋に戻って、ソファにニノを降ろすと、こちらを見上げて、小さく「ありがと」と呟いた。
薬が切れかかっているのか、ぼうっとした瞳がつらそうだ。
一人で帰すの、心配だな…
俺は、ニノの隣に腰掛けて、ニノに話しかけた。
「ニノ…今日、一人?大丈夫?」
ニノは閉じかかっていた目を開けた。
「あ…今日は…」
そのとき、楽屋のドアがこんこんとノックされた。相葉ちゃんがドアを開ける。
「はあーい、どぞ~…って、あれぇ?珍しいねぇ。ニノ?」
そこには最近ニノがかわいがっているらしい、事務所の後輩が立っていた。