こんばんは、雪乃です。
間が空きましたが「大宮ジェラシックパーク」、続きです♪( ´▽`)
◎「どんなんやったか忘れたわー」という方向け
・マエガキ
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Side N
俺をソファに沈めた大野さんが、そのまま俺の手首をとって、俺の顔の横でソファに押し付ける。
こんなふうにされていても、むうっと子供みたいに尖らせた唇が、可愛いな…と思ってしまう。
珍しく…何か怒ってるのはわかっていた。
さっき相葉さんが言ってた、あれ、そんな怒ってるんだろうか…
「えっと…もしかして、カナタのこと?」
「わかってんじゃん」
大野さんは真剣な瞳でこっちを見下ろしている。
「ここに…泊めたんだ?」
「…ん。一緒にゲームしてただけだよ」
「そういうの、頭では、わかってたつもりなんだけどさ…」
大野さんはぎゅっと眉を寄せた。
「なんか、ここ来たら、想像しちゃって…ってか、できちゃって…」
大野さんはちらっと目を部屋に走らせた。
「いつもおいらが座ってる位置に座ってたのかな…とか…」
慌ててぶんぶんと首を振るけど、大野さんは言い続ける。
「いつもおいらが使ってるマグカップ、使ったのかな…とか」
「そんなことしないよ」
なぜか妄想をたくましくしている大野さんに、焦って口早に否定する。
なんか…変なスイッチ入っちゃったのかな…
「なんかもう、さ…ふたりっきりで…ここで一晩過ごしたんだって思うと…」
みるみるうちに、大野さんの眉間にしわが寄っていく。
「すげぇイヤ…」
大野さんは小さく呟くと、ふいっと目を逸らした。
…これって、
大野さん、妬いて…くれてる…んだよね…
「アイツとはそういうんじゃないから」
大野さんを安心させたくて、どうってことないことのように聞こえるよう、軽い調子でつぶやいた。
「今はそうかもしんないよ。酒飲んで、なにかのはずみで…って完全に否定できる?お前とおいらがはじまったのだって…」
「自分より細っこい奴に襲われるわけないじゃん」
俺は努めて明るい声を出したけれど、大野さんはため息を一つついた。ますます口を尖らせて眉を寄せて俺をにらむ。
「お前さ、相手が細いからって…油断してっだろ。俺だって、お前より細くねぇか? 俺のこと、今押しのけられる?」
「ん…無理…かも…」
大野さんは珍しく饒舌だった。俺の手首を握る手に力がこもる。
ああ、どうしよ…
絶対、変なスイッチ入ってる…
ってか、俺が入れちゃったのか…
安心させようとして口にした言葉が、余計大野さんの気持ちを波立たせたようだった。
「目の前の奴のこと、欲しくなったら…襲 えるか、どうかなんて…関係ねぇだろ?」
彼は急に尖らせていた唇を引っ込めて、俺の手首をぎゅっと握りしめたまま俺の顔に自分の顔を近づける。
あ、キス…と思った瞬間、噛みつくような激しい口付けが降ってきた。