日帰り京都。

今回行ったのは金閣寺の裏山にある原谷地区。秘境「原谷苑」。

とっても幻想的な花の苑なのです。

桜の背丈が高いの、わかります?


桜といえばソメイヨシノを追いかけて京都に行く人が多いかもしれませんが、ここは枝垂れ桜が多い。桜の種だけで20種。



↑花の名前忘れた。


桜以外の雪柳や木瓜、ツツジ、ツバキ、芍薬など、多種多様な観賞木が混在して密集して花を咲かせています。


起伏のある山の中で何層も重なって、歩いている人を隠すので、高いところから見ると花の雲海のような眺めになります。


黄色い花はモクセイ科のレンギョウ。

白はユキヤナギ。

手前の濃いピンクはツツジ。

枝垂れ桜や山桜の名前は、覚えきれなかった💦


豪快に咲くソメイヨシノもいいけど、小さな花をたくさんつける桜も可愛らしくて素敵です。

至るところにベンチが置かれていて、桜の大木を見上げながらのんびりと桜越しの空を見上げて過ごしました。



苑内には売店があって、京都の和菓子屋さんの花見団子や草餅、苺大福が並んでいました。苺大福にしました。薄皮の餅と上品な白餡にイチゴの果汁が口の中で混ざり合って、とってもおいしかった。


予約すれば鶏すきを花見座敷(というか、小屋)で食べることができます。

↑雄々しい貫禄を感じる桜〜


ここの桜は樹齢の古い大木も多い。

高いところで花を咲かせています。


苔を蓄えた横枝を、幾つもの支柱で支えている枝垂れ桜の老木も風格を感じる。


朽ちて切られた木の根から、若くて勢いのある枝が伸びて、誇らしげに花を讃えてる木もある。


最近植えられた若い桜はまだ花の気配はないけど、足元を覆い尽くす雪柳の白さ、ミツマタのクリーム色、木瓜の真紅、ツツジのピンク色が包み込んでいる。


むせかえるように咲き乱れ、「百花繚乱」とってこんな景色のことをいうんだろうなと思う。




↑身を屈めないと枝が顔にあたるような桜のトンネルを散策しました。

歩く路は整備されていませんので、歩きやすい靴で行くことをおすすめします。



寺社や公園で見る桜とは全く違う景色です。それは原谷苑の歴史と関係あります。


公式サイトを見ると、原谷苑は公園ではなく北山杉や桜や梅、紅葉などの観賞木や樹木の苗を栽培し、販売をする村岩農園の所有地だと書かれています。私設庭園です。



今は京都市の観光サイトでも、ネットでもバスツアーのパンフレットでも見かけるようになったのですが、ここはとにかくアクセスが大変。

地図で見ると金閣寺から北へ2.5kmという場所なので、難しくないと思うところですが、この2.5kmの道が、狭くて、高低差の激しい山越えの急勾配になっています。ヘアピンカーブや先が見えない細いカーブを超える道です。

そのため、観光バスは離合が難しい。
路線バスがあるのですが、地元の住民の足を奪ってはいけないという配慮から、観光客はこの系統の路線バス(M1系統)は使いません。そして、駐車場も狭いため渋滞を起こさないようにマイカーも自粛します。

原谷苑が呼びかけるこれらの規制を、罰則がないのに多くの観光客が守っているという事に驚きます。

なぜ、観光客が節度のある行動をできるのか?

それは原谷地区の苦難の歴史を知った上で、原谷苑に行ってみるとわかります。


原谷地区は、戦後、満州から引き上げてきた人たちが、荒れ果てた山林を国から与えられて開拓をした土地だそうで、荒れて痩せた土地の開拓には大変な苦難がありました。


原谷開拓団からこの土地を譲り受けた村岩農園の先先代当主が、林業と農業をしながら開拓団と共にこの地を整えました。

隠居の身になると花好きの先先代は、たくさんの桜を植えて世話して桃源郷を作りました。身内や近しい人と花見を楽しんでいたところ、美しい桜の苑の噂が広まり、花の時期だけ農園の一角を一般に開放するようになったのが原谷苑の始まりだとか。


地域の人との強いつながりを持つ原谷苑は、運営の全てが手作りです。
バスの乗り場の案内役も、入場券の販売やもぎりも、売店の売り子も、全部地元のお年寄りたちです。

入場料はその日の花の開花具合によって、800円から1500円に変動します。

決してテーマパークじゃないのです。
地元の人たちと農園の経営者のあたたかいつながりで一般に開放されている場所です。

その思いがわかるから、多くの観光客はルールを守ってここにくるのだと私は思います。


山の中にあるため、平地より少しズレてソメイヨシノはこれからが満開の時期。

咲き具合はホームページで伝えられています。


原谷苑には、桜と紅葉の時期にだけ運行される無料送迎バスで行くことができます。

詳しくは原谷苑のホームページでご確認ください。

原谷苑