本はよく買うけど、買ってきたその日に読み続ける時間が取れない。
すると、そのまま積読になってしまう悪い癖があります。
なので、読みかけの本がどんどん増えています。
3連休を使って、久しぶりに一気に読了しました。
『令和元年の人生ゲーム』 (麻布競馬場 著)
いつもは「読書メーター」に感想を書くのですが、
「読書メーター」にはリアルに繋がっている知人が多くて
そこにはこの本の本音の感想が書けない😅💦
なぜなら、この本は
「読書メーター」で私が繋がっている知人たちのことを
皮肉っているような本だったし、
私はその皮肉に共感してしまったからです。
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表紙を見た娘は
「Z世代用語、わかるの?」
と私に言いました。
ほんと、
流行語とかバズッた文化のカタログのような
そういう本かと思う表紙、タイトル、作家名です。
私がこの本を読もうと思ったきっかけは、
直木賞にノミネートされたからでした。
ただそれだけ。
でも、そこには
Z世代の頭のいい若い人たちが、何を考え、
どんなことに没頭しているのか、
なぜそこに身を置くのか、
がわかる物語が4つ描かれていました。
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第一話は、慶應義塾大学のビジネスコンテストサークルが舞台。
学生起業家を排出するサークルで、カリスマ的存在の学生とそれを嘲笑う発言をする学生の物語。
第二話は、若者たちが憧れてやまないベンチャー企業が舞台。
出世街道の登竜門である新人賞をめざして躍起になる新入社員が、「総務部あたりに配属になって、クビにならない最低限の仕事をして、毎日定時で上がって、皇居ランでもしたい」という冷めた同期に翻弄される物語。
第三話は、意識が高い学生ばかりが選考されて入居しているシェアハウスが舞台。
社会活動を通して自分を高めていくことに酔いしれている学生たちが、地域猫の保護活動に取り組むが、教育されてきた一遍通りの筋書き通りにことが運ばないなか、不調和音が広がって。。。。
第四話は、廃業があいつぐ銭湯業界で新しい試みにチャレンジする老舗銭湯が舞台。
若きオーナーが先代から受け継いだ銭湯を盛り返すために、若いクリエーターやエンジニアを集めて新しい経営スタイルにふみこんでいくが、古き良き銭湯文化の本質を知るうちに集まったメンバーの中に違和感がうまれていく。
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結論、おもしろい本でした。
イケイケで張り切っている人に、
正論で論破する人物が
4つの話の軸に出てきます。
頭のいい若者たちの異様な盛り上がりを
著者は冷ややかに笑うように描いています。
世代が違うはずなのに共感も覚えました。
各話の主人公が、おいて行かれた者の寂しさを感じる
そんなエピソードが盛り込まれていて、
わかるなぁと頷きました。
誰かに憧れて、私もそんなふうになりたくて、
でもなれなくて
冷めた目になって傍観してみたり、
やりたいことができないジレンマを
誰かのせいにしたりして
自分を守っている。
Z世代もこれから何度も
そんな悔しい思いや寂しい思いを
いっぱいするんだろうなぁ。
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本は高学歴のあたまのいい
Z世代のお話なんだけど、
50代の私が10年前に
参加しまくった異業種交流会とか、
TED(※)の地域版のTEDxとか、
自主セミナーとかプレゼンイベントなんかで
出会った人たちと同じ匂いがします。
(※)TED Conferences, LLC は、
「広める価値のあるアイデア」
というスローガンの下、
国際的な講演をオンラインで無料配布する
アメリカとカナダの非営利メディア組織です。
(ウィキペディアより)
たぶん、今40~50代の意識高い系の人たちが
社会(特に学生)にまき散らしたモノの考え方の
影響を受けて育ったのが、
この本に出てくるZ世代なんだと思います。
Z世代の若者たちは、
一部の成功者にあこがれているんです。
わかりやすいところがベンチャー企業のトップだったり、
カリスマユーチューバーだったり。
作者はイケイケの意識高い系の人たちを、
斜めに見ていて小馬鹿にするエピソードを盛り込んでいます。
その目線は、熱弁しながら胸を張って上を目指す人たちについていけなかった私の「ちょっと“いけず”な気持ち」にリンクしました。
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