ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)(芦屋市)
1918年に建築家フランク・ロイド・ライト氏によって設計され、その弟子である遠藤新氏と南信氏によって建設された邸宅。
F.L.ライト氏は帝国ホテルの設計者として有名。
依頼者は灘の酒造家だった山邑太左衛門氏。
山邑家からヨドコウ(株式会社淀川製鋼所)の所有になったのち、1974年に国の重要文化財に指定されて、現在は一般公開されている。
正しく詳しいことは、公式サイトを見てください。
私のブログでは、私感を語りたいです。
ゆきンこの目線
近代建築とか寺社仏閣、古民家など人々が長年愛してやまない建築物を見て回るのが好きです。
ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)は、旧帝国ホテルと同じ人が設計した個人の邸宅だと聞き、とっても興味を持ちました。
旧帝国ホテルと同じように、重厚な石(大谷石)の柱がズン!ズン!ズン!と並んでいます。
ゴツゴツのデザインです。しかも、ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)は外国人の住んでいた異人館ではなく、日本人の山邑太左衛門が依頼した私邸宅です。実際に家族で暮らしたため、生活の空間がある近代建築です。
どんな屋敷なんでしょうw
面白い!ってツボが満載の近代建築でした。
ツボ1 レゴブロックで作れてしまいそうな直線的な外観
比較的柔らかいため装飾を彫り込むことができる大谷石をガンガン使って、垂直!水平!の堅物なデザインです。
なんか冷たいような、緊張するような印象でここに住むって、くつろげるのかしら?
ツボ2 それでも必要?って思う車寄せ
車寄せのある玄関など、確かにホテルっぽい。
でも、この車寄せ、山の傾斜に建てられているため奥は行き止まり。
車はバックをして寄せなければ、この車寄せで客人を乗り降りさせることはできない。
ツボ3 小さくたって作るこだわりの壁泉
ホテルではなく個人宅として建てられているのですが、車寄せから建物に入る玄関口に小さな壁泉がちゃんと作られていました。
金魚が2匹泳いでいました。
設計者F.L.ライト氏は、人工池や壁泉など水を使った演出が得意。
アメリカでは天然の滝が建築物から噴き出しているようなダイナミックな設計をしています。
個人の邸宅でも小さいけど壁泉を入れたところ、設計者のこだわり強い〜www
ツボ4 実は住み心地悪かったんじゃないの?WWW
外だけでなく、中にも帝国ホテルと同じ大谷石がガンガン使われています。
家の中に分厚い石の柱がガンガンあるんです。
柱に足の小指ぶつけたら、どんなに痛いだろう????って大きなお世話かもしれないけど、
作りつけのソファの背もたれはゴツゴツの角のある大谷石です。それって落ち着きますか?
実は、依頼主である山邑氏は、ライト氏が帰国した後に建築に携わった遠藤氏に、当初の設計にはなかった畳敷きの和室を作ることを依頼しました。
ほらね~
やっぱり住みやすいとは言い難い設計だったんですね〜(笑い)
ツボ5 この雛人形が見たかったんです
ヨドコウ迎賓館(旧山邑家)の存在はずっと前から知っていたのですが、どうせ行くならひな祭りの季節にいこうって決めていました。
私が行ったその日、山邑家の雛人形と花嫁人形と花観人形がずらりと展示されていました。
人形は撮影禁止だったので和室の写真は撮れませんでしたが、パンフレットの写真を載せてみました。
どの人形も美しい顔です。
芸妓の立ち姿や、その周りの人形も生き生きとしていて、話し声が聞こえてきそうなくらい表情が豊かで素敵でした。
ツボ6 畳の10センチ向こうに大谷石
畳の和室の東側には壁はなく、バルコニーに出る開戸が並んでいます。
バルコニーは元々の設計通り大谷石が敷き詰められた空間でした。
畳の上に立つ私のつま先からほんの10センチ向こう側、ガラスの向こうにザラザラゴツゴツの大谷石のバルコニーの床面を見た時、和と洋のミスマッチを感じました。
「これ、設計者が見たら、自分のアートを勝手に弄られて(洋室を和室に変えられて)気を悪くするんじゃないの?」
そこがこの迎賓館の面白いところでもあると私は思いました。
ツボ7 4階バルコニーの眺望
背中から六甲山の緑にすっぽりとバックハグされながら、南側に大きく視界が開けているバルコニーです。
キラキラと輝く大阪湾(紀伊半島〜関空〜阪神臨海部〜神戸港)を眺める大パノラマは爽快。
このエリアは眺望もすばらしいことから多くの成功者たちの屋敷が並んでいます。
ツボ8 財のある人の社会貢献
明治大正昭和の財閥や大きな企業の経営者は、自らの財を社会に還元することをステータスとしていました。
美術館や博物館、福祉施設や病院などを作ったり、歴史的資産や文化財の保護に尽力したり。。。。粋だなぁと思います。
国の重要文化財に指定されてこれを守り存続することは、維持費も大きく容易なことではありませんが、ヨドコウ迎賓館はこれを守りながら一般公開を続けています。
コロナ禍で見学者が館内で密になることを避けるため、見学には予約が必要です。
少々不便ではありますが、帰って混雑することなくゆっくり見学することができます。
ヨドコウ迎賓館の館長自らが、玄関前の車寄せで、にこやかに来館者を迎えて、検温をして予約の確認をしておられました。
ゴツゴツの堅いイメージの近代家築でしたが、実際はこの館長のお人柄のような、優しい迎賓館でした。
大満足のまちあるきでした!