夫との時間 ~最期の時を過ごす~ | 手をつなぎ歩き続ける

手をつなぎ歩き続ける

2022年9月14日 夫が旅立ちました

闘病中、戸惑いと怯えと闘いながらも、『夫と手をつないで歩き続けたい』
そんな思いで始めたブログですが、今は自分が支えられています

  2022年3月 大腸がんステージⅣが発覚した夫

  抗がん剤治療の末、多発性脳転移が見つかり、治療をやめ緩和ケアを受けることにした

  おそらく先は長くはなく、月単位ではなく週単位との診立て

  9月、退院し在宅医療を始めた

  夫との毎日を少しでも記録して覚えていたい

  身内のいない私の気持ちの捌け口が欲しい

  そんな毎日のつぶやきです

 

昨日、往診してくださる医師からお迎えが近いことを告げられた

朝を迎えた

晴れている

空気が少しひんやりとして秋の気配を感じる

夫は今、穏やかに眠っている

夜間は体を横向きにしていると、時折痰が溢れだしたので

それを時折きれいにしてあげた

今は、ゼロゼロとした喘鳴は聞かれない

 

夫の体をベッド左端に少し寄せ、私は右側に体を寄せて寝た

眠れやしないけれど

あなたの呼吸を聞きながら、生きていることを確認していた

体がとても熱い

なんだろう、腫瘍熱なのだろうか

終末期を迎えると体温がコントロールできなくなるのだろうか

こんなに熱が出たら疲れるよね

ずっと手を握りさすったりしていた

手が熱いよ

少し冷たい私の頬にあなたの手をあててみる

冷たくて気持ちいい?

ほっぺたがプニプニでしょ

すべすべで気持ちいいでしょ

 

時折うーんと小さくうなる声

大丈夫?

そう聞くとうなづいたような気がする

私だよ、ここにいるからね

心配しないでね

ずっと一緒にいるからね

それから夫はうなづきもせず目もあけなかった

 

朝を迎え、髭を剃り、顔を洗い、口の中をきれいにする

いつもと同じ朝だよ

返事はない

コーヒー淹れたよ

あなたに飲ませてあげたいと思って、少し高いコーヒーを買ったんだよ

今、いらない?

また後でね

 

本当にこのまま亡くなってしまうのだろうか

奇跡ってあるんじゃないだろうか

今、熱が高くて意識が落ちているんじゃないだろうか

そんなことを考えたりもする