私がフォローしているブログの中に、派手なキノコをアイコンにしているブロガーさんがいる。
と思っていたら、実はあれは派手な背景にハニワを重ねているのだと知り、「キノコのアイコン素敵ですね」などとコメントせずに本当に良かったとこっそり胸をなでおろしている。
彼女のブログには「向田邦子」という名が時々現れる。
何を隠そう私は読書好きを自称しながら氏の著作を一切読んだことがなく、その作風も知らない。
一体どんな文章を書く人なのだろうかと今更ながらにどうにも気になり、先日私は図書館で向田邦子氏のエッセイを借り、読んでみた。
最低限の知識を得る程度の気持ちで、何か軽く読めそうなものをと選んだつもりが、その冒頭にいきなりギョッとする場面があり私のページをめくる手は止まった。
それは氏が、とある女優に「まゆ墨貸して」と頼まれた時のこと。
化粧っ気の無い向田氏の家にはまゆ墨が無い。代わりに3B鉛筆を勧めたがそれを断られ、最終的に女優は燃やしたマッチの軸の残り墨で眉を描いた、というエピソードである。
3B鉛筆やマッチで眉毛を描くなどとんでもないと言いたくなるが、実は私も女子高生の時分、書き忘れた自分の眉毛を校内で、手持ちのボールペンで書き込んだことがある。
ボールペンでは線が細くて強すぎる、せめて鉛筆にしろという同級生らのアドバイスになるほどその通りだと膝を打ちはしたものの、私はその日、ボールペンによって表現された力強い眉毛のままで一日を過ごし切った。
あれは本当に酷かったと当時の友人からは今だに話を振られるのだが、あれと同じような光景が自分の読んでいる本の中に突然現れたので、私は驚いてしまった。
ボールペンによる力強い眉毛で過ごした私同様に、マッチの残り墨で勇ましい眉毛を描いた女優がその後どうなったかは是非、向田邦子の「無名仮名人名簿」で確認して頂きたい。
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