コロナで今は叶わぬが、実家の父母は車で片道5時間かけて、度々我が家にやって来る。
目的は孫、孫会いたさに徹夜運転でもせん勢いの私の父。孫からすればジージ。
そしてどちらかといえば孫に会うことよりも長距離ドライブを楽しんでいる様子のバーバ、つまり私の母。

実家からこの二人が来た日には娘である私の作る料理のカサも増えるが、母はある日食べた、我が家近くにある激安スーパーの「サーモン握り10貫390円」が忘れられなかったらしく、いつからかこちらへ来た日には必ずこれを買うようになった。

私が何か作ると言ってもいいや私はサーモン握りを食べると言って拒否する理由はそのサーモン握り、実家近くのスーパーで買えば8貫で980円するからである。
鮮度の良いサーモン握りが390円でたらふく食べられるのはここだけだということで、我が家に来ると母は必ずこれを食べたがる。
料理に疲れているであろう母の、寿司を求める気持ちはよく分かるので毎回私がお金を出している。

その日も毎度のことながら、私は母のためにスーパーでサーモン握りを買ってきた。
昼にサーモン握り、夜にサーモン握り、翌昼もサーモン握り、その夜もまた、サーモン握り…とここまで来たところで父がおもむろに口を開いた。

「そんなに鮭ばかり食わせんでいい。熊じゃあるまいし。」

鮭といえば熊が浮かぶ父の家、つまり私の実家は大層な田舎の、大自然の中にある。
回転寿司に行こうと思えば車で一時間走るしかない場所に住む母が、都会へ来たこのときばかりは熊になるのも致し方なかろうと私は思うのである。


 
 
 
 
 
 

 

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