高級キャバクラグレイから徒歩で数分

















24時間やってる宗右衛門町の焼肉店で

















あたしはお肉を焼いていた









































「この世界は誘惑だらけや」









































満腹感に満たされお酒も切れた頃

















もう疲れた、とこぼす留美さん

















どうしたらいいか分からない、と嘆くあたし

















Hyde常務なんか語りだしたw















































「理不尽さと誘惑がうごめいてる」























理不尽さと誘惑?どういう意味かな























「だからずっとこの世界におると判断力が落ちるんや」























そしてという名の速く対処のしようのない激流に























遠くへと流されてしまうんや!























ってなんの話ぢゃ!

































































さっぱり意味が分からないあたしを一旦放り出して























意味深に顔をしかめる留美さんHyde常務は次の言葉を吐き出した













































































「もうシャブはしてないな?」





















































(。>。<。)!?






















































「してへんよ」






















































+。・△・;;





































































































否定で答えた留美さんのの深さを図れる物差しなんて























あの時のあたしには持ち合わせがあるはずもなく























ただ違う世界の話をテレビの画面越しに見ているような感覚になった























でもそこにフレームはなくHyde常務留美さんも目の前にいる























ほんとにあるんだ、こんなに近くに。。。







































































目を丸くするあたしに留美さんは教えてくれた























「お客さんをね、好きになったことがあってね?」























有名企業の重役で妻子もいた























気がづけば惹かれてた























色恋営業男心手玉に取ってきたミイラ取りがミイラになる























叶わない恋























いやもしかしたら留美さんなら叶えられたかもだけど























叶えてはいけない恋























「キャバ嬢とお客さん、ようある話やな」























でもな、とHyde常務は付け足した























「いい事はいい、悪い事は悪いやぞ」





















































大阪ミナミの近くにあるとある区域薬は買える























昼間から警察署の前で堂々と売買が行われる日本一治安の悪い場所























「あそこへ行けば手に入ってしまう誘惑に、私は負けた」























周りに認められたかった























でもNo.1の壁は厚かった























どれだけ無茶な営業をしても香月さんには勝てない























「私のお客は必ず切れる」























自分のスタイルが抱えるリスクと























いつまで経っても先のない今をループするむなしさに























不毛な恋
が決め手になって破裂したメンタル























「敗けたわ」




























































こんなに綺麗に生まれて























こんなにお金を稼げる留美さん























あたしは不幸だと思った























楽に稼げるからという理由で昼職を捨てて























結局自分の魂さえ捨ててしまうに至る























夜の世界にうごめく理不尽さと誘惑























それは堕ちる者を徹底的に誘い込む























「だから分かるよね?雪菜ちゃん」
























吸い込まれると言う表現の意味を教えてくれた哀しい目























今はもう留美さんが何処で何をしてるのか分かんないけど























あの時のあの目は今も心の奥底に焼きついてて離れない



































「私のようになってはだめよ?」

























































































目を丸くしてただ話を聞くだけだった当事のあたしは























いずれ訪れる知るべき事を知るべき機会をその時与えられていた























それが留美さんとあたしを連れてきたHyde常務の意図でもあった























まだ戦いのステージにさえ上がれてないあたしになら























熾烈なナンバー争いを戦う留美さんも弱みを見せる事が出来る























行く所まで行った留美さ最初の1歩が踏み出せないあたし























対極にある2つのトラブルを引っ張り合わせておきる科学反応























それを狙ったんでしょう?















































「雪菜」
















































まんまとHyde常務の戦略に引っかかったあたしは























留美さんが心のドアを開いたことで























それまで頑なに閉めてた扉の鍵が緩みだしてた









































「おまえはなんで夜にきた?」



















































千差万別な答えがあるHyde常務のこの問いに



































 どう答えよう??





















































































あたしはね。。。。。。



































































































































続く*≧△≦*ノ

































































































ps.











メッセージいっぱいありがとーございます☆










がっつり見てあげ↑あげ↑なってます+。・▽・。+










明日あたりお返事しちゃうぢょ!ルンルン♪





















pps.



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「このお客様はもうサラ金に手をつけてる」


分かっててルイヴィトンを買わせ


「あのお客様はもはや闇金に堕ちてる」


知っててドンペリ(ロゼ)をおろさた








「私のお客たちは私と付き合ってるって本気で信じ込んでんの」










留美と名乗るそのお姉さんは教えてくれる


これからあたしが立ち向かって行く事になる


本当の敵のこと





「だから分かるよね?雪菜ちゃん」






あたしは絶対に忘れない


あの時留美さん勢いの無い声


切ない目を


忘れられるわけがない













『私のようになってはだめよ?』

















ことの始まりはHyde常務


相変わらず男性恐怖症が爆発して


席についても一言も喋れないというとんでもない仕事っぷり


・・・・・を披露していたあたしは不意に入る意味のわからない場内指名を除き


キャバ嬢失格と断定せざるを得ない状況に置かれていた





「飯くいに行くぞ」





その癖ギュラー勤務のオーラスで入ってた


ダメなあたし
ついに業を煮やしたのか?


ただの気まぐれなのか?


あたしの管理を担当するHyde常務から誘いがかかる








「留美も行くか、お前らとりあえず3番で待っとけ」








ボーイさんたちが売り上げのお金を数えてる14番テーブルの真向かい


ホールの真ん中あたりにある3番テーブルにHyde常務管理のキャストが2人 


ナンバー常連の留美さん
新人のあたし






「お疲れ様です」


「お疲れ様、ほんとに疲れた顔してる!」


「留美さんもさっきまでの元気ないじゃないですか」







胸のあたりまでなびかせる派手さのないロングストレートの黒髪に


隠れたり隠れなかったりしてる大きな目の矛先をあたしに向けて


決して高くはないけど細くて長い綺麗な鼻の下


短い間隔をとってついてる、ふくよかな唇 


女のあたしでもうっとりする留美さんは


一体どれだけの男の人に求められて来たのかな








でもその唇を使った次の言葉は予想外のものだった







「問題児が2人残されたね」






ヽ(。・∀・*)ノ?




 2人?










あたしはどう考えても問題児だけど



留美さんの何が問題児なの?



今日も留美さんの席に何度かついたけど



留美さんにしか出せない色気と切り返しに



あたしもそうありたいと願わずにはいられなかったのに






「ゆきちゃんはどうしてキャバ嬢になったの?」




今から食事に行く同じHyde常務管理で新人のあたしに



完全にオフモードになった留美さんはまるで



ペットに語りかけるかのように話しかけて来る






「あたしは。。。えっと。。。」



土曜の営業終わりのあまりの疲労感にうまく言葉を紡げないでいると



留美さん持ち前の洞察力でサクッと察し



そのまま話を続けてくれた



「私はねぇ、最初は小遣い稼ぎに週2で入ったんだけどね」



人間の心理の裏側を見抜く術に長け



お客さんの男心を先読みして手玉に取ることが出来た留美さん




週2出勤の初月で昼の仕事と同じお金を稼いだそう




「こんな楽な仕事があんのかと思ってね」




昼の仕事をやめて夜一本に絞りナンバー2を獲得


以来ずっとそれをキープしていたけれど


ここに来て陰りが見え始めていると嘆く


そして留美さんは自分が夜1本に絞った理由を



誘惑に負けたと表現し



自身の営業スタイルを次のように定義した
















色恋営業











同棲するための住居を探すため



一緒に不動産屋を巡ったお客さんと別れた直後


いつ結婚しようか真剣に話し合ってる


別のお客さんと
指輪を見に行く約束をする







もちろん同棲なんかするわけないし


指輪は買ってもらうけど


結婚とかふざけんな?









「最後の一滴を絞るために稀にだけどイッパツ寝てやることもあるわ」








めちゃくちゃしてるこの人+。・△・;;





そう言えば他のお姉さん達がどんな営業をしてるのか



あたしは全然しらなかった



お店で喋ってメールして来店を促すってだけじゃないのは分かってたけど



そこまでするもんなの?










でもそこまでの営業も意外と当たり前


やってる人は全然やってるという事実も


この時のあたしはまだ知らない










「必ず切れる客を切れるまでの間に引っ張れるだけ引っ張んの」



「気が滅入りそうです」



「でも私にはこれしか出来ないからね」



「・・・・・・・・・」











あたしにはむり



道徳観から奇麗事を言ってるんじゃない



能力的に出来ない



男心を手玉に取る?冗談でしょ?



あたしは男怖くてしょうがない



手玉に取られることはあっても取れることはなさそうだよ



でももし留美さんの言うことが夜の世界の全てなら



。。。。。どうしたらいいの??












留美さんの話に悩んでいるとHyde常務がやってきた




「行くか」











ちょっと雨が降りそうだった午前5時



Hyde常務、留美さんあたしの3人は



日の光に照らされながら



高級キャバクラグレイを後にする












少し歩くと朝の宗右衛門長にぱらぱらと雨が降り始め



傘を持ってなかった3人はその小雨に打たれつつも


あたしはあたし達の心を覆うごと全部



洗い流して欲しいと思ったよ。。。











だけど留美さんとあたし



2人揃って連れ出されたのに



何か意味があるのかなんて



意識さえも出来てなかった・・・・・・・



この後あたしはHyde常務の意図に感服する



















続く☆












あの日のあたしみたく・・・・・

夜のお姉さんなら

酔いつぶされて気を失ったこと

1回くらいはあるよね??







うっすらと開けた目に飛び込んで来たのは小柳ゆき

それは高級キャバクラグレイ

入り口のバーに飾られてた筈のオープンパーティの時の写真





その写真が

その日のあたしみたいに酔いつぶれた女の子

ボーイさんが仮眠をとるのに使ってると思われるw

従業員用の控え室的な所にも飾ってあった

どんだけ記念!w








それ以外は特になんの特徴もない部屋のソファーで

思い出されるのは数時間前のあのゲーム







ホールの隅にある丸い卓

社長と呼ばれる初老の男性と

キャバ嬢らしい巻き髪をした香月さん

楽しげに何やら話してる

遊びなれ親父と熟練キャバ嬢






その隣

さっきあたしが怒らせた

目つきの鋭い30代後半くらいの男性が

あたしを場内指名した後

透明な液体が注がれた無数のショットグラス

ボーイさんから受け取りテーブルに並べた








「テキーラってんだよ、知ってるか?」



「知らないです」


「飲んでみろ」







この日初体験の夜の商売御用達

酔わせるお酒テキーラ






ショットグラスに注がれたお酒の量なんて

一口で飲み干せる程なのに


喉が焼け付いた


何これガソリン?





頭がカーッて熱くなって

ネジが何本か抜けたみたいな

今まで味わった事のない不快感に襲われる


まずいw









「今から俺とゲームしよう」







目つきの鋭いこの男はそういっゲームのルールを勝手に説明する

その内容はじゃんけんをして勝った方がテキーラを飲む者を指定

指定された者はそれに従うというもの






「え?それって。。」


「じゃんけんほい!」






突然の掛け声

こっちの言い分なんて聞く気なし

とっさにあたしが出したのはチョキ

男が出したのはグー

あたしの負け






「飲め」







しょーがないから2杯目のテキーラを飲み干す

食道を通る時の熱が知覚できる


慣れないお酒に今にも泣きそう

この世のものじゃない





「さぁ、2回戦だ。まだこんなにあるぞ?」





テーブルにはテキーラが注がれたショットグラス

まだ15杯は並べられていた




後で聞いた話だとテキーラボトルがないグレイでは

ショットグラスで注文するしかないとかなんとか

たぶんこういうお客さん対策w





「じゃんけんほい!」





男が出したのはグー

あたしが出したのはパー

勝った

勝ったけど






「よっしゃおめでとう。誰に飲ませる?おまえの自由や」







やっぱり






「ん?俺か?まぁ俺に飲ませても大事なお客様な俺が怒るだけやし、ええぞ」


「社長にしとくか?大丈夫、痛めてる肝臓が悪化して入院するだけや」


「ん?まさか香月ちゃんか?大先輩にこんなもん飲ませるんか?


「さぁ誰でもええぞ」









...



...



...






☆ ̄(>_<;ノ










「あたしが飲みます」











そうして潰された経緯を従業員控え室(?)で思い出してると

Hyde常務(←違うけどw)香月さんが入ってきた

まだ頭がんがんする



「ごめんね?大丈夫?」



キリッとした目とスラッした鼻

少ない息をあますことなく声に変えたような雑のない美声

香月さんはひたすら美人




「あのお客さん達は?」


「1時間ほど前に帰った」





そういって香月さんはあたしに近づき

日払いを希望するボーイさんや女の子にお金をつつむ時の封筒を手渡した






中身は万札がいくつか

なにこれw







「木田さんのチップ」

「え。。。?」

「いつ泣き出すかと思ったけどよく頑張ったね」






あいつ木田って言うんだ・・・・・






「まぁ潰れてた間の時給の埋め合わせにはなるやろ?貰っとけ」




Hyde常務はそういったけど

今考えると

ふつーに香月さんHyde常務

途中で助けてよ。・△・;






後で聞いた話によると

あの社長さんと木田さんはお得意様?かなんかみたいで

あんまり強くは言えないらしく

こうして埋め合わせもしてくれるから様子を見た、とかなんとか









「今日はもう帰り」




そう言ってHyde常務は送りのドライバーさんを手配してくれて




「明日もおいでね」




香月さんは優しい笑顔で勇気付けてくれて




このたびの2日目のハプニングは幕を引いた












だけど夜の世界をやってくにはお酒に弱すぎたあたし

自分が飲める量を把握した上で1日のリズムに取り入れて

ちゃんとコントロール出来るようになるのは

まだもうちょっと先の話なのでした















ちなみに
Hyde常務は香月さんの本彼でした
(1年後に結婚したw)