あの日のあたしみたく・・・・・

夜のお姉さんなら

酔いつぶされて気を失ったこと

1回くらいはあるよね??







うっすらと開けた目に飛び込んで来たのは小柳ゆき

それは高級キャバクラグレイ

入り口のバーに飾られてた筈のオープンパーティの時の写真





その写真が

その日のあたしみたいに酔いつぶれた女の子

ボーイさんが仮眠をとるのに使ってると思われるw

従業員用の控え室的な所にも飾ってあった

どんだけ記念!w








それ以外は特になんの特徴もない部屋のソファーで

思い出されるのは数時間前のあのゲーム







ホールの隅にある丸い卓

社長と呼ばれる初老の男性と

キャバ嬢らしい巻き髪をした香月さん

楽しげに何やら話してる

遊びなれ親父と熟練キャバ嬢






その隣

さっきあたしが怒らせた

目つきの鋭い30代後半くらいの男性が

あたしを場内指名した後

透明な液体が注がれた無数のショットグラス

ボーイさんから受け取りテーブルに並べた








「テキーラってんだよ、知ってるか?」



「知らないです」


「飲んでみろ」







この日初体験の夜の商売御用達

酔わせるお酒テキーラ






ショットグラスに注がれたお酒の量なんて

一口で飲み干せる程なのに


喉が焼け付いた


何これガソリン?





頭がカーッて熱くなって

ネジが何本か抜けたみたいな

今まで味わった事のない不快感に襲われる


まずいw









「今から俺とゲームしよう」







目つきの鋭いこの男はそういっゲームのルールを勝手に説明する

その内容はじゃんけんをして勝った方がテキーラを飲む者を指定

指定された者はそれに従うというもの






「え?それって。。」


「じゃんけんほい!」






突然の掛け声

こっちの言い分なんて聞く気なし

とっさにあたしが出したのはチョキ

男が出したのはグー

あたしの負け






「飲め」







しょーがないから2杯目のテキーラを飲み干す

食道を通る時の熱が知覚できる


慣れないお酒に今にも泣きそう

この世のものじゃない





「さぁ、2回戦だ。まだこんなにあるぞ?」





テーブルにはテキーラが注がれたショットグラス

まだ15杯は並べられていた




後で聞いた話だとテキーラボトルがないグレイでは

ショットグラスで注文するしかないとかなんとか

たぶんこういうお客さん対策w





「じゃんけんほい!」





男が出したのはグー

あたしが出したのはパー

勝った

勝ったけど






「よっしゃおめでとう。誰に飲ませる?おまえの自由や」







やっぱり






「ん?俺か?まぁ俺に飲ませても大事なお客様な俺が怒るだけやし、ええぞ」


「社長にしとくか?大丈夫、痛めてる肝臓が悪化して入院するだけや」


「ん?まさか香月ちゃんか?大先輩にこんなもん飲ませるんか?


「さぁ誰でもええぞ」









...



...



...






☆ ̄(>_<;ノ










「あたしが飲みます」











そうして潰された経緯を従業員控え室(?)で思い出してると

Hyde常務(←違うけどw)香月さんが入ってきた

まだ頭がんがんする



「ごめんね?大丈夫?」



キリッとした目とスラッした鼻

少ない息をあますことなく声に変えたような雑のない美声

香月さんはひたすら美人




「あのお客さん達は?」


「1時間ほど前に帰った」





そういって香月さんはあたしに近づき

日払いを希望するボーイさんや女の子にお金をつつむ時の封筒を手渡した






中身は万札がいくつか

なにこれw







「木田さんのチップ」

「え。。。?」

「いつ泣き出すかと思ったけどよく頑張ったね」






あいつ木田って言うんだ・・・・・






「まぁ潰れてた間の時給の埋め合わせにはなるやろ?貰っとけ」




Hyde常務はそういったけど

今考えると

ふつーに香月さんHyde常務

途中で助けてよ。・△・;






後で聞いた話によると

あの社長さんと木田さんはお得意様?かなんかみたいで

あんまり強くは言えないらしく

こうして埋め合わせもしてくれるから様子を見た、とかなんとか









「今日はもう帰り」




そう言ってHyde常務は送りのドライバーさんを手配してくれて




「明日もおいでね」




香月さんは優しい笑顔で勇気付けてくれて




このたびの2日目のハプニングは幕を引いた












だけど夜の世界をやってくにはお酒に弱すぎたあたし

自分が飲める量を把握した上で1日のリズムに取り入れて

ちゃんとコントロール出来るようになるのは

まだもうちょっと先の話なのでした















ちなみに
Hyde常務は香月さんの本彼でした
(1年後に結婚したw)