natural architect | ミュージシャンとビジネスマンのパラレルライフ

ミュージシャンとビジネスマンのパラレルライフ

外資ITで広告プロダクト担当をしながら、ミュージシャンとして音源リリースやライブを15年続けています。

「自然な建築」 隈研吾


■20世紀とはコンクリートの時代。コンクリートという素材が20世紀の都市を作り、国家を作り、文化を作った。20世紀のテーマはインターナショナリズムであり、グローバリゼーションであった。一つの技術で世界を覆い尽くし、世界を一つにすることがこの時代のテーマであった。コンクリートほどに普遍的(グローバル)な建築技術はかつて歴史上存在しなかった。しかもどんな造形をも可能にするという、もう一つの普遍性、別の言い方をすれば自由を有していた。


■そのようにして自然の多様性が失われただけでなく、建築の多様性も失われたのである。


■コンクリートの時間というのは非連続的な時間である。木造建築の時間はそれとは対照的で、生活の変化にしたがって、あるいは部材の劣化にしたがって、少しずつ手直しし、少しずつ取り替え少しずつ変化していく。


■あるものが、それが存在する場所と幸福な関係を結んでいるときにわれわれは、そのものを自然であると感じる。自然とは関係性である。自然な建築とは、場所と幸福な関係を結んだ建築のことである。


■表象とはあるものがどう見えるかであり、その意味で受容のされ方であり、受容と消費とは人間にとって同質の活動である。一方存在とは、生産という行為の結果であり、存在と生産とは不可分で一体である。


■20世紀は広告代理店の世紀であったと要約した人がいるが、表彰をめぐるテクノロジーを競い合う時代の主役腰、ほかならぬ広告代理店であった。表象の操作を繰り返せば広告だけは無限に作り出すことができ、それなりの感動も驚きも作り続けることは出来る。


■建築をどう生産るかに対して、われわれは再び着目しなければならない。その大地をその場所を材料として、その場所に適した方法に基づいて建築は生産されなければならない。


■フランク・ロイド・ライトはラジカルな建築とは、実は自然に根を張った建築なのだと言い放った。


■ブルーノ・タウトは携帯の美しさよりも、もっともっと大切なものが建築にはあると、考えていた。「関係性」であった。主体と世界の関係性である。媒介の役割を建築は担わなければならない。


■点描とは単なる粒子化ではない。それぞれの粒子が様々な色をもち、それが様々なイメージを発信する。


■虹を作るのは水蒸気という粒子の集合体である。太陽と粒子と受容者その三者の関係性によって虹は出現する。正確にいえばその関係性こそが虹なのである。


■建築の施工方法とは単なる工事の技術ではなく、その文化・文明の革新、あるいは今日風の別の言い方をすれば、社会のOSそのものなのである。


■生物であるわれわれは、モックアップという現物を前にして初めて反応を開始する。身体は図面に対しては反応しない。だからなるべく早くモックアップとの対話を開始しなければならない。


■モダニズムの建築デザインの基本は「切断」という手法だった。


■先端と野蛮を、人々が想像もしないようなやり方で見事に接合できれば、この不毛な二項対立的分断を粉砕するきっかけになり得ないだろうか。



□久しぶりに面白い本だと感じた。今年のベスト5に入るかな。




自然な建築 (岩波新書)/隈 研吾
¥735
Amazon.co.jp