すっかり有名になった瀬戸内芸術祭。それより先に開催されているのが、越後妻有 大地の芸術祭、トリエンナーレ。3年に一度の開催。

 企画、運営は、全て北川フラム氏から 始まっている。当初、村人たちは、え?現代アート?なにそれ?!の反応でしたが、アートが人を呼び、過疎の街に大勢の若い人が訪れるようになり、お役人も村の人たちも、アートの力を認識して行ったらしい。

 このストーリーを1年くらい前にJGAの代官山の研修で聞いて、いつか、行ってみたいなぁと思っていた場所。

 JGAで企画してくれた7月末のプランに出遅れて満席になり、がっくりしていたところ、7月6日、清洲峡のアートを作られたMADのメンバーと、東北大の先生のトークも、聞けて、北川フラム氏自ら案内して下さる特別ツアーの案内をいただき、急ぎ申込して参加してきました。 

 東京駅7時48分発の新幹線。わずか1時間19分で越後湯沢駅着!!新幹線は早い!

 添乗員の方と北川先生が出迎えて下さり小型バスで出発!14名くらい。

 バス発車するとすぐに北川先生から、越後妻有の土地の特性など、お話下さる。

 フィリピンプレート、日本海プレート、糸魚川静岡構造線が通り、信濃川が流れる。大きな地震も。2004年中越地震。2010年中越沖地震、2011年長野県北部地震。山が険しく密にたちはばかり、山の合間の空き地に人が住み棚田を作る。

 季節風が吹き、冬は豪雪。夏は湿度が高い。縄文中期の遺跡が河岸段丘から見つかり、火焔土器は十日町中条から見つかっている。火炎でなく水のほとばしりでは?!という説が最近は有力。

 この地域は山が多くトンネルが多く、スノーシェイドが作られる。雪崩防止柵がある。砂防ダムと発電用のダムがある。

 トンネル、スノーシェイド。↓


 最初の訪問地。

 清津峡渓谷トンネル Tunnel of Light

マ•ヤンソン/madアーキテクツ


 バスを降りるとすぐに洒落た建物が目に入る。ビジターハウスで、こちらもアート作品。2階に外の景色も見られるドーム屋根の足湯がある。まずは、足湯で足元から、清津峡を感じ、天窓から移りゆく季節と風と目に入る木々の青さを感じる。


 さてトンネルにはいっていきます。長さ750メートル。清津峡渓谷は、かつて遊歩道があったけれど、崖崩れなどで亡くなられた方がいて、渓谷を見るためにこのトンネルが1996年に作られた。途中に渓谷みる場所が4ヶ所。そこを、大地の芸術祭で、2018年5月マ・ヤンソン氏にトータルの設計でトンネルをアート作品に。

 2021年4月第二見晴所に作品を追加。

 

 これから、行かれる方もおられるので、写真は小さく載せます。

 かつてトンネルはただの通路だったけど、ワクワク、高揚感を感じる空間へ。


 憧れの清津峡の最後の場面に到着して、本当に素敵でした。

 人のシルエット、水の揺らぎ。人が景色を作る。


 次は倉庫美術館へバスで移動。このTunnel of LightのMADアーキテクツは、マ•ヤンソン、早野洋介、ダン•チュン。

 その早川洋介氏と 中国の建築の歴史を研究する市川紘司氏との対談です。11時開始の前の5分を急ぎ磯部行久氏の寄贈された作品を見る。


前半は早野氏により、Tunnel of Artの設計の過程や、表現についてお話し伺えました。

 さまざまな仕掛けが人をワクワクさせる。今では大人気スポットに。 

 第二部で東北大学で建築史、中国近現代研究を続けおられる市川紘司さんが、問いかける感じで対談スタート。実際に訪れて。美しさを体験した感想を含め、中国の山水画のよう、と。

 制作の方から直接お話し伺える機会を得て、良かったです。


 次は、予定になかったところを北川フラムさんが入れてくれました。

 途中、車窓から見える7段の河岸段丘、空も流れる雲も、綺麗。と、見惚れていると、現れた作品。

「たくさんの失われた窓のために」内海昭子

素敵でした。


  

「ポチョムキン」

カサグランデ&リンターラ建築事務所(フィンランド).大きな栗の木がある公園。しかし、産業廃棄物が不法投棄されていた。コールテン鋼の壁で囲まれた場所をつくり、タイヤのブランコ、壁の隙間からは町の神社の森が見え、反対の開口部からは、流れる川が見える。ベンチが並べられ、屋外で映画も観られるような、憩いの場になった作品。

 安藤忠雄はじめ、有名な建築家も次々、見学に訪れた。

 「うぶすなの家」

 古い家家があった場所。ほとんどが取り壊されてしまった。築100年を超える茅葺き屋根の民家を再生。やきものアーティストがかまどを作り、お風呂は信楽焼。益子焼の洗面所も。そして、地元のお母さんたちが食事を作る。宿泊もできる場所。

 午後1時に到着!

 ゼンマイや、ズッキーニ、車麩のソテーな、柔らかい豚煮など、ボリュームたっぷりの食事をいただきました。

 

 

2階では、折り紙作家 布施知子さんの作品。

「うぶすなの白」


ここにいる間、通り雨?!まさかの大雨!!!

 つぎの見学場所では、晴れて青空。

「バタフライパビリオン」ドミニク・ペロー(フランス)

  周囲の景色を映し出すピカピカの屋根のついた能舞台。橋掛もあります。神明水場公園の中に立てられた。背景の山には地震の跡も見られる。中越地震で被害のあった場所。でも、地域の方には大切な場所。制作の申請は 予算の関係で、公園の東屋(あずまや)として、町に申請しで作られたそう!

  屋根は雪の積もる冬は、屋根を垂直にたたんで、雪に備えるそう。柿落とし公演は観世流の能が行われたそう。ダンスや、コンサートや普段は町の人々の憩いの場だそう。

 芝生の斜面で、夕暮れ時に、能を見られたら素敵ですね!!

 十日町の中心部へ。

 十日町情報館へ。こちらは、内藤廣氏の建築。図書館なので、そおっと、見学してきました。オープンなスペースで、段丘のように書架があり、自由に手をとって、あちこちの場所で閲覧したり、勉強できそう。

 次に越後妻有里山現代美術館 MonET, モネ、と呼ばれている。原広司とアトリエ・ファイ建築研究所の建築。 

 

 真四角の敷地に、打ちっぱなしのコンクリートとガラス。

中庭は「Palimpset:空の池」レアンドロ_・エルリッヒ(アルゼンチン)

  以下の水面に空と建物が反射する。2階の中央から見ると、水に描かれた絵が、あたかも建物の反射のように見える!

 



建物の2階のカフェスペースはアールを描き、真四角の空間の中に、丸い空間を内包している。

 館内は沢山の作品がありました。

 入館してすぐに1階には、ウクライナの作家の作品。石をパンに見立てた作品。

 そして、避難の最中に出会ったウクライナの人々のスケッチ。作品は販売されていて、ウクライナ避難民の援助に使われる。 

 コーヒーをいただいたテーブルは、信濃川を表す線が。そして、天井には、水の煌めきがゆらゆら。十日町の土のサンプル。森山大道、「彼岸は廻る」。



moNETの中の作品。

「16本のロープ」カバコフの代表作。(右上)

「Force」名和晃平。(真ん中下) 黒いシリコーンオイルの液体が多数の糸状となり天井から床に常時落下する。

目[me]荒神明香、南川憲ニ。(左下)

8000もの時計がムクドリの群れのように配置される。

屋外の作品。



 十日町中心からトンネルをいくつかくぐり、まつだいへ。まつだいは、アートをすぐにok出したので、沢山の作品が集中してあります。

 会いたかったトンボはここにいました!

田んぼの中の米の家。真冬で雪が積もっても作品がわかる、小さい四角が上についていますが、雪が積もると、そもそも、この場所に来られなくて、誰も見ていない、なんて、オチも話してくれました。


イリヤ&エミリア•カバコフ

 旧ソ連出身のアーティスト。

 まつだい農舞台にある「棚田」

 まつだいの丘の中腹にある「人生のアーチ」

 2021年の作品「手をたずさえる塔」。

内部には、人生のアーチの絵が飾られ、最後の場面で、彫刻には無かった天使が出現し、救済される場面が描かれる。

 そして「手をたずさえる船」は、世界中の子どもたちの絵をモザイクのように組み合わせて帆を作る。美術を通じて世界とつながる。

 まつだい農舞台を急いで見ました。


「カフェ•ルフレ」ジャン=リュック•ヴィルムート(フランス).左上。カフェの天井に地元では撮影された景色の写真。

「花咲せる妻有」草間彌生、右上。

「関係😆ー黒板の教室/引き出しアート」河口龍夫 左下


ここで、北川フラム先生もここまで。私もツアーを離団して、まつだい駅から、十日町駅へ。

 

一泊します。


 盛りだくさんの内容で、土地のもつ特徴を北川先生が解説してくださり、良かったです。

  改めて訪れて、ぼーっと作品を見ていたいな。

私は山々や棚田の風景が、とても気に入り、

高台でカーテンが揺れていた、「たくさんの失われた窓のために」の作品が一番好き。


 2日目は、自分一人でレンタカー借りて廻るつもりでしたが、新潟の友人が車で、一緒に回ってくれるとのこと。とても楽しみです!