音楽考。ゲーテの音楽観。 | 駐在員さん 〜2周目のアメリカ生活〜

駐在員さん 〜2周目のアメリカ生活〜

米国、一時フランス、中国、米国再駐で通算24年加算中。慶應大文学部卒。経営ノウハウの学術化を目指し、商学部の教授から論文指導を受け、人間関係学の学位取得。
延べ19年目のアメリカAnother Skyから発信します。


魂をゆさぶる曲(ジャズ)


私の好きな音楽ジャンルは広め。

そんな中でも特によく聞くのはクラッシック、ハードロック、そしてジャズ。


歌を聴かせる音楽は歌詞と相まって魂に囁く。ではインスト(インストメンタル)はどうか?


私の感覚では、歌は意識に響き、インストはその奥の心に響く。


考えてみれば、私達が観ずる心の中の動きは言語世界で起こっているのでははない。なのでインストで奏でる音楽の方が魂に直接囁くのだろうと思ってる。


ワーグナーは、言葉は音色より高貴だといい。ゲーテは音楽について、言語というもの以上に絶対的で超越的な世界の様相を映し出すと言った。


私は、ゲーテを支持したい。


そして音楽は心に刺激を与えstate of mind を操作する。自分の心に何か囁きたい時に音楽をよく使う。


私の魂をゆさぶって止まない曲について語ってみたい。



情感を表現する曲

情感が脹れ捲れるような畝り

ブラッド・メルドーのExit Music(For Film)


抑えきれず、膨れ捲れる激しい感情の表出。

哀しげなピアノの主題で始まり、そのメロディーが感情を支配し、それがコントロール出来ないくらいに高まっていく様をドラムワークが表現している。


そして何か失いかけてる諦められない何かを抑え込もうとしてる哀しみや刹那さの葛藤の表現を聴く。


それは、心の底に抑え込まれた感情がその内圧で膨れ上がり、捲れ上がる激しい畝りとなって現れる。


そんな心情の表現に成功している曲を他に私は知らない。




惹かれ合う曲

ジャズではないが紹介したい。

アル・ディ・メオラ、ジョン・マクローリン、パコ・デ・ルーカの3人の巨匠のフラメンコ(ラテン)ギターの協奏。

こんな凄いギター演奏は聞いたことない。鳥肌が本当に出る。

まるで出会った男女が地中海に反射する太陽の煌めきの中でフラメンコダンスをしているような、激しく惹かれ合うような。その映像を完全に再現できる。



細やかな幸せ

ふと大切な人を思い出し微笑むような優しい感じになれる曲。




心を明るく躍らせてくれる曲

早春の晴れやかな朝に

とにかく気分をアゲてくれる。題名どおりのLooking Up。

冬の終わりから春なのかなぁという感じの日に外に連れ出してくれるような。

実際に聴いていると外に出てドライブしたくなる。


この曲は結構カバーされてるが、ペトルチアーニのピアノプレイが一番好き。



軽快に外に連れ出してくれる

ピアニストのメルドーがビブラフォンを演奏。軽快なメロディのバックに凄いとしか言いようがないリズムの世界がある。ウッドベース、ドラム、パーカッションが完璧で高速ビートの軽快さを演出。


まるで高速で走る特急列車が駅の構内に侵入する時のような音。


超一流のコンテンポラリーのミュージシャンが集まるとこうなるのだな。



迷いと陰鬱からの解放

キース・ジャレットの名曲、ケルン・コンサート。全曲即興。その場で作曲しながらの演奏だ。

すべて聴くととてつもない解放感。加えて適度な疲労さえ感じる。


Pt.1の9'40"過ぎまで続く神秘的な迷いと彷徨いからの解放が始まる。12'40"に完全解放され美しい恍惚に浸れる世界が目の前に広がる。