歌舞伎の十八番『勧進帳』が好き

好きなところはただ1点のみ

それは源頼朝から逃れる義経一行が
富樫が守る安宅の関所に辿り着いた際
義経一行だと富樫は気が付いていながら
弁慶の覚悟と聡明さと男ぶりに
関所を通すところなのだ

勧進帳というのは見逃しの美学なのだ



忠臣蔵も面白い

好きなところはこちらもただ1点だ

それは四十七士のひとり岡野金右衛門が
吉良邸を立てた大工の棟梁の娘を口説いて
棟梁から吉良邸の見取図を貰うところ

このエピソードには作者によって
さまざまな書かれ方がされてるけど
ぼくの信じる(好きな)エピソードはこう

岡野金右衛門は娘を嫁に欲しいと
父親である棟梁と対面する
なかなか良いオトコだった岡野を
父の大工棟梁は気に入り酒を酌み交わす

だがそのやり取りの中で棟梁は
岡野が赤穂藩の義士であり
仇討ち目的で吉良邸の絵図が
欲しいのだと見抜く

それは娘の夫が
仇討ちの成否に関わらず結果として
死ぬことを意味しているわけだ

でもその岡野の覚悟を意気に感じ
棟梁は酔ったフリをして自慢気に
吉良邸の絵図を出し机に拡げたまま
酔い潰れて眠ってしまうのだ

いや、酔い潰れたフリをするのだ

岡野は吉良邸の絵図を懐に隠し
棟梁の家からそっと立ち去る
もちろん棟梁はそれに気付いている
でも止めないし咎めない

そう、忠臣蔵のこのエピソードも
見逃しの美学なのだ





ひろゆきだけじゃない
テレビとかに出るようなヒマな弁護士とか
他人が他人の口座から送金することを
有り得ない、不可能とか言ってる

ああ、情けないヤツらだな
理屈なんてどーでも良いんだよ

真実なんてどーでも良いんだよ

違法ブックメーカーへの6億を超える送金に
大谷翔平本人が関わってようがいまいが
見逃す美学がわからないか?


と、ヒカルさんの嘆き───