ここは新宿の片隅、淀橋
 今はもう無い地名だが
 真夜中にはこの地に
 モデラーたちが集まるという

 地獄の天才モデラーヒカルが
 HGジオングを作り始めたと聞いて
 今日も誰かが訪れる

 プラモデルは哀しき大人の人生観

 非定期連載小説
 淀橋ミッドナイト
 
 この物語を読んで
 ひとつでも多くの押入の中のガンプラが
 製作されることを祈ります
 


 

全身ひとまわり手を入れて

いよいよ表面処理か




いえ、まだですョ

まだ残ってます



どこ残ってる?

2周目とか始まるとまた完成しないぜ?



2周目じゃないです

残ってますョ、ジオング最大の見せ場が



最大の見せ場?



ええ、ここ↓です





スカートの中か


ええ、
ジオング的にもプラモデル的にも
ここは最大の見せ場、素通りできません


そうだな
RGジオングがある今となっては
HGジオングのスカートの中は
ちょっと寂しいと言えば寂しいかもナ


いや・・・
RGジオングを持ち出すまでも無いです
80年代に作られた小田版ジオング
これを見て刷り込まれてますからね




HGジオングの造形では物足りないですし

小田版ジオングを知ってれば

別にRGジオングのスカート内部の造形だって

驚くに値しないんです



小田版ジオングを見たときは

ぶっ飛んだよナ



ええ、まだ小学生でしたけど

眠れなくなりましたよ

この奥行き感、たまらないでしょう



そうだな

HGジオングには

奥行き感がまるで無い



ぼくなりにやってみますよ



HGジオングは

メインノズルが付くフンドシ部と

5つのサブノズルが

平面のパネルに取り付けられる構造





平面パネルには、

それなりにディテールが入ってますけど

仮にここにさらにディテールを

ごちゃごちゃ追加していったとしても

元々の奥行き感の無さは変わらない


だからこの平面パネルは

使わないことにします



完全に作り直すってことか?



もちろん材料として使う部分はありますが

作り直し気分でいきますヨ




まずスカートはワイドに拡げちゃったので

メインノズルがキットそのままでも

バランス取れるのか、合わせてみます



大丈夫だろ

たかだか2カ所、くさび入れただけだもの



あまく見ないでくださいョ



ホラ↓






うっ!
案外スカスカになっちまうもんだな(笑)


そうなんです
ホントはここでメインノズルの径自体を
大きくしたいところですが
使えそうな適当なものが無かったので・・・




このフンドシ部の幅を広げて
メインノズルを外側にマウントすることで
スカートの中いっぱいに見えるようにします




これで何ミリ拡げたんだ?



1.5mmが2枚の3mmですね

これでひとまずバランスさせます





まぁこれで少しは見られるかな



ええ、今回はこれでいきます


そして実際にもこんな感じで

スカート底面パネルは使わず

スカート奥の部分にフンドシ部を

取り付けようと思うんですよ




それで奥行き感出すってことか




そうですね

そうなるとスカート内側は

下から覗いた時によく見えることになるので

スカートパネルの裏に補強パネルを

入れていってみようかと・・・・



トラス的なか?



トラスというのとは違います

どちらかというと“裏骨”




クルマのボンネットの裏にある

こんな補強が1番イメージ近いです


作っていきます





0.5mmプラ板をこんな感じで切り出して
スカート裏に貼り込んでいくんですよ




あまり骨を細くし過ぎなくて良いですし
細かくし過ぎなくても大丈夫です

こういう補強の形状は
応力の掛かり方を想像すれば決まりますし
工業デザイン系の勉強をすれば
ソフトなどは使わずともだいたい決まります


こんな感じで次々と
貼り込んでいくんです




そんな補強の入れ方はしねーョ
って感じにしちゃうと痛くなるので
パネルにリブを立てるときの法則とか
少し勉強すると良いかもナ

ヒカルはそんな勉強をしたと?


してないですよ
ぼくはセンスだけでやってます(笑)

それでもイケるってコトです






はい、これで裏骨が貼り込めました
これだけでも随分と印象変わるでしょ


確かにナ
お!ってなる


左右対称と、
スカート表面に彫ったスジ彫りとの
整合性を合わせて作っていけば
それっぽくするのは簡単です

一瞬は『お!』ってなるんですけど
ひとつひとつのカタチをよく見れば
そんなに複雑なワケじゃないし
別にキレイに作ってるわけでもない

まぁここをジーっと見られることもない

あくまでチラ見えしたときに
やってる感が出れば良いんです
理に適ったディテールであれば
あとは見た側が脳内で
勝手に良いように変換してくれます



楽しようと思わなければ
誰にでも出来るディテール追加
ってコトだナ
RGジオングもあることだし
今は参考にできるものがたくさんある

思い付かなければ、
自分でカタチが考えられないならば、
マネしたって良いと思うヨ

コレやってるのあまり見ないけど
なんでなんだろうナ(笑)
やれば見映えが上がるのわかってるのに


これもちょっとだけ面倒ですし
このスカートパネルの裏を見せたいなら
キットの平面パネルは使わないってコト
さらなる面倒が待ってますからね(苦笑)
でもとりあえずやり遂げましたヨ


まぁ正直誰でもやろうとは思うよナ
でもやろうと思うコトと
やったというコトではまるで違う


誰かが何かをする
すると必ず声がする



そんなコトは知っていた
とっくにやろうと思ってた・・・

やらない奴はいつもそう言う


他の世界は知らねぇが
ことプラモの世界じゃソレは通じねぇ

自分の手で、自分のカラダで
やり遂げた者だけが
ブログに書けるわけだから



つづく


この物語はフィクションです

登場する人物、場所、セリフ、思考は

すべて架空のものです