続きです



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何がどうなっているのか、わからず
頭の中はぐるぐるといろんなことを想像し
耐えきれずトイレに席を立つと、彼女と仲の
良い例の同僚女子社員に手招きされて
給湯室へ。


「ゆきむしさんってヒドイ人ですね!」
何のことだかわからない。
「そんなことをする人だなんて思わなかった」
やっぱり何を言っているのか?
「◯◯だってゆきむしさんのこと
信じてたのに!!」
おいおい、いったい何を言ってるの。


彼女の話を聞くと、こういうことらしい。


僕が好意を寄せていた双子の妹の方の彼女は
実家の伊勢志摩を離れ、名古屋に就職したん
だけど、娘が心配な親御さんは名古屋の
親戚の家に住むことを条件にしていました。


今ほど携帯電話が普及もしてないので
連絡先は彼女の親戚のおばさんの家の電話。
だから僕は電話をかけたこともありません。
だって、おばさんが出る可能性もある電話に
かけるのって勇気がいります。


富士急ハイランドで楽しんできたその夜。
それも結構遅い時間におばさんのウチの電話
がなりました。たまたま出た彼女。


「もしもし」
すると男性の声で
「もしもし」

彼女は今日遊んだばかりなので完全に僕だと
思い込み
「あっ、ゆきむしさん?」
すると電話口の僕では無い謎の男は
「うん、そうだよ」


今日のお礼や楽しかったことを話すんだと
思っていた彼女に、電話口の男は文字には
できないようなエッチな言葉を並べたてる。


はじめは冗談だと思っていた彼女も
永遠と続くエロトークに
「なんでそんなこというの?」
と問いかけるも、御構いなしに続ける男。


それでも、しばらくは我慢して聞いていた
そうですが、耐えきれなくなって電話を
切りました。


「なんで?」という思いと、信じていたのに
裏切られたという思いで彼女は一睡もできず
一晩中泣き明かしたのだそうです。



一瞬頭が真っ白になりました。


もしかして、俺そんな電話を無意識にした?


いやいやそんなわけないし。


次のデートで告白をすると決め、ドキドキと
ワクワクの気持ちはありましたが、不思議と
彼女に対してそういう気持ちは少なかった。

誰がそんなこと?


その話を聞いた僕は、なんとか説明したい
彼女と話をしたいって伝えてもらいました。
でも
彼女は「話たくない」と言っていると…。


すぐ目の前に座っているのに、声もかける
ことも出来ず、胸は張り裂けそうだけど何も
できない、針のむしろとはあのことかも。


とても仕事にならないので、営業に出ると
言って会社から出ました。


当時、会社の借りてくれたマンションに
同僚と2人で住んでいた僕の通信手段は
携帯電話だけでした。どうしても身の潔白を
証明したい僕は携帯会社のカスタマーセンター
に電話し、通信記録を出してもらうように
依頼しました。1日も早く欲しいので
大まかな彼女との経緯を話たところ緊急で
対応してくれると言ってもらえました。


それから悶々とした日を数日送り
ようやく手元に届いた通信記録を手に
どうしても話したいことがあると会社を
休んでいた彼女を呼んでもらい、釈明を。



ことの次第は理解してくれました。
よく考えると僕の声とは違ってもいたように
思えたとも言ってくれました。



そして
「俺、こんなに君のこと好きだから
そんなことするわけないだろう!」
ってどさくさに紛れ告白。



でも


「もう、恋愛対象として見れない。
ごめんなさい」



しばらくして彼女は会社を辞めました。




あとあとわかったことですが
どうやらその電話の犯人は同じ会社の
別のグループの男性らしい。


当時、僕は
「給料アップよりも役職が欲しい」と公然と
言うような今考えると嫌な奴僕より先に
入社してた、そいつよりも早く役職に
ついていました。


どんな理由だかわかりませんが
相当反感を買っていたようでもあるし
僕が好意を寄せていた彼女に気があったとか
無かったとか。


いずれにしろ、僕の普段の行いが招いた
ようなものでした。


彼女が去って暫くして、その話を仲間から
聞きましたが、もう怒る気にもなれません
でした。
……。
終わり



散々引っ張ってすみませんでした。
僕の昔話に長々とお付き合いさせて
申し訳ありません。