少し前まではこの島には多くの日本兵、捕虜アメリカ兵などがいました。

日本兵はここの収容所にガードナー中佐の部隊を収容していました。

そんな中、相田中尉は極秘である人体実験を行っていました。

細菌を使って、人種間でどういう反応を示すのかということを報告書にまとめ、それを政府に報告するというものでした。

しかし、人体実験はあまりにも強引で、日本兵でもあまり気が進まない状況にまでなっていました。

それでも相田中尉は独裁的な行動を行っていてまた、原住民にも強引に迫ることを行っていました。

ちょうどその頃島特有の熱病が流行り、多くの死者が出ていて薬も足りない状況に置かれていました。

看護兵のヘレンは薬を分けてもらえるように相田中尉に身を奉げて薬を分けてもらっていた事が舞台の最後にわかります。

そんな中相田中尉は谷中に睡眠薬を飲ませ計画を実行しようとします。

ちなみに谷中の階級は少尉で権限はそれなりにある人物であることから、あまり快くは思っていませんでした。

また、どちらかというと原住民側の人間でもあったため、それについても快く思っていませんでした。

実験に移ろうとしたとき、原住民が逃亡を図ろうとし、逃げ回ります。

騒ぎを聞きつけた谷中は何があったのか相田中尉に聞き、初めて人体実験を聞いたことに対して怒りを覚え相田中尉を射殺します。

この後、谷中と捕虜兵・原住民との間には争いはあったとは思いますが、それがなくなると熱病もなくなり、舞台の初めの関係になっていきます。


話は現代に戻って(戦時中はあくまでも回想での話)、力は谷中に怒りをぶつけます。

守りたいものはあるか?自分は島の人たちが大事だった、と語りながらゆっくりと階段を降りていき、右下に座って舞台の方を向いてまた戦時中の話が続きます。

ここのほかにもこういう風に現代と戦時中(回想)が行き来する形を取られています。

現代が過去を見て話が進むというのは、観客からしてみても現代の人と同じものを見ているような気がしてよかったですね。

話を聞いた平岡はある行動に出ようとします。

病棟を爆破して谷中と日本へ帰国する。

人体実験が行われていたと知れ渡れば日本は戦後世界から取り残されると悟ったため、全てを消し去ろうとし、平岡は広場に人を集めこう告げます。

『朝食に毒を仕込んだ』

集まった人々はパニックになり、解毒剤を出せと要求します。

平岡は3つの条件を出します。

(病棟)の爆破、島で起こっていたことを他言しない、自分(平岡)を通信塔がある向かい岸に案内すること。

通信塔を使って無線で近くを通る日本輸送船に連絡を取って自分たちは日本へ帰る。

そしてアメリカ兵や原住民たちは好きにして良い(解放する)

しかし、爆弾は島全体に仕掛けられているため、規模がわからず、爆弾解体をしなければならず、その操作は通信塔で行うため、爆弾処理経験があるガードナー中佐がついていくことになります。

大きな嵐が近づいてきていて、向かい岸に行くには古い小さなボートのみ。

向かいの島に行く際、いろいろと別れなどが行われますが、ここで関係がわかってきます。

ヘレンとガードナー中佐が親子だということ、ヘレンが相田中尉に身を奉げたのは自分たちを熱病から守るためだったことなど。

また、ここでも笑いがあり、ガードナー中佐は日本兵に捕虜になった際、軍服を着るのを躊躇っていました。

自分のせいで軍を捕虜にしてしまったという後悔から軍服を着ていたことにヘレンは問い詰めていきますが、パンツが破れていたからと一転張り。

たぶん34回は言っていたと思われる。

そしてヘレンがガードナー中佐にキスをするところを上でタハキが見ていて、ドーンとベスがタハキに声をかけて恥ずかしさのあまり逃走。

ヘレンも立ち去ろうとしたところ、ベスが呼び止めて相田中尉に身を奉げたのは自分だけ優遇されようとしたのではないかと思っていたことを打ち明けて、誤解だったということを謝り、その健気さにドーンがベスを抱きしめ、ベスもドーンを抱きしめるがベスが背骨を折ろうとしたり…

平岡の方もニワレカがちゃんと戻って来いと島のおまじないとして両頬を合わせるというもの。

これによくした平岡は襲い掛かろうとしますが、腕を噛まれて階段落ちし、ニワレカは『このスケベじじい』と捨て台詞を吐いて退場、入れ替わりにタハキが来て、何かを伝えようとしますが、声が出ないので、平岡が代弁『セ・リーグより、パ・リーグのが、スキ』。

セ・リーグとパ・リーグっていつから始まったんだっけ?


いよいよ平岡とガードナー中佐は島を渡って爆弾の処理にかかり、残すは病棟の爆弾のみとなりましたが、病棟の爆弾と司令塔のある島はつながっていて誰かが残らないといけないという状況であった。

また、ガードナー中佐は平岡が通信機を使って輸送船に連絡をしようとしていたため、銃口を平岡に向けて島に戻るように命じます。

日本の輸送船が来た場合、島に残っていたアメリカ兵が殺されてしまうかもしれないため通信機を使わせるのを拒んだため。

しぶしぶ平岡は島に戻り、ガードナー中佐は通信塔と病棟の爆破を行います。


この後平岡と谷中の島脱出が始まるわけですが、嵐はすぐそこまで迫っていてこのままでは飛行機を操縦することが困難になってしまいます。

しかし、長くこの島で生活をしていて、先住民やアメリカ兵と別れるのが辛くなかなか一歩を踏み出せない谷中。

そんな中一人の少女が勇気を振り絞って谷中の前に歩み寄ってきた。

タハキである。

タハキは過去の熱病でトラウマを抱えて言葉を出すことができなかったが、このとき谷中に自分の好きという思いを伝え別れようとしますが、腹痛をわずらわせて倒れてしまいます。

このとき谷中はタハキのおなかに子供がいると確信をします。

父親は相田中尉。

タハキは人体実験の際、相田中尉の手に染まり体が汚れていたそうです。

自分の手で相田中尉を殺してしまった谷中は、子供の父親を自らの手で殺してしまったことにより、意を決しこの島に残ることにします。

谷中の決意の固さを悟った平岡は一人日本に帰還をします。


ラストは平岡が帰還後の日本の話になります。

場所などは明かされていませんが、東京か、もしくは舞台で泡盛が登場してくるので沖縄か?

ほかの日本人が街中を歩いているアメリカ人を避けて通っていたので、沖縄の方が自然か?

小さい少女が舞台右下からゆっくり舞台中央へ歩いて行き、その少女にチョコレートを差し出しますが、近くを通った別の少女に突き飛ばされ持っていかれてしまいます。

また、道行く人にもぶつかったりして、少女は泣き出してしまいます。

泣いている少女を助ける人は誰もおらず、通りがかった平岡が声をかけます。

少女は空襲で両親を亡くし、戦争孤児になっていました。

また、戦争の恐怖なのか自分の名前すら忘れてしまっているほど。

可愛そうに思った平岡は少女の義父になることに決め、名前もなかった少女に純子という名前を与えます。

この少女が後に力と結婚旅行で谷中のもとに訪れることになります。