早いものでもう9月ですね。

秋の星は明るい星が少なく他の季節に比べてどこかもの寂しいところがあります。

しかし、秋の星座は東から昇ってくる星座は順番に物語を語ってくれます。

今回はその概要と言えるペルセウスについて書こうかと思います。


過去の記憶を聞いてみよう

面積
615平方度


肉眼星数
158個


主な星
β星アルゴル。星名の意味は『悪魔の星』。女怪メドゥサの額に輝くところから来た名前。食変光星としても有名


主な天体
ペルセウス座の二重星団が寄り添っていて美しい



ペルセウスの誕生
アルゴスのアクリシオス王には、ダナエという娘がいましたが、跡継ぎの男の子が生まれなかった事に悩んでいました。

そこでアクリシオス王はデイボイのアポロン神殿に伺いを立てたところ、

『娘のダナエに男の子が生まれ、その子がいつか自分を殺すであろう』

という予言を受けてしまいました。王は驚き恐れましたが、不遜にも、この運命から逃れてみせると豪語しました。

早速中庭に地下室(一説には見上げるほど高い塔)を作らせ、屋根と壁には、誰も通れないように青銅の厚板を張り詰めました。

そこへダナエと侍女二人を閉じ込めました。

これでどんな男もダナエには指一本触れることはできないと安心して…
ところが、ダナエに恋していた男がいました。

大神ゼウスです。

ゼウスは黄金の雨になって望みを遂げました。
そして、ダナエに一人の男の子が生まれました。

それがペルセウスです。

多くの英雄たちがそうであったように彼は最高の神と美しい人間の女性との間に生まれ、ペルセウスは後に『黄金より生まれた者』と呼ばれます。

ある日侍女たちと楽しく遊んでいる男の子の声を聞きつけました。

王はその男の子がダナエの子供である事を悟り、ダナエとペルセウスを木箱に入れて、海に運んで捨ててしまいました。

箱は風に吹かれ波に揺られて広い海原を何日も何日も浮き沈みしていました。

子はぐっすり眠っていましたが、母は不安と恐怖に震えていました。

そして時々思い出したように天のゼウスに加護を祈りました。
ダナエの祈りが届いたのか、海が静かになり、箱がすべるように石の島セリポスの方へ流れて、たまたま、あたりで漁をしていた漁師の網にかかって引き揚げられました。

幸い母子を引き揚げた漁師は兄が島の王という事で、母子はすぐ、王の館に保護され、そこで暮らすことを許されました。

それから数十年が経ちました。

ペルセウスはすでに若い戦士へと成長していました。

母ダナエは、たびたび王の求婚に悩まされましたが、ペルセウスがそれを許しませんでした。

王はどうしてもダナエが欲しかったのである日、自分の誕生日会を開き、プレゼントを貰おうと考えました。

もちろんその席にペルセウスも招待しました。

しかし、ペルセウスは決して豊かな生活をしていたわけではなかったので、プレゼントなど用意できるわけがありませんでした。

実は王はこれを狙っていたのです。

王はプレゼントを用意できなかった場合、母親を貰うといってきました。

このままではダナエは王にとられてしまうと思い、王の前で

『私は王が一番欲しいものをプレゼントしよう』

と言いました。

王は真っ先にダナエをよこせと言いたかったのですが、それでは王の立場もなかったので、この機会にペルセウスを殺してしまおうと考え、ゴルゴンの首を要求しました。

さてさて、ここで出てきたゴルゴンとは西の大洋近くに住む女怪達の事で、髪は蛇、翼が生え、その視線に触れると、すべてが石に化けてしまうという魔力の持ち主ステノンエラリアルメドゥサこちら 参照)の三人です。

そのうち二人は不死でしたが、メドゥサだけが死ぬ運命にありました。



ゴルゴン退治

ゴルゴンの首をとって来るとは言ったものの、ペルセウスはゴルゴンについて何一つ知りません。

何を用意するべきか、どこへ行くべきか見当もつきません。

そんな中、ペルセウスに救い主が現れます。

知恵の女神アテナ伝令神ヘルメスこちら を参照)です。

二人に護られてペルセウスは島を離れていきました。
まず、ゴルゴン達の住居に通ずる道を見張っているグライアイの所を通過しなければなりません。

彼女たちは灰色の髪をして生まれたのでグライアイ(老女たち)と呼ばれています。

やはり三人姉妹ですが、彼女たちは目が一つ、歯が一本しかなく、これを貸し合って使っているとアテナに教えてもらいました。

その目を奪い取ってやろうと、ペルセウスが隙を窺っていると、目を交換する時がきました。

この時とばかりにペルセウスは飛び掛り、眼を奪い取りました。

第一関門は通過することができました。
次に、海のニンフたちのところへ行きました。

彼女たちはゴルゴン退治に欠かせない道具を持っていると女神に聞かされていました。

ペルセウスがニンフに頼んでみると快く貸してくれました。

それは隠れ帽子に翼の生えたサンダル、それに獲った首を入れる袋でした。

同時にこの時、ヘルメスから鍛冶神が鍛えた鎌形の剣と表面を磨いた盾を授けられました。
これで用意ができました。

サンダルを履き、剣と帽子、盾と袋を抱えて空を飛びました。

そしてアテナとヘルメスが後を追います。

大洋の流れを越えて、ゴルゴン達が住む岸辺へやってきました。

その頃ゴルゴンたちは運良く眠っていました。

ペルセウスは不死の二人を避け、メドゥサの首を取る事に集中しました。

視線を浴びないように磨いた盾で間接的にメドゥサを見て近づいていきました。

そして眠っているメドゥサの首を剣で刎ね、すぐ袋に収めました。

メドゥサの悲鳴に目を覚ました二人はペルセウスの後を追いかけていきました。

ペルセウスは急いで隠れ帽子を被り、羽の生えたサンダルで島を後にしました。
大洋を超え、エジプトを超え、エリオピアの上空に差し掛かりました。

ふと見下ろすとはるか岸辺に人影らしいものが見えます。

アンドロメダ姫です。

アンドロメダはわけがあって海の怪物の生け贄にされるところでした。

ペルセウスは海の怪物を倒し、アンドロメダ姫を妻に迎え結婚をします(詳細はカシオペヤ・アンドロメダ座)
ペルセウスはアンドロメダ姫を連れて母の待つセリポス島へ戻り、すぐ宮殿に王を訪ねて、メドゥサの首を取ってきたと報告しました。

しかし、王はせせら笑って信じません。

そこでペルセウスはメドゥサの首を袋から取り出し、王の前に突き出しました

王はメドゥサの首を直接見てしまったため石に変ってしまいました。

そして王と一緒に王の一族も石に変ってしまいました。

島は善意の人たちの手に委ねました。

道具と武器はアテナとヘルメスに感謝を捧げて返しました。

もはや島には用はありません。

アンドロメダとダナエを伴って生まれ故郷アルゴスへ向かいました。



予言の成熟

アルゴスのアクリシオスは、孫が戻って来るという噂を耳にしました。

昔聞いた娘の子に殺されると言うアポロンの信託は忘れません。

難を避けようと、慌ててテッサリアのラリッサヘ逃れます。

ペルセウスも祖父の後を追います。

祖父を慕って後を追ったのですが、これが仇となります。
まもなくテッサリア王が亡父のために競技会を催すことになりました。

ペルセウスは力自慢の若者だったので、こんな時はいつも喜んで腕試しをします。

その日は円盤投げでした。

彼の番になり、円盤を投げました。

円盤は風に流され、来賓席にいた祖父の頭を直撃してしまいました。

その時の傷が元で、祖父は命を落としてしまいます。

あのアポロンの予言はここまで追ってきたのです。

ペルセウスはアルゴスに戻って王になりましたが、祖父を殺してしまったので、アルゴスを治めるのを避け、国を交換してディリュンスを治めました。

ペルセウスとアンドロメダは幸福に暮らしたのでしょう。


ペルセウス座というと有名なのがペルセウス座流星群です(こちら を参照)

この流星群は定期的に見ることができ、周りに明るい星があまりないので月明かりがなければよく見えます。

また、時期が夏に当たるのでほかの流星群に比べて見やすいものでしょう。


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