月は全天で太陽の次に明るい星で、地球の衛星としてとても馴染みのある天体です。
占星術では☽のようにあらわされ、形は見たまんま三日月をしています。


ギリシャ神話では月の神はセレネアルテミスがいます。
セレネヘリオスと同じように月そのものの神で、セレネの顔の向きにより、正面を向く(満月)、真横を向く(半月)、ななめを向く(三日月)などして見える形を変えます。
正直セレネにはあまりこれといった神話はありません。
ここではもう一つの月と狩りの神アルテミスについて書いてみようと思います。



アポロンの双子の妹アルテミス
アルテミスは太陽の頁で触れましたが、ゼウスレトの間に生まれた光り輝く双子の妹です。
実はアルテミスはもともとは月とはあまり関係がなかったと言われています。
アポロンが日の神ヘリオスに代わって太陽神をして扱われるようになりますが、その際妹であるアルテミスも月の神として神格が移行したことによって双子の妹アルテミスも月の神となったと言われています(セレネアルテミスの異名の一つであるとし、セレネアルテミスは同一視する説もあります)。



処女神アルテミス

また、アルテミスは純潔を誓う処女神で、アルテミスの周りの森の精女(ニンフ)たちにも厳格にそれを課していました。
そのため、掟を破りしものなら容赦なく呪いをかけたりしています。
後に書こうと思いますが、おおぐま座とこぐま座の神話でアルテミスの侍女カリストゼウスの策略に遭い、子を身ごもり、熊の姿に変えられ追放されます。

また、人間の猟師アクタイオンがキタイローン山中で50頭の犬を連れて狩りをしていた際、アルテミスが森の泉で水浴びをしていた所を目撃してしまいます。
アルテミスは、


『女神の裸を覗くとは何事だ。』


と激怒し、彼を鹿に変えてしまいます。
そしてアクタイオンは自らが連れていた50頭の犬に追いかけまわされ、あえなく食い殺されてしまいます。

実はアルテミスは1度だけ人を好きになります。冬の星座で三ツ星として有名なオリオンです。
オリオンの話はオリオン座で書くことにしておきます。



月から降る餅
これは沖縄地方に伝わるお話です。
むかしむか~し、古宇利島(こうりとう)という小さな島に男の子と女の子が二人で住んでいました。
二人は毎日を楽しく過ごしく過ごしていました。
食べ物は、夜になると決まった時間に月の神様が餅を降らせて、二人はそれを拾って食べていました。
神様は餅を必ず決まった時間に降らせていたので、食べ物に困ることはありませんでした。

そんなある日の夜…
いつものように月の神様がいつものように餅を降らせると、男の子が、


『ねえ、今まで食べきれない餅は捨ててたけど、残しておけばお腹がすいた時に食べられるよね。今夜から残しておこうよ。』


と言いました。


『そうね。残しておけば、夜に餅を拾わなくてもすむね。』


二人は食べきれなかった餅を保存することにしました。
でもこれを見て月の神様はお怒りになり、


『毎晩毎晩、必ず餅を降らせてやっているのに、神を信じないとはどういう事だ』


とその時以来餅を降らせることをやめてしまいました。
困った二人は、


『お月さまお月さま、大きな餅をくださいませ。
代わりに貝を拾って差し上げます。』


と月の神様にお願いをしましたが、月から餅は二度と降ってくることはありませんでした。
二人は毎日海へ出て食べ物をとらなければいけなくなり、昔のように好きなだけ遊ぶことができなくなってしまいました。
この二人が沖縄人の祖先になったと言われています。