先日金星の太陽面通過という天体イベントが起こりましたが、見る事が出来ましたか?
自分はあいにくの曇り空で生で見る事が出来ず、終わった時に空が晴れ渡ってきたという…
しょうがないのでPCで生中継ライブを見て金星の太陽面通過を見守りました。

という事で今回は金星の神話でも載せてみようかと…

金星は英語で『Venus』です。
Venusと言えば『ミロのヴィーナス』または『ヴィーナス誕生』を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
ビーナスはローマ名ですが、ギリシャではアフロディーテ(以下この名前で言っておきます)と言われています。
(占星術では『♀』という絵が当てはめられています。)
アフロディーテの誕生にはゼウスディオネとの間に生まれたとする話もありますが、一般的には海の泡から生まれたとされています。これはアフロディーテという名が、ギリシャ語の『泡』を意味する『アプロス(αφρός)』に似ている事からこの説が一般的になっています。
ギリシャ神話にもこの話が元になった話はあります。

父である天空神ウラノスの地位をクロノスが大地の女神ガイアの知恵を借り、奇襲を仕掛けます。
ウラノスは間一髪命を取られることはありませんでしたが、ウラノスは男根を切り落とされ、それが海に落ちます(機会があれば天王星の神話で書いてみます)。
落ちた男根の周りにいつしかたくさんの白い泡がブクブクと泡だってきます。そして、その泡が集まって生まれたのが、愛と美の女神アフロディーテと言われています(意外な誕生ですが…)

アフロディーテは西風の精ゼピュロスの吐息に運ばれてキュテラ島に流れ着き、そこからさらにキュプロス島へと渡っていきます。
キュプロス島で迎え入れたのは、時の女神ホーライたちでした。ホーライは裸のアフロディーテに美しい衣装を着せ、きらびやかな宝石を身につけさせ、オリュンポスの神々のもとへ面会に赴きます。

当然世にも美しいアフロディーテのことですから神々がほっとくわけはありません。男神たちはこぞって求婚を申し込みます(もちろんゼウスもしようとしましたが、妃のヘラがそれをさせませんでしたけど)。

しかしこの求婚事態…思いのほかあっけなくそして予想外?の方向へ転がっていきます。
ゼウスヘラの間には第一子として生まれた鍛冶の神ヘパイストスと言う子がいました。この神は早産で生まれたため、両足が不自由で顔も不細工という事でヘラはそれが嫌でヘパイストスを地上に投げ捨てます。
ヘパイストスはこれをひどく憎み、ある日ヘラにきらびやかな椅子を送ります。
ヘラがその椅子に座ったとたん全身に施錠され、身動きが取れなくなりました。
これを開錠できるのはヘパイストスだけ…ヘラヘパイストスを呼び寄せます。
ヘパイストスヘラの椅子の開錠をするために『なんでも言う事を聞く』という事を条件に出します。
神に二言はない…ヘラヘパイストスの言う事を1つ聞くことになりますが、それが


『アフロディーテとの結婚』


でした…こういう結婚の仕方は果たしていいものなのか
こうしてアフロディーテは美女と野獣的な理不尽な結婚をさせられる事になりますが、当然長くは続きません
アフロディーテは後に不倫をしますがそれは火星の神話で…



日本ではこの金星の事を別の言い方で一番星なんて呼んだりしています。
一般に太陽、月以外で一番最初に見えた星をさしたりしますが、一般的に金星が太陽、月に次いで明るいことから金星を例えられる事が多い言い方です(もちろん金星の位置によっては火星や木星などが一番星となることもあります)。
地域によっては別の呼び名をするところもあります。
たとえば広島では『きぬやぼし』と呼んだりしています。

むかし、美しい絹屋の娘が死ぬとき、


『私が死んだら絹をすかして見てください。九つに分かれて見える星が私です』


と言って亡くなり、この娘が天に昇り金星になったと云われています。
また、


『天に昇るげな絹屋の娘、星になりますきぬ星に』
『高い天の星や絹屋の娘、絹でおがめば九つに』


という唄があります。愛媛でもきぬ星と呼んで、


『わたしゃ九つ絹屋の娘、星になるから見ておくれ』


という唄があるとか…

また、岐阜でも


『宵の明神さま絹屋の娘、絹でおがむと九個の星』


という唄があり、金星だけは絹で透かして見ると九個の星に見えるとか…

金星と絹そして九という数字には密接な関係があるのかなと言いたくなる伝説ですね(*^_^*)